ソニー初のUltrabookはなぜこうなった?――新生「VAIO T」を丸裸にする:完全分解×開発秘話(3/6 ページ)

» 2012年09月26日 12時30分 公開

分解せずに内蔵HDDとメモリスロットにアクセス可能

 バッテリーを外すと、その上の小さなカバーを固定している3本のネジが現れる。今度はドライバーで3本のネジを外し、小さなカバーを開くと、メモリスロットとHDDにアクセスできる仕組みだ。

バッテリーに続けて、その上の小さなカバーを開けると、HDDとメモリスロットにアクセスできる

 メモリはオンボードで4Gバイトを実装しており、従来の1.5ボルトより低電圧な1.35ボルトでの動作に対応したDDR3L-1333(PC3L-10600) SDRAMを採用する。底面にはDDR3L対応SO-DIMMスロットが1基あり、ここに4Gバイトモジュールを装着することで、最大8Gバイトまでメモリを増設可能だ。

 データストレージは500Gバイト/5400rpmのSerial ATA HDDを内蔵する。通常の9.5ミリ厚タイプでは厚みが出てしまうため、薄型の7ミリ厚タイプを採用した。VAIO TではこのHDDに加えて、キャッシュ用の32GバイトSSD(mSATA)を搭載する。汎用性と価格面に配慮して大容量で低コストなHDDを採用しつつ、Ultrabookに求められる高速なレスポンスを実現するため、キャッシュ用のSSDを組み合わせた構成だ。このキャッシュは通常ユーザー側からは見えず、1台のHDDとして扱われる。

 キャッシュ用SSDの接続には、Intel Smart Response Technology(ISRT)を採用。一度読み込んだデータはSSDにキャッシュされるため、次回以降のアクセスが単体のHDDより高速になるのがポイントだ(メモリと異なり、OS再起動後もキャッシュは保持される)。ISRTの設定は、データをキャッシュ用SSDとHDDの両方へ同時に書き込む「拡張」モードに設定されている。

 なお、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルでは、ISRTを利用しない単体のSSDも選択可能だ。容量は128Gバイト、256Gバイト、512Gバイトから選べる。

7ミリ厚の500GバイトHDD(SATA)とキャッシュ用の32GバイトSSD(mSATA)を組み合わせたストレージ。キャッシュ用SSDは、さらにボトムカバーを外さなければ取り外せない。Ultrabookに求められる高速復帰の要件を満たすため、キャッシュ用SSDの選別や調整は量産直前まで続いたという

 Ultrabookは本体を分解しないと、メモリやストレージにアクセスできない製品が大半なので、(メーカー保証対象外の行為にはなるが)これらを交換・増設しやすい設計になっているのは、PCパーツの換装に慣れたユーザーにとって便利だろう。

 梅津氏は「Ultrabookでも内部パーツを交換しやすい設計は我々のこだわり。例えば、海外では故障時に保守サービスからユーザーの手元にHDDだけを発送して、交換作業をしてもらうといったサポートも提供しているため、小さなカバーを外すだけでHDDにアクセスできることが重要になる。今回は側面に有線LANやアナログRGBのコネクタが入る厚さを確保したので、HDDやメモリスロットを載せる余裕ができた」と、高い拡張性の背景を語る。

Ultrabookだからこそ、レスポンスと省電力にこだわり

「Rapid Wake + Eco」は「VAIOの設定」でオン/オフを切り替えられる。基本的にはオンのままで問題ない

 VAIO Tには、ISRTと組み合わせた独自の高速起動/低消費電力ソリューション「Rapid Wake + Eco」が備わっている点にも注目したい。これはIRSTによるスリープからの高速復帰、スリープ状態での長時間バッテリー持続に加えて、ソニー独自の工夫としてスリープ時におけるデータ喪失リスクを低減したものだ。

 具体的には、起動中に電源ボタンを押すか液晶ディスプレイを閉じると、作業状態を直ちにストレージに書き込んでから、スリープステートを「S3」に切り替えることで、スリープ時のデータ消失リスクを抑える。IRSTによる省電力なスリープ機能のおかげで、スリープ状態で休止状態のようにバッテリーを長時間持続させながら、電源ボタンを再び押すか、液晶ディスプレイを開くと即座に復帰することが可能だ。

 この状態で24時間経過するか、ACアダプタを抜くと、スリープステートが「S4」の休止状態に入り、約1カ月間はその状態でバッテリーが持つとしている。

 Rapid Wake + Ecoの採用に加えて、レスペンス面にもこだわった。竹中氏は「Ultrabookと名乗る以上、起動時間でVAIO最速をうたえるレベルのチューニングはしてある」と胸を張る。具体的には、起動時間を短縮できるように、OSビルドイメージの配置を工夫したり、ハードウェア構成によってBIOSの挙動を変更している。

ISRTの設定は「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー」のユーティリティで確認できる

 細かいところでは、後からメモリを追加した場合にもISRTが使いやすいように配慮した。HDD搭載モデルではメモリを増設しても、ISRTの機能がそのまま継続して利用できるようになっている。一方、SSD搭載モデルでメモリを後から増設すると、ISRTの機能を利用するのにリカバリが必要だ。

 この仕様について、竹中氏は「HDD搭載モデルでは、スリープ移行時にデータを書き込む領域を増設後のメモリ容量に合わせて確保しているが、SSD搭載モデルではこの領域を実態のメモリ容量ぶんしか使わないように設定した。SSDはHDDに比べて容量が小さいため、できるだけフルで記録領域を使いたいというユーザーニーズに応えるため、このようにストレージ別に仕様を変えている。SSD搭載モデルでは、メモリを足してリカバリすることで、メモリの増設ぶんだけデータの書き込み領域を確保する」と解説する。

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