では、転送速度はどうか。MacBook Pro Retinaディスプレイモデル(A1398)でそれぞれのモデルのデータ転送速度を計測しよう。
まずは「Disk Speed Test Ver 2.2」(ストレス5Gバイト)で測定した結果から。My Passport for Macはリード速度が112.1Mバイト/秒(896.8Mbps)、同ライトが109Mバイト/秒(872Mbps)。対してMy Passport Edgeはリード速度が109Mバイト/秒(872Mbps)、同ライトが108.2Mバイト/秒(866.4Mbps)となった。値は若干My Passportシリーズが良好だが、基本的はほぼ同等のデータ転送速度性能を持つととらえてよい範囲だ。
参考として、同じドライブをUSB 2.0(理論値最大480Mbps)で接続して計測した結果を下段に並べた。USB 2.0ではリード38Mバイト/秒(304Mbps)ほど、ライト37.3Mバイト/秒(298.4Mbps)ほどにとどまり、USB 3.0(理論値最大5Gbps)接続は約300%のパフォーマンス向上が望めることが分かる。
HDDの入れ替えやバックアップ作業などにて、総量がテラバイトクラスのデータ群をガッとコピー/移動する機会があるとしよう。それが2Tバイト分あると仮定すると、USB 2.0接続では約15時間、USB 3.0接続ではそれが約5時間に短縮される計算だ。普段使いにおいても、ファイル容量の大きな高解像度の写真データや映像データを大量に扱う機会が多いなら、これまでのUSB 2.0のHDDからUSB 3.0接続とするだけで利便性が格段に向上するはずだ。
続いて理論値最大10GbpsとするThunderbolt接続の「My Book VerociRaptor Duo」はどうか。
こちらはリードが377.8Mバイト/秒(約3Gbps)、ライトが356Mバイト/秒(約2.8Gbps)と、外付けHDDながら内蔵SSD(512Gバイト)に匹敵するスペシャルな速度だった。HDDとしては最速クラスの1万rpm・VerociRaptorドライブを用い、それをRAID 0のストライピング構成とすることで、内蔵SSDに匹敵するデータ転送速度を実現できることになる。
Disk Speed Testはどのクラスの映像データまで扱えるかの指針も表示されるが、1080p/60fpsデータ(10ビット YUY4:4:2)の編集作業を普通に行えるほど、非常に高い実力を備えていることが伺える。
初期フォーマットをHFS+JとするUSB 3.0対応モデルとして、My Passport for Mac USB 3.0とMy Passport Edge for Mac USB 3.0は、USB 3.0接続によるデータ転送速度もさることながら、MacBook AirおよびMacBook Proとの見た目上の親和性も考慮したデザイン性のよさが魅力だ。
価格帯+より大容量を望むならMy Passportを、より薄型と携帯性を望むならMy Passport Edgeを選択する感じだろう。参考として2012年11月末現在(以下同)の通販サイト実売価格は、My Passport for Mac USB 3.0の2Tバイトモデルが1万8000円前後(ギガバイト単価:約9円)、同1Tバイトモデルが9900円前後(同約9.9円)、同500Gバイトモデルが8000円前後(同約16円)。容量500GバイトのMy Passport Edge for Mac USB 3.0は9900円前後(同19.8円)。計算すると2TバイトのMy Passport for Mac USB 3.0が最もコストメリットが高いようだ。
一方、My Book VerociRaptor Duoの実売価格は7万8000円前後(Gバイト単価:約39円)だ。価格はそれなりに張るが、映像編集のプロフェッショナル/ハイクラス層向けということも勘案し「何よりパフォーマンスを」というユーザーに合致する。
ちなみに本機で採用する1TバイトのVerociRaptorシリーズ(WD1000DHTZ)は実売2万5000円前後だが、それを合計2基、そしてUSBケースより割高と思われる“Thunderbolt+RAID+ツインドライブ内蔵対応HDDケース”を含みつつそのパフォーマンスを考えると、現時点では納得できる価格帯と思われる。
HDDであることの利点は、やはりバイト単価の安さだ。内蔵SSDと同等クラスの速度ながら、2Tバイトと大容量であるのがポイントとなる。あくまで参考として、15インチMacBook Pro RetinaディスプレイモデルのSSDを256Gバイトから512Gバイトに変更すると、プラス4万4000円。同じく256Gバイトから768Gバイトに変更するとプラス8万8000円。また、1Tバイトの単体2.5インチSSD製品となるとラインアップはまだわずかで10万円以上という価格になる。外付けHDD製品においてスペシャルな速度と容量を両立したいのであれば、本機以外の選択肢はごくわずかに絞られるだろう。
なお、やや遅くてもよいので、より大容量のThunderbolt+RAID対応モデルを望むのであれば、兄弟モデルに「My Book Thunderbolt Duo」(容量は8T/6T/4Tバイト)もある。こちらも候補に考えてみてほしい。
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