“無印”な3DMarkをTITANで走らせるイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2013年02月27日 12時12分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

異機種間で統一できる指標となる新「3DMark」

 3DMarkで大きく“進化”したのが「クロスプラットフォーム測定」が可能になった点だ。Futuremarkは、これまでの3DMarkシリーズを、x86/x64 Windowsで動作するDirectX対応として開発してきた。タブレットデバイスやスマートフォンが搭載するグラフィックスコアも高性能化が進み、今では「主要なゲームデバイス」としてもゲームベンダーは認識している。ともすれば、PCゲームのシェアを脅かすほどだ。こうした新たなデバイスも、3Dグラフィックスの処理性能においてPCと同じ指標で比較できるというのは大きな意味を持つ。

 そのクロスプラットフォームで測定結果を比較できる「3DMark」だが、対応しているのは、x86 Windows、Windows RT、Android、iOSの4つだ。まずそれぞれの動作要件をまとめておこう。

 x86/x64 Windows版の最小構成は、OSがWindows Vista、CPUは1.8GHz以上のデュアルコアCPU(AMD、または、インテル)、システムメモリの容量は2Gバイト以上、データストレージには3Gバイト以上の空き容量、グラフィックスカードはDirectX 9対応以上のGPUを搭載する。ただし、Windows Vistaでは、DirectX 11に対応するマイクロソフトのパッチの適用が必要だ。推奨構成では、OSがWindows 7、または、Windows 8に、システムメモリの容量が4Gバイト以上、グラフィックスカードにはDirectX 11対応のGPUを搭載して1Gバイト以上のグラフィックスメモリを乗せる必要がある。最小構成の条件はキビシイものではなく、Atomを搭載したWindows 8タブレットでも実行可能だ。

 Windows RTだが、こちらはまだ製品バリエーションが少ないため、Futuremarkは後日公開する予定としている。また、一部のデバイスではすべてのテストを実行することができない、ともいわれている。Androidデバイスでは、OSがAndroid 3.1以降、CPUは現在検証中とのことで明らかにしていない。システムメモリは1Gバイト以上を要する。グラフィックスコアがサポートするAPIはOpenGL ES 2.0互換以上、データストレージには300Mバイト以上の空き領域が必要となっている。ハードウェアの動作要件としてはそれほど厳しい条件ではなく、およそ2年前のモデルでもクリアできそうだ。iOSでは、OSがiOS 5.0以降、デバイスとしてはiPhone 4以降、iPad 2以降、第5世代iPod touch以降をサポートする。こちらもデータストレージの空き容量は300Mバイト以上必要としている。

シナリオは「Ice Storm」「Cloud Gate」「Fire Strike」

 「3DMark」では、大きく分けて3つのシナリオを用意している。それぞれ「Ice Storm」「Cloud Gate」「Fire Strike」とあるが、x86/x64 Windows、及び、Windows RTに関しては3つすべてが対象となる一方、AndroidとiOSデバイスでは最も軽いシナリオのIce Stormのみが動作する。なお、それぞれに「Demo」を用意しており、初期設定ではDemoを1巡してからテストを実行する。

 Ice Stormは、DirectX 9相当(DirectX 11のDirect3D Feature level 9)、または、Open GL ES 2.0に対応したシナリオ、Cloud Gateは、DirectX 10相当(DirectX 11のDirect3D Feature level 10)のシナリオ、Fire Strikeは、DirectX 11対応のシナリオと、分けられている。

 Ice Stormは、タブレットデバイスやスマートフォンといったデバイスもサポートする「高性能な携帯端末」(Windowsを導入するタブレットPCなどを含む)向けのシナリオという位置づけになる。標準設定の解像度は、1280×720ドットで、必要となるグラフィックスメモリの要求も128Mバイト程度だ。シナリオは、Graphics test 1(GT1)、Graphics test 2(GT2)、Physics testの3部構成になる。GT1がバーテックスシェーダの処理性能の測定、GT2がピクセルシェーダの処理性能測定になる。Physics testは、オープンソースのPhysicsライブラリを用いるが、主たる目的はCPUの演算処理能力の測定だ。

3DMarkのシリーズではレギュラーといってもいい「宇宙海賊」が登場するIce Storm。Ice Stormの設定項目はAdvancedエディション以上で変更可能だ。標準設定ではテクスチャフィルタリングはトライリニアでMSAAも1、シャドウマップも1024となっている

 Cloud Gateは、ホームPCなどバリュークラスの汎用PC向けのシナリオだ。標準設定で解像度は1280×720ドットと、Ice Stormと変わらないが、必要とするグラフィックスメモリは256Mバイトほど要求する。標準の画質設定も、陰影のサンプル数が4、DoF品質がLow、Bloom Resolutionが8分の1など、負荷は比較的低い。シナリオは、GT1、GT2、Physicsという3部構成だが、映像はIce Stormと異なり、それぞれの頂点(バーテックス)数、ピクセル数も、Ice Stormからは大幅に増えている。GT2では、シンプルなレベルといいつつもボリューメトリック・イルミネーションを用いている。Physics testはIce Stormと同様、オープンソースのライブラリを用い、CPUで処理を行っている。ソフトボディやリジットボディも用いている。

Cloud Gateはスターゲート的な構造物に宇宙船が入港して、また、出港する(絵的には射出に近いが)ストーリーだ。Cloud Gateの設定項目は、Ice Stormより増えて、ボリューメトリック・イルミネーションやアンビエント・オクルージョン、DoF、ブルームなどが設定可能となっている

 Fire Strikeは、最新のPCゲームや限界近くまでチューニングするオーバークロックといったハイエンドPCを想定したシナリオだ。通常設定に加えてExtreme設定というのも用意している。解像度は、通常設定が1920×1080ドット、Extreme設定では2560×1440ドットとなる。また、グラフィックスメモリは、通常設定でも1Gバイト以上、Extreme設定では1.5Gバイト以上を必要とする。標準の画質設定では、通常設定が主にMediumレベルであるのに対して、Extreme設定ではHighレベルを適用している。

 シナリオの構成は、GT1、GT2、Physics testのほかに、Fire StormのみCombined testが加わる。GT1はジオメトリ演算と照明にフォーカスしたテストで、GT2ではパーティクルとスモークなどのGPUシミュレーションにフォーカスしている。Physics testは、ほかのシナリオと同様に、オープンソースのライブラリを用いたものでNVIDIA PhysXなどに特化したものではない。CPUを利用しているのも共通する。

 Combined testは、GPUとCPUの双方に多大な負荷をかけるテストとなる。Physics testはCPU演算にフォーカスし、GPU負荷を下げているのに対し、こちらは双方に負荷をかけることで総合的な性能を評価する。また、CPUのマルチスレッディング対応、DirectX 11で利用できるテッセレーション、ボリューメトリックとパーティカルe関連のイルミネーションなども影響する。

 なお、これらテストの詳細に関しては、Futuremarkがテクニカルガイドを公開されている。

Fire Strikeは怪しげな地下スラム街で格闘を描くストーリーだ

Fire Stormの設定項目。Cloud Gateから、テッセレーション関連を追加したほか、アンビエント・オクルージョンやDoFのパラメータを引き上げている。さらに、Extreme設定になるとテクスチャフィルタリングに異方向性フィルタを適用し、各パラメータもテッセレーション以外はすべて最大設定を適用している

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