日本HP「HP ENVY110」は、“ルックス至上派”を満足させるか?:2011年末プリンタ徹底検証(1/5 ページ)

» 2011年12月29日 18時30分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

HPのプレミアムブランドから登場した薄型プリンタ

日本HP「HP ENVY110」

 世界市場でプリンタのトップシェアを誇るメーカーといえば、米Hewlett-Packard(HP)だ。個人向けインクジェットプリンタを見ても、前面に統一された給排紙機構、単機能プリンタの複合機化、複合機のタッチパネル採用、クラウドサービスとの連携など、数々のトレンドを先取りしてきたことは記憶に新しい。

 日本のインクジェットプリンタ市場はエプソンとキヤノンがシェアを2分しているような状況だが、ワールドワイド展開によるコストパフォーマンスの優位性と、前述した仕様の先進性は多くのユーザーが認めるところだろう。

 そんなHPの日本法人である日本ヒューレット・パッカードが2011年末に向けて投入した個人向けインクジェット複合機は、「HP Photosmart」シリーズが2モデル、「HP ENVY」シリーズが1モデルの展開だ。昨年と同様にモデル数を絞り込んだ分かりやすいラインアップとなっている。

 上位機種にあたるHP ENVYは、昨年日本に上陸したプレミアムブランドだ。プリンタとノートPCのラインアップが用意されており、いずれもデザインや快適さ、ほかと差異化できる機能といったところに注力している。昨今は他社の複合機も同じようなコンセプトを打ち出しているが、ENVYほどスタイリッシュなボディを実現し、大胆なギミックを搭載した製品は見たことがない。

 ここでは2011年モデルの「HP ENVY110」をじっくりチェックしていこう。


見ても触れても高級感が伝わってくるスリムボディ

電源を投入した様子。排紙トレイは見当たらないが……

 最大の特徴である外観は、一目で高級感が伝わるスリムなデザインに仕上がっている。ボディデザインは2010年モデルの「ENVY100」から継承しているが、カラーは光沢ブラックから光沢ホワイト&ベージュに変更された。リビングへの設置を強く意識した結果とのことだが、確かにこちらのほうが落ち着いたカラーで汎用性が高いだろう。ホワイトのほうが同じ光沢仕上げでもブラックより指紋が目立たないメリットもある。

 ボディの材質へのこだわりも見逃せない。原稿台カバーにはガラスを貼り付けてあり、原稿台カバーの先端、給紙カセットを引き出すノブ部分とその周辺はアルミダイキャストで作られている。美しいガラスの1枚板によるフラットでシャープな天面の表情に満足感を覚え、スキャンやコピーのために原稿台カバーを開けるとき、あるいは用紙交換のために給紙カセットを開けるとき、手に触れる金属にグレード感が味わえるというわけだ。

 ボディサイズは427(幅)×336(奥行き)×102(高さ)ミリ、重量は7.25キロ。前モデルのENVY100と寸分変わらぬスリムボディを受け継いでいる。単機能のプリンタもしくはスキャナではなく、両者の機能を併せ持った複合機のボディがこの薄さなのだから驚くしかない。内蔵した機能の差はあるが、薄型デザインをウリとするエプソンの「EP-804AR」でさえ高さが150ミリなので、この薄さは画期的といえる。

左からボディの前面、背面、側面。横から見ると、ボディの薄さが目立つ。前面はもちろん、背面と側面にも余計な突起などがないシンプルで美しいデザインにも注目だ

 自動両面印刷機構を内蔵しながら奥行きも抑えており、背面はフラットで美しく、電源やUSBのコネクタは背面からかなり奥にあって飛び出さないため、設置面積は公称のボディサイズとほぼ同じと考えて構わない。排紙トレイのために約110ミリのスペースが必要になるが、他機種と比較すると未使用時と使用時の占有面積の変化は小さいといえる。

 もう1つ驚かされるのが、自動で開閉する操作パネルと排紙トレイだ。タッチセンサー式の電源ボタンに触れると、自動的に操作パネルが上方にチルトして斜めに固定され、プリント時にはボディ内部から排紙トレイがスライドして現れる。そして、排紙された紙を取り除くと、排紙トレイは自動で閉じる。電源ボタンに再び触れてオフにすると、操作パネルも閉じて、前面がフラットな状態になるといった具合だ。

 こうした一連の動作がスムーズに行われ、ユーザーが操作パネルや排紙トレイをいちいち動かさなくて済むという点も高級感につながっている。

タッチセンサー式の電源ボタンに触れると、操作パネルが自動的に上方向へチルトする(写真=左)。小さな排紙トレイは、印刷時のみ内部から回転しながら現れる仕組み(写真=右)。排紙された紙を取ると、トレイは自動でしまわれる

 ボディの見た目、設置のしやすさ、触れた際の質感、排紙トレイ開閉の自動化による効率化など、よく練られた完成度の高いデザインだ。

薄型化のため、シンプルにまとめた給排紙とインタフェース

給紙カセットにはA4普通紙を最大80枚セットできる。2系統給紙には対応しない

 HP伝統の前面給排紙はENVY110でも健在だ。前面の下部に配置された給紙カセットは1系統で、A4普通紙を最大80枚セットできる。

 ただし、2系統給紙に対応した機種が多い中、1種類の用紙しか給紙できないのは惜しい。例えば、A4普通紙をセットしている状況でL判やはがきに印刷したい場合は、用紙をセットし直す必要がある。手差しトレイでもあれば多少は使い勝手が違ったのだが、ここはスリムボディを実現するために割り切った部分だ。同様にBlu-ray/DVD/CDレーベル印刷機能も省いている。

 排紙時のみ自動で現れる排紙トレイは、駆動させる関係からシンプルな形状だ。排紙容量は最大25枚と、大量の紙を保持することは望めないが、使うたびにいちいち排紙トレイをガチャガチャと出し入れしなくて済むのはありがたい。前述の通り、この薄さで自動両面印刷を備えているのは見事だ(A4/レター/B5に対応)。

 PCとの接続インタフェースはUSB 2.0とIEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備。無線LANのセットアップについては、PCの付属ソフトインストール時に画面の案内を見ながら手軽に接続が行える「自動ワイヤレス接続」機能を備えるほか、簡単に無線接続が可能なWPSもサポートしている。対応OSは、Windows XP(SP3以降)/Vista/7、Mac OS X 10.5以降だ。なお、有線LANは搭載していない。

 ダイレクトプリントで使用するカードスロット(メモリースティックPRO、SDHC対応メモリーカード、MMCをアダプタなしで利用可能)とUSBポート(PictBridge非対応)は、天面の右手前に用意されている。端子は上に向いているが、未使用時はカバーで覆えるので、ホコリが入ることはない。メディアを差した状態ではカバーが閉まらないので、抜き忘れも防げるだろう。

背面にあるUSBと電源のコネクタはかなり奥にあるので、コネクタが背後に飛び出さずに済む(写真=左/中央)。電源は内蔵型で、ACアダプタが床にころがることはない。カードスロットとUSBポートには小さなカバーが付けられている(写真=右)

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