NVIDIAはKeplerアーキテクチャを採用した「GeForce GTX 680」の発表にあわせ、ノートPC向けGPU「GeForce 600Mシリーズ」のフルラインアップも発表した。
このシリーズでは、Keplerアーキテクチャを採用する「GeForce GTX 660M」や「GeForce GTX 650M」、「GeForce GT 640M」が登場するが、同時に最上位GPUとしてGeForce 500Mシリーズと同じFermi世代のアーキテクチャを採用する「GeForce GTX 675M」といった、世代の異なるアーキテクチャが混在する。
なお、このほかにKeplerアーキテクチャとFermiアーキテクチャが混在する「GeForce GT 640M LE」も用意されるが、仕様が明確でないため、この記事では表から省いている。


GeForce GT 640Mを搭載したAcerのTimeline Ultra M3を披露するNVIDIAのルネ・ハース氏(写真=左)。3月にあったCeBIT 2012のAcer説明会で、すでにGeForce GT 640Mを搭載するノートPCとしてAspire M3 Timeline Uを公開していた(写真=中央、右)| GPU名 | GeForce GTX 675M | GeForce GTX 670M | GeForce GTX 660M |
|---|---|---|---|
| アーキテクチャ | Fermi | Fermi | Kepler |
| プロセスルール | TSMC 28ナノメートル | TSMC 40ナノメートル | TSMC 28ナノメートル |
| CUDAコア(最大) | 364 | 336 | 384 |
| プロセッサクロック(最大) | 620MHz | 596MHz | 836MHz |
| グラフィックスメモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
| メモリインタフェース | 256ビット | 192ビット | 128ビット |
| メモリ帯域(最大) | 96GB/s | 72GB/s | 64GB/s |
| GPU名 | GeForce GT 650M | GeForce GT 640M | GeForce GT 635M | GeForce GT 630M | GeForce GT 620M |
|---|---|---|---|---|---|
| アーキテクチャ | Kepler | Kepler | Fermi | Fermi | Fermi |
| プロセスルール | TSMC 28ナノメートル | TSMC 28ナノメートル | TSMC 40ナノメートル | TSMC 28/40ナノメートル | TSMC 28ナノメートル |
| CUDAコア(最大) | 384 | 384 | 144 | 96 | 96 |
| プロセッサクロック(最大) | 850MHz | 625MHz | 675MHz | 800MHz | 625MHz |
| グラフィックスメモリタイプ | GDDR5/GDDR3 | GDDR5/GDDR3 | GDDR5 | GDDR3 | GDDR3 |
| メモリインタフェース | 128ビット | 128ビット | 192ビット | 128ビット | 128ビット |
| メモリ帯域(最大) | 64GB/s | 64GB/s | 43.2GB/s | 32GB/s | 28.8GB/s |
GeForce 600Mシリーズは、インテルが提唱してノートPCベンダーが2011年から取り組んでいる薄型ノートPC(おっと、インテルはノートPCといわせたくないのであった)、いや、Ultrabookへの搭載を実現すべく、パフォーマンスの向上以上に省電力性能を重視している。
NVIDIAでノートPC向けGPUビジネスを統括するルネ・ハース氏は、「Ultrabookの登場は、ノートPCのデザインと設計を大きく変えた。より省電力なデバイスが求められるようになり、GPUもパフォーマンスの向上はもとより、さらにすぐれたエネルギー効率が求められる」とUltrabookによって発生した新しいGPUの要求傾向を分析する。その一方で「いまのUltrabookは、グラフィックス性能やゲームに関する性能において、“Ultra”たる部分がない」として、現行のUltrabookでは最新のゲームタイトルを楽しむことはできないと指摘する。

ユーザーがUltrabookに薄さやバッテリーで長時間使えるだけでなく、優れたパフォーマンスも求めるはずだとNVIDIAは主張する(写真=左)。現行のUltrabookは、描画品質を低くしても最新のゲームタイトルを楽しめないなど、パフォーマンス面で“Ultra”たる部分がない(写真=右)
しかし、Keplerアーキテクチャを採用したGeForce 640Mを搭載すれば、高画質設定でも30fps以上で最新のゲームタイトルが実用的な速度で動作するようになると訴求する(写真=左)。現在のノートPC市場で求められるGPUは、パフォーマンスを向上させながらも、消費電力を最小限に抑えられるバランスの高い製品だとNVIDIAは考えている(写真=右)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.