ADATAは、中国の蘇州にある生産施設において、同社の事業展開に関する説明会を行った。なお、合わせて工場施設の見学もあったが、非公開で内部撮影が禁止だったため、ここでは、事業に関する説明に絞って紹介する。
ADATAは、日本のPCユーザーにメモリとUSBメモリの供給ベンダーして知られてきたが、近年はSSDのベンダーとしても認知されている。特に、2012年1月の調査では、日本のSSD市場においてADATAの製品がトップシェアを確保するまでに急成長している。その理由について、ADATAは、競合に対してコストパフォーマンスで優位であったことと、日本市場におけるパートナー企業(販売代理店)の強い協力が得られたことを挙げている。
このように、日本のSSDビジネスで急成長を収めているADATAだが、全社的なビジネス実績としては、2008年以来のマイナス成長となった。2008年ではインドネシアで発生した大規模な津波が原因としているが、2011年が不調だった理由でも、欧州の経済不安に加えて、タイで発生した洪水による生産設備のダメージが影響したと説明している。
現在、日本では、SSDのイメージが強くなっているADATAだが、2011年における業績構成を見ると、依然としてDRAMモジュールが4割近くを占め、メモリカード、USBメモリ、そして、外付けHDDドライブで半分以上をまかなっている。SSDが占める割合は1割にも満たない。
ADATAは、自社のラインアップにおいて「品質維持」「最新技術の採用」「ブランド力」「安定供給」を掲げて製品企画を行っている。品質管理とブランド力については、第三者機関が策定する品質基準に関する規格取得を積極的に取り組み、ISO関連、RoHS、OHSASといった国際的な基準はもちろん、中国政府や蘇州工場組合(に相当する団体)が定めるローカルな基準もトップレベルを取得して外部に対してアピールする材料としている。
この品質管理については、国内外のメーカーからも高く評価されており、インテル、マイクロン、東芝、エルピーダ、サムスン、ハイニックスと特に強い協力関係を結んでいるという。(記事掲載当初、ハイニックスの社名に誤りがありました。おわびして訂正いたします)
ADATAは、現在も主力はDRAMモジュールの生産であるが、それ以外でもメモリーカード、USBメモリ、外付けHDDドライブといった従来のラインアップに加え、急成長しているSSDなど、それぞれにラインアップをそろえている。
外付けHDDドライブでは、競合と差別化のために、デザインに特化した「DashDrive Elite」、防水防じん耐衝撃性などの堅牢性に特化した「DashDrive Durable」、そして、価格競争力に特化した「Dash Drive」といったように、幅広いユーザーに訴えるポイントを持たせたラインアップを展開している。
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