「GeForce GTX 660」は、型番だけ見ればGeForce GTX 660 Tiから“Ti”が取れた下位モデルと単純に捉えがちだが、実際にはGPUコアのコードネームからして別で、単に機能をDisable化した下位モデルではない。GeForce GTX 660 Tiが採用しているのはGeForce GTX 680と同じGK104だが、GeForce GTX 660は「GK106」を採用している。
GK106は、公開されたダイヤグラムを見る限り“いびつ”な印象を受けるコアだ。その最たるものが3基のGPCと5基のSMという数だろう。CUDAコア数は960基で、テクスチャユニットは80基だ。CUDAコア数は、GK104の場合、GPC×1基あたり336基であるのに対し、GK106は320基となる。テクスチャユニットはGPC×1基あたり12基で、これはGK104もGK106も同じだ。
型番 | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 670 | GeForce GTX 660 Ti | GeForce GTX 660 | GeForce GTX 650 | GeForce GTX 640 |
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開発コード名 | GK104 | GK104 | GK104 | GK106 | GK107 | GK107 |
SM | 8 | 7 | 7 | 5 | 2 | 2 |
CUDA Core | 1536 | 1344 | 1344 | 980 | 384 | 384 |
テクスチャユニット | 128 | 112 | 112 | 80 | 32 | 32 |
ROPユニット | 32 | 32 | 24 | 24 | 16 | 16 |
GPUクロック(MHz) | 1006 | 915 | 915 | 980 | 1058 | 900 |
Boost Clock(MHz) | 1058 | 980 | 980 | 1033 | − | − |
メモリクロック(MHz) | 1502 | 1502 | 1502 | 1502 | 1250 | 900 |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | DDR3 |
メモリ接続バス幅(ビット) | 256 | 256 | 192 | 192 | 128 | 128 |
メモリ帯域幅(GB/sec) | 192.26 | 192.26 | 144.2 | 144.2 | 80.5 | 28.5 |
メモリ容量(MB) | 2048 | 2048 | 2048 | 2048 | 2048 | 2048 |
L2キャッシュ(KB) | 512 | 512 | 384 | 384 | 256 | 256 |
最大消費電力(ワット) | 195 | 170 | 150 | 140 | 64 | 65 |
補助電源レイアウト | 6+6 | 6+6 | 6+6 | 6 | 6 | − |
PCI Express Gen. | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
トランジスタ数 | 35.4億個 | 35.4億個 | 35.4億個 | 25.4億個 | 13億個 | 13億個 |
プロセスルール | 28ナノメートル | 28ナノメートル | 28ナノメートル | 28ナノメートル | 28ナノメートル | 28ナノメートル |
Thermal Threashold | 98度 | 98度 | 98度 | 98度 | 98度 | 98度 |
GeForce GTX 660のリファレンスにおけるコアクロックは980MHzで、GeForce GTX 660 Tiのリファレンスにおけるコアクロックを上回る。また、ブーストクロックは1033MHzと1GHzを超える。なお、GeForce GTX 660 Tiを採用するグラフィックスカードで現在流通しているほとんどがオーバークロックモデルであるが、GeForce GTX 660を搭載する製品もオーバークロックモデルが多くなると思われる。
グラフィックスメモリの仕様は、GeForce GTX 660 Tiを共通する。ROPSユニットは24基、バス幅は192ビットで、グラフィックスメモリの転送レートはリファレンスで6008Gbps相当となる。帯域幅は144.2Gバイト/秒だ。
消費電力に関しては、補助電源コネクタがGeForce GTX 660 Tiの6ピン2基構成から6ピン1基に変更している。ただし、公称のTDPは140ワットで、これはGeForce GTX 660 Tiから10ワットしか下がっていない。一方で、NVIDIAは「Typically draws」は115ワットで、パワーターゲットを定格の110パーセントに設定しても127ワットと説明している。このうち、20ワットほどを冷却ユニットの駆動に割り当てているということなので、140ワットというのはかなり余裕のある値といえる。
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