座学が終わったら、いよいよ、PCの組み立てが始まる。参加した子どもたちは、帯電防止とけが防止の白手袋を着用して、CPUのパッケージからCPU本体とCPUクーラーユニットを取り出すところから作業を開始した。作業は、解説者が実際にその場で作業する映像をスクリーンに映し出し、その映像と解説、そして専属のサポートスタッフの援助を得ながら進めていった。
初めてPCを組み立てる場合、CPUソケットのカバーを外すレバー1つにしても、力の入れ加減が分からずになかなか動かすことができないが、サポートスタッフの支援もあって、CPUをソケットに載せて、再びソケットカバーをかぶせてレバーで押し付けるという、けっこう“怖く感じる”作業も、全員が迷うことなく行っている。同じように、力の入れ加減が十分でないために正しく押し込めないことが多いCPUクーラーユニットとシステムメモリも、全員、恐れることなく固定ピンとメモリモジュールをグイグイと押し込んでいた。
Ivy Bridge世代のCore i5-3570KとIntel H77 Expressチップセットの組み合わせなので、マザーボードに載せるのは、CPUとそのクーラーユニット、そして、システムメモリだけで済む。次の段階は、PCケースのサイドパネルを取り外して、マザーボードをPCケースの内部に固定する作業だ。内部のケーブルが邪魔になったり、バックパネルとインタフェースの位置がなかなか一致しなかったりと面倒な作業だが、ここもサポートスタッフのアドバイスを受けながら、なんとか、マザーボードをネジで固定した。
次に、マザーボードに電源ユニットからのケーブル、PCケースからのコードを接続する。作業を説明する側からすると、接続するケーブルの種類と接続する場所を指示するのがとても難しい段階だが、イベントでは、スクリーンに映す映像と、作業する子どもたちに配布した解説書、そして、実際に組み立てているPCケースのそれぞれを同じように見える向きにあわせることで、ケーブルの位置を把握しやすくするとともに、ケーブルの特徴をうまく説明することで(コネクタの色、ケーブルについているシールや印刷など)、迷うことなく目的のケーブルを正しい場所に差すことができた。
続いて、SSDの組み込みだ。SSDでは、3.5インチドライブベイに搭載するためのマウンタを取りつけてから、Serial ATAケーブルと電源コードを差して、PCケースのドライブベイにネジで固定する。光学ドライブも作業内容は同じだが、電源コードをオープンドライブベイから外に出して、それから光学ドライブに接続するといった、PCの組み立てを経験しないと気がつかないテクニックを伝授しながら、全員が滞りなく作業を進める。
ここまでくれば、必要なパーツはすべて組み込んだ。あとは、サイドパネルを閉じて、キーボードとマウスとディスプレイを接続し、電源ユニットの主電源をオンにして、PCケースのフロントパネルにある電源ボタンを押すだけだ。全員が作業を終えたところで、一斉に電源を入れる。こういうとき、1台2台は起動しないのがこの種のイベントでは常だが、2日目午後の部に参加した全員のPCが、青色LEDのイルミネーションを輝かせながら見事に起動した。
イベントを主催したFOXインターナショナル・チャンネルズは、現在放送している番組で、PCやCPUを取り上げるだけでなく、PCの自作も紹介するが、それを、見るだけでなく、実際に体験してもらうために組み立て教室を企画したと説明する。ただ、彼らとしては初めての自作PC関連のイベントだったため、最初は希望者が集まるのかも不安だったが、いざ、募集すると、予想を大きく上回る応募があったという。
PCメーカーが夏休みや連休に合わせて組み立て体験を行うのとは別に、自作PCユーザーを増やすのが目的のPCパーツベンダー主催のイベントは、かつてはMSIが、そして、2012年に入ってからはGIGABYTE(と代理店のCFD販売)が積極的に実施している。応募も常に定員を上回るほどの人気と聞いている。この自作PCに対する興味が、うまく実際のユーザーの増加に結びつくと、自作PCの世界も夢と希望が見えてくるのかもしれない。
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