デスクトップとタッチ向け、2つのユーザーインタフェース(UI)で構成されるWindows 8は、ノートPCのカタチに変革をもたらしている。
メーカー各社は2つのUIが結合したWindows 8にPCの形状を最適化すべく、ノートPCとタブレットの2つのスタイルを切り替えられる変形ボディのハイブリッド型(コンバーチブル型)モバイルノートPCを続々と投入している状況だ。
既存のハイブリッド型モバイルノートPCは、液晶ディスプレイ部の回転やスライド機構、キーボード部の着脱機構によって、ノートPCとタブレットの融合を図っているが、ASUSTeK Computer(ASUS)が2012年11月14日に発表したUltrabook「ASUS TAICHI」は、まったく違うスタイルを提案してきた。
それはフルHD液晶の“デュアルディスプレイ”だ。
液晶ディスプレイ部の内と外、つまりノートPC形状とタブレット形状で使う画面をそれぞれ1枚ずつ計2枚用意することで、2つの形状を手軽に切り替えられるうえ、2画面ならではの新しい使い方も実現している。
しかも、視野角が広いIPS方式の11.6型フルHD液晶パネルをぜいたくにも2枚搭載し、外側の1枚は10点マルチタッチと筆圧検知のペン入力に対応していながら、厚さ17.4ミリ、重さ約1.25キロ(実測値1.256キロ)の薄型軽量ボディに仕上げているのだから驚きだ。
製品概要は既報の通りだが、今回は2012年12月8日の発売に先駆けて試作機を入手したので、動画とともに2画面の使いこなしをチェックしていこう。
| ASUS TAICHIの主な仕様 | ||
|---|---|---|
| 製品名(型番) | TAICHI21(TAICHI21-CW009H) | |
| OS | 64ビット版Windows 8 | |
| CPU | Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz) | |
| チップセット | Intel QS77 Express | |
| メモリ | 4Gバイト(PC3-12800) | |
| ストレージ | 256GバイトSSD | |
| 液晶ディスプレイ (内側画面/ノートPC面) | 液晶パネル | IPS方式(LEDバックライト) |
| 画面サイズ | 11.6型ワイド | |
| 表示解像度 | 1920×1080ドット | |
| 表面仕様 | ノングレア | |
| タッチパネル | 非搭載 | |
| 液晶ディスプレイ (外側画面/タブレット面) | 液晶パネル | IPS方式(LEDバックライト) |
| 画面サイズ | 11.6型ワイド | |
| 表示解像度 | 1920×1080ドット | |
| 表面仕様 | グレア | |
| タッチパネル | 搭載(筆圧検知ペン対応) | |
| 通信機能 | 有線LAN(100BASE-TX/付属のUSB変換アダプタ経由を利用)、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n)、Bluetooth 4.0 | |
| 外部ディスプレイ出力 | mini VGA×1(付属のD-Sub変換アダプタを利用)、micro HDMI(タイプD)出力×1 | |
| インターフェース | USB 3.0×2、ヘッドフォン/マイク共用 | |
| Webカメラ | ノートPC面:92万画素、タブレット面:500万画素 | |
| センサー | 電子コンパス、加速度センサー、ジャイロスコープ | |
| キーボード | 87キー日本語キーボード(バックライト搭載) | |
| ポインティングデバイス | マルチタッチ対応タッチパッド | |
| バッテリー駆動時間/充電時間 | 約5.2時間/約2.4時間 | |
| 本体サイズ | 306.6(幅)×199.3(奥行き)×3〜17.4(高さ)ミリ | |
| 重量 | 約1.25キロ | |
| 付属品 | USBイーサネットアダプタ、mini VGAアダプタ、専用スリーブ、専用EMRペン、ACアダプタなど | |
| 価格 | オープン(実売予想価格:13万9800円前後) | |
ASUS TAICHI(製品名TAICHI21)は2枚の液晶ディスプレイを最大限活用するため、4種類の表示方法を提供している。
ノートパソコンモードからタブレットモードへの切り替えは簡単だ。液晶ディスプレイを開いた状態では内側画面だけが表示され、ノートパソコンモードとして利用できる。液晶ディスプレイを閉じると、自動的に内側画面がオフになるとともに、外側画面がオンになってタブレットモードへ自動的に切り替わる仕組みだ。
ASUS TAICHIは2画面の搭載により、液晶ディスプレイの開閉という既存のノートPCで自然に行っていた動作だけで、モードチェンジが手軽に行えるのは見逃せない。独特の変形機構を採用した他社のハイブリッド型モバイルノートPCに比べて、変形の手間がかからず(高速に変形できる「VAIO Duo 11」のような例外もあるが)、幅広いユーザーにとって取っつきやすいだろう。


ノートパソコンモード(写真=左/中央)の状態で液晶ディスプレイをパタンと閉じると、外側画面がオンになってタブレットモード(写真=右)となる。液晶ディスプレイを開くと外側画面がオフになり、ノートパソコンモードに戻る仕組みだ。ノートパソコンモードでは天面の右上にASUSロゴが点灯するが、タブレットモードではASUSロゴが消え、タッチセンサーのWindowsボタンと画面が浮かび上がる外側の11.6型フルHD液晶ディスプレイは、静電容量式の10点マルチタッチに対応したタッチパネルに加えて、付属の電磁誘導式ペンを使った256段階の筆圧検知によるペン入力機能も備える。これにより、タブレットモードでは指でのマルチタッチとペン入力が可能だ。視野角が広いIPS方式の液晶パネルのおかげで画面を斜めから見たり、縦位置表示で使ってもコントラストや色度が崩れることはないが、表面は光沢あるグレア処理なので映り込みは発生する。

指でのマルチタッチ操作に加えて、256段階の筆圧検知が可能なペン入力機能にも対応。筆圧検知に対応したペイントアプリ「Fresh Paint」(写真=左)や、手書き、テキスト、画像を組み合わせたメモを作成できるアプリ「SuperNote」(写真=右)が利用できる
付属の電磁誘導式ペンはN-Trig製のものを採用し、単6形電池で駆動する。N-Trigのタッチパネルとペンソリューションは液晶ディスプレイ部を薄型化しやすく、2画面を内と外に配置したASUS TAICHIでマルチタッチとペン入力を実現しつつ、薄型軽量ボディに仕上げるのに貢献している。本体にペンの収納部はないが、付属のキャリングケースにペンのポケットがあるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.