Windows 8と一緒に「あのOSの2013年版」が出る中国山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2012年11月15日 09時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

「海賊版ショップも減りました!」「店関係ないし」

 この連載では、Windows Vistaが発売したときに、Windows Vista“Professional 2007”の存在を報告している。遡れば“Windows 97”という面妖なパッケージも確認している。

 そんな中国でも、いまや海賊版を扱うソフトウェアショップが減少している。これは、家庭におけるインターネット環境のほぼすべてがADSLなどのブロードバンドとなり、“海賊版”を数Mbpsの高速回線でダウンロードできるようになったことと、中国では30代以下の若い世代が、PCユーザーやインターネットユーザーの8割を占めていて、海賊版のダウンロードが多少困難であっても、難なく対処できることが挙げられる。とはいえ、大都市では正規版(!)のソフトウェアだけを扱う販売店も増えてきた。

 このように、ソフトウェアをめぐる事情が変わりつつある中国で、Windows 8は順調に普及しているのだろうか。中国各地にある電脳街を実際に歩いて確認してみると、各PCメーカーの代理店であっても、Windows 8搭載モデルをアピールする店はない。広大な中国でWindows 8販売キャンペーンを行っていたのは北京の電脳街「中関村」に設けた小さなブース1カ所のみ。説明スタッフも配置しているが、体験しようとブースを訪れるユーザーはいない。

 正規版ソフトウェアを扱う販売店でも、Windows 8のパッケージは確認できなかった。その代わりといってはなんだが、Windows7は大量に並んでいる。事情を確認するとそれもそのはずで、Microsoftは中国市場でパッケージ版を販売せず、ダウンロード版のみをリリースしているからだ。ソフトウェアのインストールリテラシーの平均値が高い中国だからユーザーに受け入れてもらえる戦略ともいえる(しかし、どちらかというと、“いけない”ソフトウェアを無理やり探し出してダウンロードしてインストールするというリテラシーだが)。

中国でも増えてきた正規版ソフトウェアを扱うショップ(写真=左)。Microsoftが用意したWindows 8の体験ブース(写真=右)。しかし、正規版ソフトウェアショップにはWindows 8のパッケージはなく、体験ブースには人気がなかった

 中国におけるWindows 8 Proアップグレード版のダウンロード版の実売価格は248元で、これは、日本の3300円とほぼ同じだ。さらに2012年6月2日から2013年の1月31日までにWindows 7 正規版を導入したPCを購入すれば、Microsoft 中国のWebページから購入店と購入したPC情報を入力することで、98元(約1250円)でWindows 8のアップグレード版を購入できる。Windows 8のキャンペーン価格は世界的に安く、Windows 7 Home Premiumも中国向けでは300元(3750円)前後で売られていたので、日本人が感じるほどのお得感はない(それ以前に、無料の海賊版が使われているわけで)。

 ダウンロード版の248元にしても、乗換キャンペーンの98元にしても、中国人が許容できる価格なのか、中国版Twitterという呼称で日本でも知られるようになった「微博」(Weibo)では、Windows 8の販売開始日から「Windows 8を買ってみた」と投稿するユーザーが少なからず確認できている。さらに、時間の経過とともに「海賊版のWindows 7でもWindows 8 Proにアップデートできる! ついに“正規版”買ったぜ! 」という投稿や、「Webページに購入店と購入したPCの情報を“適当に”入力したら98元で“正規版”を買えたぜ!」という声が増えてきている。

 海賊版を踏み台にして正規版のWindows 8がすごい勢いで普及しつつある中国で、Windows 8の海賊版はどうしているのか。すでに述べたように、海賊版ソフトウェアを扱う販売店は以前より減っている。雲南省の昆明では、電脳街になんとか海賊版ソフトウェアショップがあるものの、海賊版のWindows8はない。遼寧省の大連では電脳街内の「ソフトソフト、DVDDVD」と通行人につぶやくバイヤーに相談すると、電脳街の裏からWindows 8を取り出してきた。広東省広州では、小規模な電脳街に海賊版ショップがあり、ゲーム機の空箱の中から大量の海賊版Windows 8を取り出して見せてくれた。いずれもパッケージには「Enterprise」と書いてある。

中古PCショップに並ぶ製品は早くもWindows 8を導入していた。中古なのに……(写真=左)。大都市圏でわずかに生き残っている海賊版ショップで大量に出回っているWindows 8 “Enterprise”エディション。さらに、中国で独自進化を遂げている“Ghost” Windowsでも“8”が出現している(写真=右)

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