中国の大地でADATAにThunderboltのことを聞く日本でSSDトップシェアを取った秘策とは(1/2 ページ)

» 2012年06月14日 11時30分 公開
[長浜和也,ITmedia]

日本でトップシェアを取れたのは、パートナーのおかげです

 ADATAは、中国の蘇州にある生産施設において、同社の事業展開に関する説明会を行った。なお、合わせて工場施設の見学もあったが、非公開で内部撮影が禁止だったため、ここでは、事業に関する説明に絞って紹介する。

 ADATAは、日本のPCユーザーにメモリとUSBメモリの供給ベンダーして知られてきたが、近年はSSDのベンダーとしても認知されている。特に、2012年1月の調査では、日本のSSD市場においてADATAの製品がトップシェアを確保するまでに急成長している。その理由について、ADATAは、競合に対してコストパフォーマンスで優位であったことと、日本市場におけるパートナー企業(販売代理店)の強い協力が得られたことを挙げている。

 このように、日本のSSDビジネスで急成長を収めているADATAだが、全社的なビジネス実績としては、2008年以来のマイナス成長となった。2008年ではインドネシアで発生した大規模な津波が原因としているが、2011年が不調だった理由でも、欧州の経済不安に加えて、タイで発生した洪水による生産設備のダメージが影響したと説明している。

 現在、日本では、SSDのイメージが強くなっているADATAだが、2011年における業績構成を見ると、依然としてDRAMモジュールが4割近くを占め、メモリカード、USBメモリ、そして、外付けHDDドライブで半分以上をまかなっている。SSDが占める割合は1割にも満たない。

ADATAの成長は2008年と2011年にマイナスとなる。それぞれ金融不安が原因となっているが、2008年はインドネシア津波、2011年はタイの洪水と自然災害の影響も大きいという(写真=左)。SSDの急成長が目立つADATAだが、その主力は依然としてDRAMだ(写真=右)

 ADATAは、自社のラインアップにおいて「品質維持」「最新技術の採用」「ブランド力」「安定供給」を掲げて製品企画を行っている。品質管理とブランド力については、第三者機関が策定する品質基準に関する規格取得を積極的に取り組み、ISO関連、RoHS、OHSASといった国際的な基準はもちろん、中国政府や蘇州工場組合(に相当する団体)が定めるローカルな基準もトップレベルを取得して外部に対してアピールする材料としている。

 この品質管理については、国内外のメーカーからも高く評価されており、インテル、マイクロン、東芝、エルピーダ、サムスン、ハイニックスと特に強い協力関係を結んでいるという。(記事掲載当初、ハイニックスの社名に誤りがありました。おわびして訂正いたします)

ADATAが事業戦略で重視する4つの項目。DRAMやUSBメモリ、SSDなどでは安定供給も重要な要素としてユーザーから求められる(写真=左)。ADATAはインテルや東芝、サムスンから高く評価されていると訴求するほかにも、多くのノートPCベンダーがADATAのSSDを採用しているとアピールする(写真=右)

「デザイン」「堅牢性」「価格」に特化した製品構成

 ADATAは、現在も主力はDRAMモジュールの生産であるが、それ以外でもメモリーカード、USBメモリ、外付けHDDドライブといった従来のラインアップに加え、急成長しているSSDなど、それぞれにラインアップをそろえている。

 外付けHDDドライブでは、競合と差別化のために、デザインに特化した「DashDrive Elite」、防水防じん耐衝撃性などの堅牢性に特化した「DashDrive Durable」、そして、価格競争力に特化した「Dash Drive」といったように、幅広いユーザーに訴えるポイントを持たせたラインアップを展開している。

デザイン、堅牢性、価格のそれぞれに特化したラインアップを展開するADATAの外付けHDDドライブ(写真=左)。COMPUTEX TAIPEI 2012のブースでは、DashDrive Durableの展示コーナーを正面に構えて来場者にアピールしていた(写真=右)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. わずか237gとスマホ並みに軽いモバイルディスプレイ! ユニークの10.5型「UQ-PM10FHDNT-GL」を試す (2024年04月25日)
  3. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  4. 「Surface Go」が“タフブック”みたいになる耐衝撃ケース サンワサプライから登場 (2024年04月24日)
  5. QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定 (2024年04月25日)
  6. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  7. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  8. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  9. AI PC時代の製品選び 展示会「第33回 Japan IT Week 春」で目にしたもの AI活用やDX化を推進したい企業は要注目! (2024年04月25日)
  10. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー