OCZ Technologyは、11月29日に自社開発の新しいコントローラを採用するSSDの新シリーズ「Vector」の製品説明会を東京で行った。Vectorシリーズは、OCZが擁するSSDの中でハイエンドラインアップとして登場する。
Vectorシリーズのラインアップは、容量が異なる3モデルで構成し、実売予想価格は128Gバイトモデルが約1万3500円、256Gバイトモデルが約2万4400円、そして、512Gバイトモデルが約4万9000円となる見込みだ(この実売予想価格は説明会の資料の中で示されたもの)。日本市場では、すべてのモデルが11月30日から出荷を開始する。
製品には、3.5インチドライブベイに搭載する変換ブラケットと環境移行ユーティリティの「Acronis True Image」が標準で付属する。本体の厚さは7ミリで、Ultrabookへの搭載も可能だ。
OCZ Technologyのジョニー・プレストン氏は、Vectorシリーズの概要を説明した。Vectorシリーズは、コントローラにOCZが開発した「Barefoot 3」を採用する。OCZは、半導体メーカーのPLXとコントローラメーカーのIndilinxを買収しており、コントローラのファームウェアをIndilinx出身のチームが開発し、それを実装するチップをPLX出身のチームが開発することで、結果的にOCZの自社開発のコントローラをVectorシリーズで採用することができた。
Barefoot 3は、ARM Cortex 9のほかに、フラッシュインタフェースを管理する専用コプロセッサとして、OCZ Aragonを実装する。プレストン氏は、専用コプロセッサを搭載する理由として、フラッシュインタフェースの管理はSSDの性能に重要な影響を与える部分で、データ補正やエラー修正、効果的なガベージコレクションを行うことで、SSDの耐久性と信頼性を向上することになると説明する。また、圧縮処理を行わずに高速なデータ転送を実現しているので、データの安定性にも優れるという。
キャッシュメモリはDDR3を利用可能で、容量128Gバイトモデルと256Gバイトでは256Mバイト×2の512Mバイト、512Gバイトモデルでは、512Mバイト×2の1Gバイトをキャッシュメモリとして実装する。そのほかの主な仕様は以下の通りだ。
Vectorシリーズ主な仕様 | |||
---|---|---|---|
容量 | 128Gバイト | 256Gバイト | 512Gバイト |
フラッシュメモリ | 25ナノプロセスルール MLC | ||
インタフェース | Serial ATA 6Gbps | ||
コントローラ | Barefoot 3 | ||
DRAMキャッシュメモリ | 512Mバイト | 1Gバイト | |
最大読み込み速度 | 550Mバイト/秒 | 550Mバイト/秒 | |
最大書き込み速度 | 400Mバイト/秒 | 530Mバイト/秒 | |
最大4Kバイトランダム読み込み | 90000IOPS | 100000IOPS | |
最大4Kバイトランダム書き込み | 95000IOPS | 95000IOPS | |
消費電力 | アイドル状態:0.9ワット/アクティブ状態:2.25ワット | ||
プレストン氏は、VectorシリーズとOCZの従来SSD「Vertex 4」、さらに、競合他社のSSDで測定したベンチマークテストの値を比べながら、Vectorシリーズのスコアが、4Kバイトランダムアクセスリードと4Kバイトランダムアクセスライトの値で高い一方、シーケンシャルリードとシーケンシャルライトでVertex 4より低い値となっていることに触れ、OCZでは、SSDの性能として4Kバイトのランダムアクセスを重視していると説明した。これは、OSの起動処理やアプリケーションの起動において、サイズの小さなファイルにランダムでアクセスする機会が多く、この処理の性能を高くすることでユーザーがPCを使う体感速度も向上するからだ。
また、容量128GバイトモデルではVertex 4より低いシーケンシャルアクセスも、容量256Gバイト、そして、容量512Gバイトでは、ライトテストでVertex 4を上回る。ほかにも、OCZ Technologyで行った、IOMETER 2010 Full Fill 4Kランダムライト QD32を15分行うベンチマークテストでは、テスト時間に伴う性能低下が最も少ない、もしくは、性能低下が発生しないなど、長期間の使用でも性能が安定するBarefoot 3の優位性を示した。
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