SSDなのにテラバイト級!! 「Crucial M500」の実力診断すごく、大きいです(3/3 ページ)

» 2013年04月30日 16時42分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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PCMark 7のテスト結果

 FutureMarkのPCMark 7は、主にOS標準のアプリケーションを利用して実際の利用シーンをシミュレートするベンチマークテストだ。ドライブを指定してストレージの性能を計測できる「Secondary Storage score」の結果を掲載した。

 結果としては、m4に比べて順当にアップしているが、Video editingとstarting applicationsはm4よりも低いスコアとなっている。共通するのは小さいサイズのリード(特にランダム)を多く含むことで、特に後者は大半が64Kバイト以下のリード処理なので、そのあたりが影響しているのかもしれない。Samsung 840 PROにはほとんどの項目で見劣っているが、やはりstarting applicationsでは特に差が顕著に見られる。

 なお、バージョン1.4.0から表示されるようになった「Raw Secondary score」の値も掲載している。これは、システムのビジータイムを考慮した調整をしていない生の計測データということである。要するにこのスコアは、ストレージの純粋な性能だけでなく、CPUを中心としたシステム性能全般によって左右される数字だ(今回は共通のシステムで計測しているので横並びで比較しても構わないはずである)。当然傾向も同じだが、実際にかかった時間をベースにしているので、こちらを見たほうが使用感の違いがイメージしやすいかもしれない。

PCMark 7 1.4.0(Secondary storage/Raw secondary storage)

PCMark Vantageの結果

 PCMark 7の一世代前のベンチマークテストであるPCMark Vantageの結果も見てみよう。まだメインストレージとしてはHDDを想定していたWindows Vista時代に開発されたものだが、アップデートでWindows 8にも対応しており、現在でも指標の1つとしては有効だ。

 m4よりよいが840 PROには劣る、という結果は、PCMark 7と共通。ただし、PCMark 7よりもm4との差は大きく、840 PROとの差はかなり小さくなっており、半分の項目で840 PROを上回っている。

 上回っている項目は、Windows Defender、gaming、importing pictures to Windows Photo Gallery、Windows Vista startupの4つで、いずれもリード中心の処理だ。逆に見劣っているテストはライト性能の比重が比較的多いものが3つ。そしてapplication loadingのみはリード中心でありながらスコアが大きく見劣る。PCMark 7ほど細かいところまではテストデータが公開されていないのだが、処理内容はPCMark 7のstarting applicationsに準じていると思われる。

 HD Tune Pro5.50/Block size mesurementで見せた「小さいサイズのリード性能がいまひとつ」という傾向は、PCMarkのstarting applicationsやこのPCMark Vantageのapplication loadingの結果で裏付けられているといえる。

PCMark Vantage x64 1.2.0(HDD Test Suites)

消費電力

 最後に、消費電力を見てみよう。アイドル時のほか、テキストファイルと静止画(JPEG)で構成した合計500Mバイトの読み/書きの時の消費電力と、2〜3GバイトのMP4ファイルで構成した合計10Gバイトの読み/書き時の消費電力を計測してみた。リード時とライト時の電力に差があること、そしてCrystalDiskMarkでは、リードテストの前にテストドライブに対してテスト用のファイルを書き込む処理が入ることからリード時のみの電力が正確に計測できないため、今回はこのような計測方法にしてみた。

 結果については、アイドル時で1.8ワット、ライト時最大4ワットという数字だけをみれば、最近のSSDとしては高めの消費電力である。しかし、960Gバイトという大容量である点は考慮する必要がある。840 PRO(MZ-7PD256)に対して4倍弱、m4(CT128M4SSD2)に対して8倍近い容量があることを考えると十分許容範囲だ。m4に対して最新世代のアドバンテージを十分に示しているといえるだろう。

消費電力

最新世代らしい性能傾向、大容量である意義も大きい

 これまで見てきた結果をまとめると、最速を争うレベルには加われないものの、2012年秋以降に登場してきている最新世代のSSD、それもハイエンドクラスのSSDに近いオールマイティな性能をもつ製品であるといえる。

 最速レベルに少し及ばない原因は、小さいサイズのリード性能がいまひとつであることが大きいと思われるが、先代のm4もファームウェアのアップデートで大幅に高速化された実績があり、解消される可能性も期待していい。

 ほかに比べて遅れての登場であることを考えると最速レベルでない点は物足りなさもあるが、売れ筋に加わって不思議のない製品だろう。特に960GBモデルは7万円を切る価格で販売されており、買い得感が高い。

 何より、2.5型7ミリ厚、このフォームファクタで960Gバイトという容量に、かけがえのない魅力を感じるユーザーは少なくないはずだ。SSDとHDDの分業が一般化した現在でも、デジタル一眼レフで撮影した現像前のRAWデータ、ビデオ編集などに使う加工前の動画データなどを高速なSSDに置いておこうとすると、少し溜めてしまうとすぐに容量がかさむ。500Gバイトクラスでも手狭に感じることが多いのではないだろうか。

 SSDが1台しか搭載できないノートPCや液晶一体型PCのストレージのアップデート用途にはもちろん、自作含めたデスクトップPCでも、現状、Intelの7シリーズチップセットにはSerial ATA 6Gbpsポートは2つしかないだけに、1台で1Tバイト近い大容量が稼げるSSDは貴重な存在といえる。

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