高性能液晶パネル「IGZO」技術を採用した個人向け機器の商品化がいよいよ見えてきた。IT/エレクトロニクスの総合展「CEATEC JAPAN 2012」で、シャープがIGZO液晶を搭載したタブレット、eBook機器(電子ステーショナリー)のプロトタイプを参考展示した。
こちら、シャープブランドでの商品化はさておき、手元のスマートデバイスやPCにこのパネルが搭載されればなぁということで、部品としての採用も当然強く訴求しているものだという。
具体的なスマートデバイスのサンプルとして展示していたのは、10.1型サイズと13.3型サイズのタブレット、7型サイズのeBook端末というか電子ステーショナリーの3モデル。10.1型タブレットは解像度2560×1600ドットで画素密度は299ppi(ピクセル/インチ)、13.3型タブレットは2560×1440ドットで同221ppi。7型端末は1280×800ドットで同217ppiのIGZO液晶を採用する。
こちら、保護ケースに入れられていたので来場者が触れられる状態での展示ではなかったが、展示中のなんらかのエラーにより説明員が裏で再起動する場面において、いわゆる見なれた起動時のAndroidロゴが表示されたのを確認した。「IGZO液晶そのもののポテンシャルとしては当然まだ上を目指せますが、こちらは出そうと思えばすぐ商品化できる程度の完成度にはなっています」(説明員)。
高解像度の表示は、PCにおけるデスクトップ表示領域を広げられる点以外に、細かい部分をより精細かつ美麗に表示できるメリットがある。「そんな小さな機器にフルHD以上の解像度など不要」という声はあるが、アップルのiPhoneやMacBook Pro Retinaディスプレイモデルにおける「Retinaディスプレイ」もそうであるように、高い解像度を表示範囲そのものというより、文字や写真、UIといった表示の美しさを追求するために活用する考え方だ。
またIGZO液晶は現在主流のアモルファスシリコンTFT方式のそれと比べ、低消費電力かつ低ノイズで、細かい部分の反応性が良好な特性もある。機器へのタッチ/ペン操作においても、汎用のペン先のような細いものでも紙に記入する場合と同じ感覚で使用可能。ちなみに(電気伝導体である黒鉛を含む)えんぴつも使用できるほどという。
技術展示としてもう1つ、6.1型サイズで2560×1600ドット表示のデモも展示されていた。こちらは2012年6月のIGZO技術発表会で公開されたものと同じだが、画素密度はなんと498ppiだ。IGZO技術はそれ以上──500ppi以上のポテンシャルも持っているという。
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