BRAVIAを吸収してテレパソの完全体となったか?――「VAIO L」を今こそ見直す:Zとは違う最強がココに(2/5 ページ)

» 2012年09月24日 20時30分 公開
[都築航一(撮影:矢野渉),ITmedia]

AV機器として所有欲を満たすデザイン

 VAIO Lシリーズのボディデザインは、家電量販店の液晶一体型PCコーナーへ行くと一目瞭然で、他社製品とは異彩を放つ。アルミダイキャストのV字型スタンドが象徴的に表しているように、AV機器としての見た目が大事にされ、PCっぽさを感じさせる要素は注意深く排除されているのだ。

ボディデザインは、前面(写真=左)はもちろん、背面(写真=右)も美しい仕上がり。アルミダイキャストのV字型スタンドが高級感を演出している。見た目にはPCではなく、ちょっと厚みがある液晶テレビのように見える

 といっても、日常的に使いづらいほどデザイン最優先ということもなく、PCを背負うからといって見た目もPC然としなければならない合理的理由など何もないことを静かに物語る。黒一色の本体中央下部に、BRAVIAと同じSONYのロゴが白く光る様子は、AV機能にこだわりを持つユーザーの所有欲を満足させるに十分だろう(映像に集中したいユーザーのため、SONYロゴの発光はもちろん止めることも可能だ)。

 この美しいデザインは従来機からほぼ踏襲されているが、光学式タッチパネル搭載機では避けられない、画面のフレーム部に取り付けられた赤外線センサーが、全体をややもっさりとした印象にしてしまっていた。今回は静電容量式タッチパネルの採用によって、フレーム部にセンサーを内蔵する必要がなくなり、画面のフレーム部は従来より細く、画面との間に段差がない洗練されたデザインに進化している。

 こうした静電容量式タッチパネルは、スマートフォンやタブレットデバイスなどの小型の機器向けには広く普及しているものの、24型ワイドという大きな画面サイズのPCでは採用例が少なく、VAIO Lにおいても2012年夏モデルでようやく量産化にこぎつけた段階ということだろう。

 ここまで見てきたように、VAIOおよびBRAVIAシリーズで培われた蓄積とデバイスの進歩が融合したことで、加飾のないすっきりしたスタイルと、高品質なAV機能という高いレベルのユーザー体験を両立できたのが本製品というわけだ。

スタンドの角度調整機構は、チルトのみとシンプルな作りだ(写真=左)。液晶ディスプレイのフレーム部は従来より細く、画面との間に段差がない洗練されたデザインに進化した(写真=右)。天面にはPCの電源、スグつくTV、外部映像入力、Webブラウザ起動のボタンが用意されている

充実したテレビ機能を支えるハイスペックなPC部分

 後ろに背負ったPCの基本スペックにもざっと触れておこう。VAIO Lシリーズの最上位機であるSVL24119FJBは、Ivy Bridge世代のCore i7-3610QM(2.3GHz/最大3.3GHz)およびIntel HM76 Expressチップセットを核とするモバイルプラットフォームを採用する。CPUは4コア8スレッド対応でTurbo Boost時は最大3.3GHzで駆動する、モバイル向けCore i7でも上位のチップだ。

背面のカバーを開けると、2基のSO-DIMMスロット、ミニカード型のB-CASカードスロット、ワイヤレスキーボードとマウスのレシーバーなどが現れる

 メインメモリは2基のSO-DIMMスロットに4GバイトのDDR3メモリモジュール(PC3-12800)を2枚搭載している。一方、ストレージデバイスはテレビ録画用に大きな容量が必要なことから、2Tバイトの3.5インチHDDがおごられている。また、BDXLの読み書きに対応したスロットイン方式のBlu-ray Discドライブを本体右側面に内蔵し、録画番組の書き出しからBlu-ray 3Dの再生までこなす。

