グラフィックスメモリは、Fermi世代のハイエンドGPUから引き続きGDDR5を利用しているが、転送レートが6Gbps相当と高速なチップを必要としている。評価に用いたリファレンスデザインのグラフィックスカードで搭載していたのは、Hynixの「H5GQ2H24MFR-R0C」だったが、その仕様を見ると、6Gbpsが上限のようで、リファレンスデザインのグラフィックスカードにおけるグラフィックスメモリのオーバークロックマージンはあまりありそうにない。
グラフィックスメモリのバス幅は256ビットで、GeForce GTX 580の384ビットから減少しているが、転送レートを引き上げたことで、帯域幅は192.26Gバイト/秒と、192.4Gバイト/秒だったGeForce GTX 580からほとんど変わっていない。グラフィックスメモリ容量は2Gバイトに増えている。GeForce GTX 580では3Gバイトを実装するたモデルも登場しているが、GeForce GTX 680のリファレンスデザイングラフィックスカードの場合、当初より2Gビット容量のGDDR5を使用している。もし倍容量のモデルが出るとしたら6Gbps以上で4Gビットチップの登場を待たなければならない。
電源周りも変更が加えられた部分だ。GeForce GTX 680のTDPは、195ワットとGeForce GTX 580より約50ワット低く設定している。GeForceシリーズの最上位モデルで200ワットを下回ったことに自作PCユーザーは注目すべきだろう。外部補助電源コネクタもGeForce GTX 580で8ピン+6ピンの構成だったが、GeForce GTX 680は6ピン×2基で済むようになった。
GeForce GTX 680搭載グラフィックスカードのリファレンスデザインで用意する映像出力インタフェースは、DisplayPort(1.2)、HDMI(1.4a)、デュアルリンク対応DVI2基の4系統となった。GeForceシリーズのシングルGPUのリファレンスデザインでは、初めて単体構成でも4画面までのマルチディスプレイ出力に対応する。さらに、3画面の立体視ディスプレイ出力が可能な「3D Vision Surround」も、1枚のグラフィックスカードで対応するようになった。
そのほか、V-Sync設定において、負荷に応じてV-Syncの有効と無効を自動で制御することで、StutterやTearingを防ぐ「Adaptive V-Sync」や、スムーズな画質を低負荷で実現する「TXAA」(TXAAに関してはFermi世代のGPUでもサポートする予定)、GPUに統合されたハードウェアエンコーダ「NVENC」など、数多くの新しい機能を導入した。
ベンチマークテストは、AMDの新世代GPUで“Graphics Core Next”を導入するRadeon HD 7970と、NVIDIAのFermi世代GPUの最上位モデル「GeForce GTX 580」との比較で評価する。ただし、どちらもオーバークロックモデルだ。評価用のシステム構成は、CPUのボトルネックを最小にとどめるため、Core i7-3960X(3.3GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz)とIntel X79 Expressチップセット搭載マザーボードを基幹として用意した。
評価用システム構成 | |||
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GPU | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 580 | Radeon HD 7970 |
グラフィックスカード | リファレンスデザイン | ASUS ENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5 | GIGABYTE GV-R797OC-3GD |
CPU | Core i7-3960X(3.3GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.9GHz) | ||
マザーボード | Intel DX79SI | ||
チップセット | Intel X79 Express | ||
メモリ | Corsair Memory CMZ8GX3M2A1866C9R(DDR3-1600 4GB×4枚) | ||
HDD/SSD(1) | PLDS Plextor SSD PX-128M2P 128GB | ||
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 | ||
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