OCZが訴える“自社開発”Barefoot 3の優位性「彼らはコントローラ、自分で作れないからね」

» 2012年11月29日 19時02分 公開
[長浜和也,ITmedia]

買収したIndilinxとPLXの技術力でOCZ独自コントローラを実現

 OCZ Technologyは、11月29日に自社開発の新しいコントローラを採用するSSDの新シリーズ「Vector」の製品説明会を東京で行った。Vectorシリーズは、OCZが擁するSSDの中でハイエンドラインアップとして登場する。

 Vectorシリーズのラインアップは、容量が異なる3モデルで構成し、実売予想価格は128Gバイトモデルが約1万3500円、256Gバイトモデルが約2万4400円、そして、512Gバイトモデルが約4万9000円となる見込みだ(この実売予想価格は説明会の資料の中で示されたもの)。日本市場では、すべてのモデルが11月30日から出荷を開始する。

 製品には、3.5インチドライブベイに搭載する変換ブラケットと環境移行ユーティリティの「Acronis True Image」が標準で付属する。本体の厚さは7ミリで、Ultrabookへの搭載も可能だ。

OCZのSSDで最上位シリーズとして登場するVectorシリーズ(写真=左)は、容量違いで128Gバイト、256Gバイト、512Gバイトの3モデルを用意する。本体の厚さは7ミリでUltrabookへの搭載も可能だ(写真=右)

 OCZ Technologyのジョニー・プレストン氏は、Vectorシリーズの概要を説明した。Vectorシリーズは、コントローラにOCZが開発した「Barefoot 3」を採用する。OCZは、半導体メーカーのPLXとコントローラメーカーのIndilinxを買収しており、コントローラのファームウェアをIndilinx出身のチームが開発し、それを実装するチップをPLX出身のチームが開発することで、結果的にOCZの自社開発のコントローラをVectorシリーズで採用することができた。

 Barefoot 3は、ARM Cortex 9のほかに、フラッシュインタフェースを管理する専用コプロセッサとして、OCZ Aragonを実装する。プレストン氏は、専用コプロセッサを搭載する理由として、フラッシュインタフェースの管理はSSDの性能に重要な影響を与える部分で、データ補正やエラー修正、効果的なガベージコレクションを行うことで、SSDの耐久性と信頼性を向上することになると説明する。また、圧縮処理を行わずに高速なデータ転送を実現しているので、データの安定性にも優れるという。

カバーを外してシステムボードをみる。OCZのロゴを載せたフラッシュメモリに囲まれた中央のチップがOCZが買収したIndilinxとPLXの技術力で新規に開発したコントローラの「Barefoot 3」だ(写真=左)。コントローラには、プロセッサとしてARMとOCZのAragonを実装する。Aragonは、フラッシュインタフェースの管理を行うコプロセッサとして動作する(写真=右)

4Kバイトランダムライトで突出した性能を発揮

 キャッシュメモリはDDR3を利用可能で、容量128Gバイトモデルと256Gバイトでは256Mバイト×2の512Mバイト、512Gバイトモデルでは、512Mバイト×2の1Gバイトをキャッシュメモリとして実装する。そのほかの主な仕様は以下の通りだ。

Vectorシリーズ主な仕様
容量 128Gバイト 256Gバイト 512Gバイト
フラッシュメモリ 25ナノプロセスルール MLC
インタフェース Serial ATA 6Gbps
コントローラ Barefoot 3
DRAMキャッシュメモリ 512Mバイト 1Gバイト
最大読み込み速度 550Mバイト/秒 550Mバイト/秒
最大書き込み速度 400Mバイト/秒 530Mバイト/秒
最大4Kバイトランダム読み込み 90000IOPS 100000IOPS
最大4Kバイトランダム書き込み 95000IOPS 95000IOPS
消費電力 アイドル状態:0.9ワット/アクティブ状態:2.25ワット

 プレストン氏は、VectorシリーズとOCZの従来SSD「Vertex 4」、さらに、競合他社のSSDで測定したベンチマークテストの値を比べながら、Vectorシリーズのスコアが、4Kバイトランダムアクセスリードと4Kバイトランダムアクセスライトの値で高い一方、シーケンシャルリードとシーケンシャルライトでVertex 4より低い値となっていることに触れ、OCZでは、SSDの性能として4Kバイトのランダムアクセスを重視していると説明した。これは、OSの起動処理やアプリケーションの起動において、サイズの小さなファイルにランダムでアクセスする機会が多く、この処理の性能を高くすることでユーザーがPCを使う体感速度も向上するからだ。

 また、容量128GバイトモデルではVertex 4より低いシーケンシャルアクセスも、容量256Gバイト、そして、容量512Gバイトでは、ライトテストでVertex 4を上回る。ほかにも、OCZ Technologyで行った、IOMETER 2010 Full Fill 4Kランダムライト QD32を15分行うベンチマークテストでは、テスト時間に伴う性能低下が最も少ない、もしくは、性能低下が発生しないなど、長期間の使用でも性能が安定するBarefoot 3の優位性を示した。

OCZが測定したベンチマークテストのスコアを比較すると、ランダムアクセスにおけるリードライトで優れた結果を示す(写真=左)。

説明会では、2台のVectorでRAID 0を構成したシステムでベンチマークテストを実施し、ランダムアクセスにおける性能や、Full Fill 4Kバイトランダムライト QD32で15分間書き込んだあとでも性能を維持することを紹介した

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