 このほかの店頭モデルは、グラフィックス機能にNVIDIA GeForce GT 640Mを外付けする本製品とは異なり、CPU内蔵のものが利用されるといった差別化が図られているが、いずれも従来モデルに比べて、Sandy Bridge世代からIvy Bridge世代へと変更されたことで、パワーアップしている。

 AV機能を堪能するためのPCとして、まずは過不足のない仕様だ。液晶一体型PCは、拡張性の点ではどうしてもタワー型PCに譲らざるを得ないが、本体左側面に3基のUSB 3.0を備え、高速ストレージデバイスなどの対応機器であれば、余裕をもって対応できる。VAIOシリーズ伝統のIEEE1394(4ピン/S400)も健在だ。

 このほか、背面に3基のUSB 2.0(うち1基は電源オフ時のUSB充電にも対応)も搭載している。キーボードとマウスは無線式でこれらのポートを占有しないため、ポートの数としては十分だろう。ワイヤレス通信機能として、IEEE802.11b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0+HSも備えている。

 もう1つ挙げておきたいのが、HDMI出力端子を備えていることだ。GPUのGeForce GT 640Mに接続されたこの端子を使って、PCの画面を複製もしくは拡張することができる。液晶一体型PCでありながら、2枚のデスクトップ画面を使ってPCとしての使い勝手を高めることも簡単にできるわけだ。

左側面に、3基のUSB 3.0やIEEE1394(4ピン/S400)、SDXC/UHS(SDR50)対応SDメモリーカード/PRO-HG対応メモリースティック デュオ共用スロット、ヘッドフォン出力、マイク入力を装備(写真=左)。右側面には、スロットイン方式のBlu-ray Discドライブ、音量やチャンネル切り替え、ディスプレイ設定などのボタンが並ぶ(写真=右)

背面から見て右下に、3基のUSB 2.0(うち1基は電源オフ時のUSB充電にも対応)も搭載している(写真=左)。アイソレーションデザインのテンキー付きキーボード(約19ミリストローク/約2ミリピッチ)と、レーザーマウスはいずれも無線方式だ(写真=右)

VAIO L SVL24119FJBのデバイスマネージャ画面。HDDは「WDC WD20EARX-55PASB0」、Blu-ray Discドライブは「Optiarc BD-5850H」を搭載していた

液晶ディスプレイは高機能だが気になる点も

 液晶ディスプレイのスペックについても触れておくと、フルHD(1920×1080ドット)の高解像度に対応した「VAIOディスプレイプラス」と呼ばれるものが採用されている。VAIO独自のランク付けではミドルレンジの液晶だ。バックライトは白色LEDを採用する。

 パネルスペックの詳細は公開されていないが、目視の印象では、必要十分な視野角と鮮やかな色再現が好印象だった。ただし、グラスレス3D立体視のレンチキュラーレンズを液晶パネル前面に搭載しているため、見る角度によっては斜線のような模様と、独特のギラつきが感じられるのはやむを得ないところか。

 また、表面はグレア処理が施されており、あでやかで美しい映像を楽しめる半面、ある程度の映り込みも覚悟しなければならない。輝度が高く、部屋が明るい状態でも映画などの暗いシーンを再生できてしまうため、自分の顔が映って興ざめする場面もあった。ただし、汗かきの筆者でもタッチパネルを操作した指紋の後はほとんど気にならなかった。

 ちなみに、液晶パネル上部にはHD Webカメラ(有効100万画素)が搭載されており、このカメラが3D立体視におけるユーザーの顔認識も行なっている。また、画面に指で触れることなく特定アプリの一部操作を行なえるジェスチャーコントロール機能も備え、Webカメラはそのセンサーとしても機能する。

液晶ディスプレイはグラスレス3D機能の影響で、見る角度によって斜線のようなパターンとギラツキが感じられる(写真=左)。タッチパネルによる直感的な操作だけでなく、Webカメラに向かって手をかざすことで、かざし方によって対応ソフトの操作を実現するジェスチャー機能も他のVAIOシリーズ同様に搭載されており、Giga Pocket Digitalの再生操作などが可能だ(画面=右)

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