Amazonが自社のサービスを存分に楽しんでもらうため、Androidをベースに最適化した独自のタブレット、それが「Kindle Fire」シリーズだ。
2012年12月に7型モデルの下位機「Kindle Fire」と上位機「Kindle Fire HD」が国内で発売されたのに続き、2013年3月12日には画面サイズがひとまわり大きな最上位機「Kindle Fire HD 8.9」がようやく出荷開始となった。米国での販売開始から約4カ月遅れての日本上陸だ。
このKindle Fire HD 8.9は、画素密度が約254ppiと高い8.9型ワイドの高解像度ディスプレイに、高音質をうたうステレオスピーカーを内蔵するなど、単純に汎用(はんよう)のタブレットとして見ても、魅力的な仕様となっている。
Kindle Fireシリーズの特徴である高いコストパフォーマンスは健在で、フルHDオーバーの高解像度に対応した8.9型タブレットながら、16Gバイトモデルで2万4800円、32Gバイトモデルでも2万9800円と3万円を切る安さだ。
ボディは、7型ワイド液晶搭載のKindle Fire HDを一回り大きくしたような外観だ。本体サイズは240(幅)×164(高さ)×8.8(厚さ)ミリ、重量は約567グラム(実測では555グラム)。iPadをはじめ、一般的な9〜10型クラスのタブレットと比較すると、ディスプレイのフレームが広く取ってある。特に横位置での左右のフレームは幅23ミリ程度と広い。その一方で、厚さは8.8ミリと薄型に配慮したボディだ。
側面は滑りにくい非光沢仕上げで、エッジに丸みを持たせてあり、広めのフレームもあって、横位置でも縦位置でもしっかり握れる。裏面はマットブラックでしっとりした手触りのコーティングとなっており、質感はなかなかのもの。ステレオスピーカーがある部分のみ金属の質感を生かした「Kindle」ロゴ入りの黒いバーが埋め込まれ、これがデザイン的なアクセントにもなっている。
基本スペックは、プロセッサのSoC(System-on-a-Chip)にTexas InstrumentsのOMAP4470(1.5GHz)を採用。CPUコアにCortex-A9を2つ、GPUコアとしてPowerVR SGX544、独自のハードウェアエンコーダ/デコーダ(IVA3)を統合している。ストレージにはeMMCを採用し、16Gバイトモデルと32Gバイトモデルがある。画面サイズ、解像度の向上に伴い、Kindle Fire HD(OMAP4460/1.2GHz)をひと回りグレードアップさせた仕様だ。
通信機能は、IEEE802.11a/b/g/nに準拠したデュアルバンド(2.4GHz/5GHz帯)、デュアルアンテナ対応(MIMO)の無線LAN、Bluetoothを備えており、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープも内蔵している。
ボタン類は電源と音量調整のみ、インタフェースもMicro USB(Micro-B)とMicro HDMI出力、ヘッドフォン出力端子のみとシンプルな構成だ。microSDなどのカードスロットは搭載していない。カメラはインカメラ(HD画質/画素数非公開)のみで、アウトカメラは非搭載だ。カメラ、スピーカーの配置、ロゴの入れ方などを見ても、基本的には横位置で使うことを想定しているのだろう。
内蔵するリチウムイオンバッテリーの容量は不明だが、バッテリー駆動時間は約10時間(ビデオや音楽の視聴、読書などの使用時)とされている。充電はMicro USBポートを使って行なう。
PCの通常のUSB 3.0ポートに接続してみると「低電力充電器に接続されています」と表示される。(使用中の消費電力が給電能力より大きいため)使用中の充電はできず、スリープ時/電源オフ時のみ充電できる仕様だ。
純正ACアダプタ「Kindle PowerFast急速充電器」は別売(990円)で、実測でのサイズは43(幅)×43(奥行き)×26(高さ)ミリ、重量は49グラムと非常にコンパクト。さらにプラグ部分が収納できるようになっているため、携帯性が非常に高い。出力仕様は5ボルト/1.8アンペアとなっており、Kindle Fire HD 8.9を約5時間で充電できる。
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