ソニーの考える、「PlayMemories」の今とこれから(2/2 ページ)

» 2012年05月21日 11時40分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2       

敷田氏: 「Playmemories」という言葉へ込めているのは、写真や映像といったコンテンツを死蔵せず、大切な思い出として保存・活用して欲しいという、いわば「深化」です。カメラメーカーならではという画質や音質のクオリティを保った上で、写真と映像を活用してもらうのがPlaymemoriesの目的ですが、まだ足りない要素があるとは認識しています。

――足りない要素としてまず気になるのが、PS VitaやPSPのブラウザでPlaymemories Onlineにアップロードした画像が閲覧できない、HDD/BDレコーダーに保存したハンディカムの映像をPlaymemories Onlineにアップロードする手段がないなど、「ソニー製品ならばすべて対応」とは言えない状態にあることです。大々的なアナウンスに対して、対応がいびつであるようにも感じます。

敷田氏: 開発のリソースは限られているので、優先順を考えながら対応を進めているのが現状です。接触時間の長さからして、モバイル関連分野の優先順位が高いと考えていますので、まずはそこから対処していきます。

 レコーダーやテレビがPlaymemoriesに対応しないと言うことはありませんし、テレビについては2011年以降発売のモデルがPlaymemories Onlineにアップロードされた画像の閲覧に対応しています。理想はすべての撮影・録画・閲覧機器がPlaymemoriesという枠で連携していくことなのですが、対応デバイスの増加がユーザー体験の拡張とイコールになるともいえませんので、そこはバランスを取りながら推進していきます。

――Playmemoriesで提供されるさまざまな連携は、顧客の囲い込みを意図しますか。また、Playmemoriesの各種ソフトやサービスは現在、PS3用ソフトの「Playmemories Studio」を除くと無料ですが、ビジネスモデルはどう構築されるのでしょう。

敷田氏: Playmemories HomeからFacebook、Picasaなどへの投稿ができるよう、他社提供のサービスとの連携は拒むものではありません。カメラを軸とした顧客体験の増大が目的ですから、ネットワークサービスベンダーはその意味で競合ではありません。ソニーのカメラを買った人に対して、どれだけの楽しみを提供できるか、そのために「閉じない」サービスを提供していく方向性です。

photo Playmemories Homeの画面上にあるアイコン「アップロード」からはFacebook、Picasa、Mixiなどへ投稿が行える

 Playmemories OnlineについてはSEN(Sony Entertainment Network)IDのほか、「Video Unlimited」「Music Unlimited」のIDでもログインできます。ですが、目的は体験の増大であってユーザー数の増大ではありませんので、他社サービスIDとの連携統合などは慎重に検討していきたいです。

 ビジネスについて、サービスで利益を出していくという考えはありません。ですが、カメラを売るための仕掛け、顧客サービスだけとも言えません。PS3用ソフトのPlaymemories Studioは1500円で販売していますが、体験版も提供していますし、お金を払ってくれるのはその価値を認めてくれた人ということになります。このように、価値を認めてもらって、お金を払ってもらうという状況を作りたいのです。


 構想としては理解でき、実際にPlaymemories HomeやPlaymemories Studioを使ってみると良くできたソフトだと感じる。特にPlaymemories Studioの高速処理は目を見張るものがあり、重い印象のあるAVCHDの動画をとても軽快に編集できる。ただ、敷田氏も認めるよう、現時点ではPlaymemories全体としては「足りない」。

photo

 何が足りないかといえば、それは「ソニーならでは」という独自色だろう。個々のソフトやサービスは決して悪いものではないが、画像や動画の管理編集ソフトは無数にあるし、閲覧やアップロードはパソコンやスマートフォンのWebブラウザでも可能。画像と映像が利用できるクラウドサービスも無数に存在する。

 Playmemoriesという冠をつけたソフトとサービスを複数用意する以上、共通の操作感、UX以外にもシリーズとして何らかの統一感を利用者は期待するだろうし、Playmemoriesを使うにあたってのソニー製品購入者へのインセンティブがないもの不満点に挙げられるだろう。PMBがPlaymemories Homeに、Personal SpaceがPlaymemories Onlineに、FilmyがPlaymemories Studioにバージョンアップして名称変更し、スマホ用アプリが追加された状態とも感じられる。

 4月に新社長となった平井一夫氏はデジタルイメージング、ゲーム、モバイルの3領域をコア事業に位置付け、「世界中をあっといわせるような魅力的でイノベイティブな商品・サービスを市場に投入する」としている。ハードだけではなくソフトとサービスも有機的に結合して魅力を高めていくという方針はPlaymemoriesにも通じるが、Playmemoriesはまだ統一感に乏しく、対応ハードやソフト、サービスが上手にかみ合わず、ちぐはぐな状態にある感じが否めない。

 ただ、敷田氏は「あっと言わせるような何かを考えている」ともしており、Playmemoriesはいまが最終形ではなく、まだ大きく進化する何かがあることを伺わせる。ソニーはデジタルイメージング/ゲーム/モバイルの3領域へ、ハードとソフト、サービスを提供する世界でも類を見ない企業だけに、それらを上手に結合して利用者へ「体験」というカタチで届けることに相当な苦労があることは想像に難くないのだが、Playmemoriesという軸でそれらが上手にまとまっていくことを期待したい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月11日 更新
  1. 初のカラー対応「Kindle Scribe Colorsoft」の実力は? 通常モデルとの価格差1万7000円の価値を検証 (2026年06月10日)
  2. ミニPCに強みの「MINISFORUM」 ミニワークステーションの新モデルから「謎の拡張カード」まで多彩な製品を披露 (2026年06月10日)
  3. 「Geminiの技術は使うが、Geminiではない」 WWDC26で見えたApple流AIとプライバシー戦略の核心 (2026年06月10日)
  4. 「macOS 27 Golden Gate」が2026年秋に登場 初のApple Silicon専用バージョンに (2026年06月09日)
  5. 縦に三つ折りする「Ewin 折りたたみ式ワイヤレスキーボード」がタイムセールで12%オフの4820円に (2026年06月10日)
  6. DJI初の360度カメラドローン「DJI Avata 360」実機レポ 多彩な8K空撮、これは“空飛ぶOsmo 360”だ (2026年06月11日)
  7. 夜間もフルカラーで鮮明に記録できる「SwitchBot 屋外パンチルトカメラ 5MP」が15%オフの7674円に (2026年06月10日)
  8. コンパクトボディーにスパコン並みのAI性能! 「NVIDIA RTX Spark」搭載ミニデスクトップPCを見てきた (2026年06月04日)
  9. 「次世代Apple Intelligence」をフル活用するにはどのような条件がある? 「Siri AI」は日本で使える? 知っておくべき対応モデルのハードル (2026年06月09日)
  10. 実売1万円切りでパススルー給電にも対応! KTCの15.6型モバイルディスプレイ「H15F9」は“買い”か (2026年06月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー