2万円台と身近になったKeplerだ──「GeForce GTX 660」の“バランス”を検証するイマドキのイタモノ(4/4 ページ)

» 2012年09月14日 04時30分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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さらに優れた結果を示したゲームタイトルベンチマークテスト

Battlefield 3(Preset:UltraHigh)
F1 2011

Just Cause 2(Concrete Jungle)
Unigine Heaven 3.0(Tessellation:Extreme)

TessMark 0.3.0
システム全体の消費電力

 ゲームタイトルを使ったベンチマークテストでは、まず、バトルフィールド3で、フルHDの最高画質設定となるとやや厳しい結果が出た。キャンペーンのシーンにおける計測で50.1fpsとなると、マルチプレーヤーモードでは40fps台半ばといったところだろう。30fpsは超えているのでプレイは大丈夫だが、ベテランのPCゲームユーザーとなると気になりだすフレームレートだ。こうなると画質設定を落とすか、あるいは解像度を下げることになるが、1680×1050ドットでも60fps未満で、そのあたりを余裕で上回ってくるGeForce GTX 660 Tiとは異なる傾向だ。ただ、旧世代GPUと比較すると、フレームレートの向上は大きい。GeForce GTX 460の場合、1366×768ドットというかなり狭い解像度でも快適とはいえず、画質設定までも下げなければいけないのに対し、GeForce GTX 660の1366×768ドットは最高画質で快適に動作する。

 DirectX 11対応のF1 2011では、1920×1080ドットで80fpsを超え、1366×768ドットでは90fpsを超えている。GeForce GTX 560 Tiは、1920×1080ドットでも63fpsと十分なスコアではあるが、瞬間的に高負荷がかかる場合、60fpsを下回ってくるのに対し、GeForce GTX 660は60fpsをキープできるだけの余力がある。Radeon HD 7870と比較すると、その差は6fps程度でGeForce GTX 660が上回る。ただし、このタイトルに関してはRadeon HD 7870でも十分なフレームレートが得られており、1920×1080ドットでRadeon HD 7850の場合に画質設定を見直す必要があるだろうという程度である。

 DirectX 10.1対応のJustCause 2では、1920×1080ドットでGeForce GTX 660 TiやGeForce GTX 580に対し差が広がっている点が気になるが、CUDAコア数の差やGeForce GTX 580の広いバス幅との違いを考えれば、3DMarkやF1 2011などのゲームタイトルでそこまで大きな差にならなかったのがすごいことだ。なお、GeForce 9800 GTでも同一条件で比較可能なのでテストしているが、1920×1080ドットでは約3.6倍の差が生じている。GeForce 9800 GTでは、同じ画面設定で1366×768ドットでも厳しいので、アップグレードの効果は大きい。

 最後に消費電力を比較しておく。今回用いたGeForce GTX 660カードがオーバークロックモデルであるため、GPU電圧設定がリファレンスカードと同じかどうかは定かではなく、ファンも2基内蔵しているので、ここで示すのは参考値となる。

 アイドル時の消費電力に関しては76ワットと、比較中最も低い値となった。GeForce GTX 580と比較すると約29ワット、GeForce GTX 660 Tiからは約11ワット、そしてGeForce GTX 560 Tiからも約12ワットほど低い値だ。Radeon HDシリーズの2枚と比べてもわずかに低い。ただ、Radeon HDシリーズに関しては、ディスプレイ信号をオフにするとさらなる省電力モードに入ることを考慮しなければならない。

 高負荷時は271.1ワットという結果となった。GeForce GTX 580に対しては100ワットも低く、GeForce GTX 560 Tiに対しても35ワットほど低い。なお、ピークで270ワット台となると、最小構成に最近の高効率電源を組み合わせれば、450ワット級の電源ユニットで十分になる。かなりコンパクトなケースと組み合わせても、1世代前のハイエンドGPU並みのパフォーマンスを有するPCが組み上げられるだろう。

 消費電力をGeForce 9800 GTと比較してみると、アイドル時で約38ワット低く、高負荷時は約39ワット高い。ただし、GeForce 9800 GTとなると電源ユニットの仕様も古く、80PLUSの初期にあたる。当時のシステムで測定すると、今回の計測値よりも高く出る可能性はある。そう考えると、4倍の3Dパフォーマンスに、稼働中のPCにおいてかなりの部分を占めるアイドル時に40ワット近く省電力で、電源ユニットとセットで買い換えても3万円強となれば、買い替えタイミングだろう。

 加えて、動作音でも4世代の進化は大きい。今回用いたGeForce 9800 GTは1スロットタイプだったということもあるが、新世代GPUと比べると爆音と表現するしかない。一方でGeForce GTX 660の各社製品を見ると、多くが2スロットサイズでデュアルファン仕様だ。この点も、買い替え動機として十分考慮できる。

ミドルレンジで買い替えたくなる性能と価格

 GeForce GTX 660の“ゲーム性能”は、バトルフィールド3でいえば、フルHDの最高画質は難しいが、フルHDの高画質設定や、1680×1050ドット程度に落とせば十分に楽しめる。それより負荷の低いゲームでは、現在主流のフルHDディスプレイで、最高画質のゲームをプレイするのに十分なパフォーマンスを持っている。

 直接のライバルとなるのはRadeon HD 7870だ。同じ価格帯でほぼ同じ消費電力で、3DMark系列のベンチマークテストでは、Radeon HD 7870が上回るケースも多いが、ゲームタイトルを用いたベンチマークテストの結果となるGeForce GTX 660が上であるようにみえる。同等となると、外部補助電源コネクタの構成が気になる。GeForce GTX 660の6ピン1基に対しRadeon HD 7870の6ピン2基という構成は、同じ消費電力でもRadeon HD 7870が余裕をみている印象だ。オリジナル基板の多いこのクラスでは、より高効率な電源回路を採用することで、オーバークロックモデルでも6ピン1基で供給電力に余裕を確保できるだろう。

 価格に関しては、当初3万円オーバーだったGeForce GTX 660 Tiに対し、2万円台前半〜OCモデルで3万円弱といった価格帯に収まりそうだ。高負荷なゲームタイトルをフルHDで楽しみたいユーザーは、GeForce GTX 660 Tiのリファレンス仕様以上を使いたいが、そこまでの負荷を求めないゲームタイトルならGeForce GTX 660で十分だろう。

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