「Xperia Tablet S」の防滴・薄型軽量・長時間駆動はいかに実現したか開発者ロングインタビュー前編(2/3 ページ)

» 2012年11月27日 11時45分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]

防滴ボディに仕上げ、アクセサリもスマートに接続、しかし「それでも薄く」(メカ・設計部門)

―― Xperia Tablet Sは本体がずいぶん薄くなりました。

VAIO&Mobile事業本部 Tablet事業部 商品設計部 三浦崇氏(メカ設計担当)

三浦氏 薄型化は最大のテーマでした。先代機は持ちやすさを優先し、あえて厚みを持たせたボディデザインを採用していたのですが、第2世代を設計するにあたっては、競合他社の動向などトレンドも考えて、薄くなければいけないという要望が、企画の城重からも強くありました。

 従来からの雑誌を折り返したようなラップデザインの踏襲、強度と質感の確保(裏面の素材を樹脂からアルミニウムに変更)、防滴仕様の追加と、要素が多数ある中で、試行錯誤を重ねて進めてきました。少しずつの積み重ねで薄型化と軽量化を追求しています。

 特にIPX4相当の防滴仕様ということになると、本来なら水が浸入しないような構造を付け加えていく必要があるのですが、逆に薄くしなければならないということで、この辺りはかなりトライ&エラーを繰り返した部分です。

Xperia Tablet S(左)と先代機となるSony Tablet S Wi-Fiモデル(右)の比較。Xperia Tablet Sは本体サイズが239.8(幅)×174.4(幅)×8.8〜11.85(高さ)ミリ、重量が約570グラム。Sony Tablet S Wi-Fiモデルは241.2(幅)×174.3(奥行き)×10.1〜20.6(高さ)ミリ、重量が約598グラムだ。最厚部で8.75ミリも薄くなり、重量は約28グラム軽くなった

―― 防滴はどのように実現しているのでしょう。

VAIO&Mobile事業本部 Tablet事業部 商品設計部 青木喜彦氏(プロジェクトリーダー)

青木氏 実はかなりシンプルに、この部分(カバーのフチを指差して)に接着紙を使って密閉することで実現しています。本体が薄くなっているだけでなく、デザイン上の絞り込み部分があるので、メカの構造として付け加えることは大変難しく、最終的にこういう方法で落ち着きました。

―― 相当な精度が要求されるのではありませんか?

青木氏 その通りです。ちょっとでもズレていると防滴になりません。ここでしっかり密閉するために設計もそうなのですが、製造のほうにも大変ご協力いただきました。その過程では品質試験のために台湾の施設に行っていた三浦が行ったきり……。「まだ帰ってこないの?」というようなこともありました。

三浦氏 部品自体の工作精度の管理はもちろんですが、治具(カバーを接着する際に正確な位置に合わせるためのサポート工具)の調整も入念に行い、高い精度で組み上げることができるようにしています。改善を重ねて、最終的に満足できる工作精度になったのですが、累計ではゆうに100回以上……120回くらいは作り直してテストを行いました。

Xperia Tabletのカバーを開いた状態。カバーはアルミニウムのパーツと、ラップデザインを形作る樹脂パーツで構成されている

本体内部のレイアウトは、中央に大きくバッテリーを配置し、上部にメイン基板、下部にサブ基板を搭載している(写真=左)。上下の基板をつなぐ2本のフレキシブルケーブルは、液晶ディスプレイ出力用とマルチポート用だ。基板を上下に分けて配置しているのは、重量バランスや強度などを考慮した結果という。防滴はカバーの端にのりしろのような部分を設け、接着紙で密閉するというシンプルな手法で実現している(写真=右)。製造部門には高度な部品の工作精度、合わせ精度が要求される

Xperia Tablet Sの内部フレーム。ボディカバーにアルミニウムを採用したため、剛性を補強するマグネシウムダイキャストの内部フレームは最小限だ

Xperia Tablet Sの内部フレームはシンプルにまとまっている(左)。樹脂製カバーを利用し、マグネシウムダイキャストの内部フレームで強度を確保していたSony Tablet Sのフレーム(右)と並べると、違いがよく分かる

―― 今回は本体のデザインに最適化されたアクセサリも豊富です。

城重氏 実はアクセサリのチームとも設計の段階から密にやりとりして作業してもらいました。本体がある程度できてからカバーやドックなどのアクセサリを作ると、どうしても固定具が大きくなったり、不格好になったりして美しくなりません。本体を薄く軽くしても、その魅力が半減してしまいます。

三浦氏 本体をギリギリまで薄く、かつ見えるところに穴を開けず、いかにスマートに収めるかは難しいテーマでしたが、結果としてラップデザインの折り返し部分を使ってカバーなどを固定する仕組みにして、うまく処理できたと思います。

―― 薄型化にあたってターゲットとなる数値はありましたか?

三浦氏 バッテリー駆動時間、防滴、強度、まずそういう条件を満たしながら、できるだけ薄く、ギリギリのところを狙うというアプローチで進めてきました。おおまかなイメージとして10ミリは切らなければダメだという意識は持っていましたが、具体的な数値は決めていません。

城重氏 世界最薄最軽量といったことは目指していません。まず薄さありきではなく、あくまでもどのように使いたいか、どれくらい長く使いたいか、エクスペリエンスを重要視しながら薄くするという優先順位です。今回はバッテリー駆動で10時間のWebブラウジングというのが譲れない条件でした。

田中氏 そもそもXperia Tablet Sの開発を始めるときには、まず画面サイズとして9.4型がベストなのか、そういう部分から改めて見直していきました。結果として9.4型に落ち着きましたが、決めるまでにはアンケートも取りましたし、モックもいろいろと作りました。

 また、画面を囲む額縁の広さもさまざまな検討をしました。複数のモックを作って自由に触ってもらい、どう持ってどう使うか、持ち手が画面に触れるか触れないか、ビデオに撮っておいて確認するということもやりました。やはり額縁が狭いとどうしても意図せずに画面を触れてしまい、使いにくいだろうという結論に至りました。

厚みのある黒い部分は縦位置で握りやすく、アクセサリのカバーなどを固定するフックの役割も果たす(写真=左)。9.4型ワイド液晶ディスプレイのフレーム部は、誤って画面に指で触れないよう、広めに確保している(写真=右)

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