キヤノンは8月30日、インクジェットプリンタ「PIXUS」シリーズの個人向けA4複合機5モデル、A4単機能プリンタ1モデルを発表した。9月9日より順次発売する予定だ。ドライバの対応OSはWindows XP(SP2以降)/Vista(SP1以降)/7、Mac OS X 10.4.11以降となっている。
複合機の新モデルはボックス型デザインを継承しつつ、ボディカラーを2009年秋冬モデルのシルバーから鏡面仕上げのブラックに変更。上位2モデルの「MG8130」と「MG6130」は、操作パネルをホイール型ユーザーインタフェース「Easy-Scroll Wheel」から新設計の静電センサー式ユーザーインタフェース「Intelligent Touch System(インテリジェントタッチシステム)」に切り替えた。静電センサーの各ボタンは天面でブラックアウトしていて未使用時には見えず、メニュー操作に応じて必要なボタンだけがLEDで浮かび上がる。
液晶モニタのメニューも一新し、内容が把握しやすい写実的なアイコンを採用しつつ、コピー、ダイレクトフォトプリント、スキャンといったよく使う機能は、最短2ステップで作業が完了するよう操作性を高めた。ダイレクトプリント中に次のプリントジョブを予約しておける「フォトプリント予約機能」も追加されている。
プリントエンジン部は従来同様、独自の高密度プリントヘッド技術「FINE」(ファイン)を採用。従来はハイエンド機のMP990が採用していたグレーインク搭載の全6色インクシステム(顔料ブラック、染料ブラック、グレー、シアン、マゼンタ、イエロー)を上位2番手のMG6130まで拡充した。
無線LAN搭載機は従来のIEEE802.11b/gだけでなく、IEEE802.11nをサポート。無線LANのセットアップ方式として、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」にも対応した。従来通り、AOSS、WPS、WCNでのセットアップも可能だ。無線LAN経由でのプリント機能は、無償の専用アプリをダウンロードして導入することで、スマートフォンからのワイヤレス印刷も行える。従来から提供されているiPhone/iPod touch/iPad用アプリ「Easy-PhotoPrint for iPhone」に加えて、新たにAndroid用アプリ「Easy-PhotoPrint for Android」も利用可能となった。
付属ソフトについては、新しい統合メニューソフト「Solution Menu EX」が用意され、複合機の各機能やほかのソフト、ヘルプ/各種設定ユーティリティ、キヤノンのWebサービスにアクセスできる。また、キヤノン製デジカメで撮影したフルHD動画からベストショットを切り出してプリントできる「フルHD動画印刷」機能も追加された。従来はハイエンド機のMP990に付属していた印刷支援プラグインソフト「Easy-PhotoPrint Pro」は、上位2番手のMG6130にも添付されるようになっている。
既存のソフトも強化された。Webページをレイアウト印刷できるWebブラウザプラグインの「Easy-WebPrint EX」は、PC内の画像取り込みや冊子印刷が可能となり、11月にはMac版のSafariにも対応する予定だ。写真管理・印刷ソフトの「Easy-PhotoPrint EX」では、写真共有サイト「Flickr」の写真素材をカレンダー印刷などに活用できるようになった。BCI-325/326の純正インクを使用する新モデル向けに、専用のコンテンツを提供するWebサービス「クリエイティブパーク プレミアム」も展開する。
また、写真を見栄えよく自動補正して印刷できる「自動写真補正II」については、PC使用時に光源情報を推定して色かぶりを補正することで、色補正の精度を上げる機能が加わった。
プリント、スキャン、コピー、ダイレクトプリントに対応するオールインワン型のA4複合機は、最上位から「MG8130」「MG6130」「MG5230」「MG5130」「MP280」の5モデルを用意。2009年秋冬モデルと比較すると、「MP990」の後継がMG8130、「MP640」の後継がMG6130、「MP560」の後継がMG5230、「MP550」の後継がMG5130、「MP270」の後継がMP280という関係になる。MP470の後継機は用意されず、継続販売される。発売日はMP280以外の4モデルが9月9日で、MP280のみ10月下旬。価格はオープンだ。
ハイエンドのMG8130は、インテリジェントタッチシステムと3.5型液晶モニタによる操作パネル、グレーインクを含む染料5色/顔料ブラックの6色インク、最高9600×2400dpi/最小1ピコリットル/計6144ノズルのプリントヘッド、35ミリスリーブ6コマ/マウント4コマを連続で読み取れるフィルムスキャン機能付きの4800dpi CCDスキャナ、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを備える。前面/背面の2系統給紙、自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷、各種メモリカードスロット、赤外線ポート(IrSimple対応IrDA IR)といった機能も健在だ。実売価格は4万円前後の見込み。
上位2番手のMG6130は、新ラインアップの売れ筋モデルに位置付けられる。インテリジェントタッチシステムと3.0型液晶モニタによる操作パネル、4800dpi CISスキャナを搭載する以外の主なスペックは、MG8130と共通だ。前モデルのMP640から、インク数が増え、Easy-PhotoPrint Proが付属するなど、最上位機に近い仕様に強化された。MG6130のみシルバーのカラーバリエーションが用意される。実売価格は3万円前後の見込み。
ミドルレンジのMG5230とMG5130は、本体の右側に2.4型液晶モニタを搭載した上位機と異なるボディデザインを採用。操作パネルの液晶モニタ表示メニューは新型だが、ユーザーインタフェースはホイールとプッシュボタンを組み合わせたものとなる。インクシステムは染料4色/顔料ブラックの5色構成だ。
MG5230は最高9600×2400dpi/最小1ピコリットル/計4608ノズルのプリントヘッド、2400dpi CISスキャナ、CD/DVDレーベル印刷機能、IEEE802.11b/g/nの無線LANを装備。MG5130は最高9600×2400dpi/最小1ピコリットル/計2368ノズルのプリントヘッドと1200dpi CISスキャナを採用する一方、CD/DVDレーベル印刷機能、無線LANインタフェースは搭載しない。いずれも赤外線ポートは省かれている。実売価格はMG5230が2万5000円前後、MG5130が2万円前後の見込み。
エントリーのMP280は、MG5130からカラー液晶モニタやメモリカードスロット、2系統給紙、自動両面印刷などを省いた低価格機。染料3色/顔料ブラックの4色インクと最高4800×1200dpi/最小2ピコリットル/計1472ノズルのプリントヘッド、1200dpi CISスキャナを備える。実売価格は1万円前後の見込み。
A4単機能プリンタは「iP4830」の1モデルを9月9日に発売する。2009年秋冬モデル「iP4700」の後継機で、複合機のMG5230と同じ染料4色/顔料ブラックの5色インク、最高9600×2400dpi/最小1ピコリットル/計4608ノズルのプリントヘッドを備え、2系統給紙、自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷、PictBridge用のUSBポートといった機能も持つ。実売価格は1万5000円前後の見込み。
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