カラーマネジメント対応ディスプレイではさほど重要ではないが、基本仕様についても見ていこう。
液晶パネルは広視野角のIPS方式(ノングレア)を採用。解像度は1920×1080ドット(フルHD)、輝度は300カンデラ/平方メートル(キャリブレーション推奨輝度は120カンデラ/平方メートル以下)、コントラスト比は1000:1、視野角は上下/左右で各178度、応答速度(中間階調域)は10.5msだ。オーバードライブ回路はあるものの、応答速度が遅めなので、動画向けではなく、静止画の表示や編集に適している。
インタフェースは、デジタルとアナログの両方に対応したDVI-I(HDCP対応)、DisplayPort、HDMIの3系統の映像入力を装備。DisplayPortとHDMIをどちらも搭載しているので、Mini DisplayPort互換のThunderboltを備えているMacや、HDMI出力しかないUltrabookなどでも問題なく接続できるだろう。
また、USB 2.0のダウンストリーム2ポート(ハブ用)と、アップストリーム2ポート(ディスプレイコントロール用)も搭載する。ディスプレイコントロール用のUSBアップストリームが2ポートあるため、2台のPCで使う場合も、ケーブルを差し替えずにキャリブレーションできるのがポイントだ。
表示色については、DisplayPort接続時にRGB各10ビットの入力に対応。10ビット入力対応の一部GPU(NVIDIA Quadro、AMD FirePro/FireGL)と対応ソフトウェア(Adobe Photoshop CS6など)を組み合わせることで、10ビット表示時に約10億7374万色の色再現を実現する(それ以外ではRGB各8ビットの約1677万色表示)。色域はsRGB相当となる。
消費電力は最大で54ワット、標準で21ワット、節電時および待機時で0.5ワット以下(ただし、USB非接続時)だ。シリーズ中で最も画面サイズが小さいことに加えて、LEDバックライトを採用したこともあり、カラーマネジメント対応ディスプレイとしては消費電力は高くない。

1920×1080ドット表示の23型ワイド液晶パネルはノングレア仕様で、外光の反射や映り込みが目立ちにくい(写真=左)。表示品質の検証はレビュー後編で行う。重厚感のあるボディはブラックで統一されており、スタンドの後ろにはケーブルを束ねるドアも用意されている(写真=右)
電源はボディに内蔵しており、背面の1次電源スイッチを切ることで、消費電力は0ワットにできる(写真=左)。映像入力はDVI-I(HDCP対応)、DisplayPort、HDMIの3系統を搭載するほか、2台のPCでディスプレイをコントロールできるようUSB 2.0のアップストリームポートを2基備えている(写真=右)本体サイズは544(幅)×245.5(奥行き)×372.5〜526.5(高さ)ミリ、重量は約7.5キロだ。画面左右のフレーム幅は約15ミリある。LEDバックライトを内蔵した23型ワイド液晶ディスプレイにしては大きめでどっしりしたボディだが、それが逆にカラーマネジメント対応ディスプレイとしての安心感を生んでいる。液晶ディスプレイ部の厚さをしっかり確保して放熱(と安定した表示)に配慮しており、スタンド部の剛性が高い。上位モデルと異なり、ファンを内蔵していないため、動作音は静かだ。
スタンドの可動範囲が広いこともうれしい。上30度のチルト、左右344度のスイベル、154ミリ範囲の昇降といった画面の位置調整に対応するほか、画面の縦回転機能も持つ。画面を最も下げた状態では、表示面の下端が設置面から約56ミリの高さに来る。設置面ギリギリまで画面を下げられるのは、特にノートPCとデュアルディスプレイ環境で使う場合などに重宝するだろう。
このスタンド部は軽い力でスムーズに動くわけではなく、ある程度の力を加えて動かす必要があるが、無段階でピタリと止まり、誤ってちょっとボディに触れた程度では、画面の位置がずれたりしない。こうしたプロの道具を思わせる堅実な作りは好印象だ。
以上、レビュー前編はColorEdge CS230の概要とカラーマネジメント対応ディスプレイとしての特徴を中心にまとめた。近日公開予定のレビュー後編では、独自ソフトウェアのColorNavigatorとColorNavigator Elementsを試したうえで、目視に加えて、キャリブレーションセンサーを利用した実機の表示品質チェックも行う。
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