“6万円切りでカラマネ対応”の23型フルHD液晶――EIZO「ColorEdge CS230」を試す(前編):プロ御用達ブランドがここまで手軽に(2/3 ページ)

» 2013年04月10日 17時15分 公開

ColorEdgeならではの高画質化技術と表示安定化技術

 CS230はColorEdgeシリーズの一員ということで、とにかく安定した表示を中長期に渡って提供し続けられるよう、通常のディスプレイにはない技術が多数盛り込まれている。

 まずはEIZO独自の輝度ムラ・色度ムラ補正(デジタルユニフォミティ補正)回路を内蔵している点に注目だ。これにより、輝度と色度が均一になるように画面全体、全階調で補正を行い、画面の表示均一性を確保している。

工場で1台ごとにRGB各色0〜255のすべての階調を調整している

 また、工場で1台ごとにRGB各色0〜255の全階調を調整し、理想のガンマ値になるように16ビットLUT(6万5281階調)の中から最適な値を選び、8ビット(256階調)に再割り当てする個別調整を出荷前に行うことで、ディスプレイの個体差を吸収し、滑らかな階調表現をできるよう配慮している。

 昨今は出荷前にディスプレイの個別調整を行っていることをアピールする他製品も少しずつ増えているが、256階調のすべてを16ビットLUTの高精度で調整し、業務用測定器と熟練した人間の目の両方でチェックするといった厳密な調整は、ColorEdgeシリーズならではのアドバンテージだ。

 とはいえ、デジタルユニフォミティ補正回路や工場出荷前の個別調整については、普段の利用でその恩恵を感じにくいかもしれない。なぜなら、実機の利用においてはこうした優位性をユーザーに伝えるわけでもなく、あまりに自然に画面全体で均一な表示ができ、滑らかな階調表現が行えるため、バックグラウンドの技術や苦労に気付かないのだ。

液晶ディスプレイ上部に内蔵された「コレクションセンサー」は、明らかに通常のディスプレイと異なる付加価値だ。自動で出し入れされるセンサーのギミックも含め、購入後の満足度を高めてくれるだろう

 その一方で、明らかにほかのディスプレイとは外観から違う特徴もある。それが液晶ディスプレイ上部に内蔵され、計測時のみ自動で出し入れが行われる「コレクションセンサー」だ。

 白色点や輝度の目標値に沿ったキャリブレーションには外付けのキャリブレーションセンサーが必要になるが、一度調整してしまえば、後はこのコレクションセンサーが自動で白色点と輝度を保持する表示補正を行ってくれる。これは中長期の利用において、実に使い勝手がよい。

 カラーマネジメント対応ディスプレイは、表示を一定に保つため、定期的な再キャリブレーションが必要になる(EIZOは「200時間に1回」の再キャリブレーションを目安としている)。1日8時間使い続けた場合、25日に1回はキャリブレーションを行うことになるわけだが、外付けのキャリブレーションセンサーを接続して調整し直すのは意外に面倒だ。しかし、面倒だからといって再調整しないで使い続けると、経年変化で輝度や色温度が次第にずれてくるため、カラーマネジメント環境を構築した意味がなくなってしまう。

 コレクションセンサーは、こうしたカラーマネジメント対応ディスプレイにつきまとう定期点検の手間を省く画期的な仕組みなのだ。一度キャリブレーションをして、コレクションセンサーの調整タイミングを経過時間で設定しておけば、後はおまかせで定期的な表示補正をしてくれる。PCの電源がオフでもディスプレイが自動的に再調整を実施し、常に正しい表示を維持するため、ユーザーの手を煩わせることがない。普段からディスプレイをキャリブレーションして使っているユーザーならば、この便利さをすぐ分かっていただけるはずだ。

 ディスプレイの輝度は経年変化によって低下していくが、CS230はバックライトの輝度低下を回路内のセンサーで測定し、適切に補正することで、輝度低下とそれに伴う色度変化も抑えている。また、ディスプレイ内部に周囲の温度変化を感知するセンサーも搭載し、温度変化に伴う色度変化の抑制、ガンマ値の変化まで補正する手の込みようだ。

 さらにディスプレイの電源をオンにしてから、短時間で輝度を安定させる「輝度ドリフト補正回路」も備えている。外光センサーが周囲の明るさを感知し、バックライト輝度を自動調整する「Auto EcoView」機能も搭載しているが、CS230は基本的に輝度を目標値に固定して使う製品なので、使う機会はほとんどないだろう(キャリブレーションモードでは自動調光機能がオフになる)。

液晶パネルが素材だとしたら、それをおいしい料理に仕上げるのが独自開発のASICだ。これによるEIZOの画作りも差異化要因となっている

 これはColorEdgeに限らないEIZOディスプレイの特徴だが、独自の高画質化技術や表示安定化技術の核となる映像エンジンに、自社開発のASICを使っていることも触れておきたい。長年のディスプレイ開発で培った独自機能とアルゴリズムで制御することにより、高精度な色演算処理を行い、滑らかな階調表現や安定した表示にこだわっている。

 なお、上位の24型モデルであるCX240には、周囲の温度変化、色温度、輝度の変更に対しても安定して画面の表示均一性が保てる最新世代のデジタルユニフォミティ回路が備わっている。また、CX240は電源をオンにしてから表示が安定するまでの時間を従来比で4分の1以下に短縮した新世代の輝度ドリフト補正回路も持つ。電源オンから約7分で、輝度だけでなく、色度、階調特性も安定するように設計されており、すぐに色再現性の高い環境で作業が開始できるという。

 こうした点で上位機とは差が付けられているCS230だが、通常の液晶ディスプレイと比較した場合、カラーマネジメント対応ディスプレイ特有の高画質化や表示安定化の技術を多数盛り込んでいるのは、色を扱う作業において大きなメリットとなる。

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