「G1-Killer」の“次世代マザー”を先行公開いい音色だろう?(1/2 ページ)

» 2013年05月02日 10時00分 公開
[本間文,ITmedia]

 台湾GIGABYTE Technology(以下、GIGABYTE)は、新北市の同社本社において、ゲーミングマザーボード「G1-Killer」シリーズの次世代製品に関する報道関係者向けイベントを開催し、新シリーズに採用する新しいオーディオ機能を披露した。

 なお、当日は、同シリーズに採用されるチップセットやCPUに関する開示はいっさいなく、本稿でも“大人の事情”により、CPUやチップセットに関する内容は省いてお伝えすることをご了承願いたい。

GIGABYTE Technologyは、正式発表を前に次期G1-Killerシリーズとその新機能を公開

 G1-Killerシリーズは、2011年1月にIntel X58を搭載した「G1.Assassin」など3機種が発表され、以降、Intel Z68を搭載した「G1.Sniper2」、Intel Z77を搭載した「G1.Sniper3」と同シリーズ初のmicroATXモデル「G1.Sniper M3」と進化を遂げてきた。

 そして、今回公開されたのは「G1. Sniper 5」と「G1. Sniper 5M」の2製品。世代的には第4世代となる両モデルだが、日本以上に中華圏では「死」を連想させる「4」という数字が嫌われるため、3から5へのジャンプとなったようだ。

G1-Killerシリーズは、ゲーマーをターゲットとして、パフォーマンスだけでなく、オーディオ機能も追究してきた(画面=左)。その第4世代となる「G1.Sniper 5シリーズ」では、オーディオ機能のさらなる追究が特徴となる(画面=右)

次期G1-Killerシリーズのフラグシップモデルとなる「G1.Sniper 5」(写真=左)。同microATXモデルの「G1.Sniper M5」(写真=右)

 GIGABYTEでは、このG1-Killer次世代製品の開発にあたり、これまでのマザーボードにない特徴としてオーディオ機能に焦点を当て、ユーザーが好みの音色や音域の再現性を追究できるよう、オーディオCODECからの出力を増幅する「オペアンプ」(OPアンプまたはOPAMPとも呼ばれる)をユーザーが自由に交換できるようにした。

 オペアンプとは、Ooperational Amplifier(オペレーショナル・アンプリファイア)と呼ばれるもので、アナログ信号を増幅してデジタル回路に橋渡ししたり、デジタル回路から変換されたアナログ進行を増幅する役割を果たす。このオペアンプには、同回路自身ではノイズをほとんど加えずに信号を増幅できることから、オーディオ機器の出力増幅回路としても幅広く活用されてきた。このオペアンプには、ICの違いによって音質などの再現性が異なり、手軽に音色を変える手段の一つとしてオーディオマニアには広く知られている。

 現在、マザーボード上に搭載されているオーディオICの出力も、小型のオーディオアンプ(ラインドライバ)ICを通して増幅されオーディオ端子に出力されている。しかし、GIGABYTEでは、G1.Sniper 5と同M5において、このオーディオ出力の一部を、8ピンのオペアンプIC端子を通じて出力できるようにすることで、高品質オーディオ機器に採用されているオペアンプなどにも交換できるようにした。これにより、オーディオ用として市販されているオペアンプに換装することで、ユーザー好みの音質で音楽やビデオ再生を楽しんでもらおうというものだ。

G1.Sniper 5シリーズでは、オペアンプをユーザーが自由に交換できるよう、ソケットタイプのオペアンプを採用(画面=左)。オペアンプは、オーディオCODECからの出力を増幅する役割を果たすが、ICによって音質や音色が異なることも特徴となる(画面=右)

オンボードのオペアンプ用ソケット(写真=左)。オペアンプ交換のしかた。オペアンプICのノッチとソケットのノッチをあわせて挿入するだけだ。なお、マザーボードにはICを引き抜くためのツールが同梱される(写真=右)

 GIGABYTEでは、同機能を実装するにあたり、オンボードオーティオのノイズを最小限に抑えるべく、基板上のほかの回路からの干渉を最小限にするオーディオ・ノイズ・ガードを採用。このオーディオ・ノイズ・ガード部にはLEDライトが組み込まれ、動作中は緑色に光るようにしている。先に、オペアンプはノイズをほとんど加えない特性があると述べたが、取り入れるオーディオ信号にノイズがあれば、それもあわせて増幅してしまう。

 そこで、同社では基板上のオーディオ回路を、ほかの回路から分離する設計を採ったというわけだ。また、同社はオーディオ出力端子やHDMI端子などに15ミクロンの金メッキを施すことで、端子の耐久性や信号伝達性を高めているという。さらに、G1.Sniper 5シリーズでは、高級オーディオ機器にも採用されているニチコンのオーディオ用コンデンサを採用することで、音質の向上も図っているとアピールする。

オーディオ回路の独立性を高めノイズを最小限にするオーディオ・ノイズ・ガードを採用(写真=左)。オーディオ・ノイズ・ガード部にはLEDライトが組み込まれ、通電時は緑色に光る(写真=右)

オーディオ端子とディスプレイ端子には15ミクロンの金メッキが施される。また、CreativeのSound Core3D回路部にも金メッキが施されたシールドが採用される

オーディオ回路ではコンデンサにニチコンのオーディオ用コンデンサを採用し、音質を追究

 G1.Sniper 5シリーズには、オンボードでTexas Instruments(以下、Ti)傘下のBurr-Brown OP2134を搭載。また、マザーボードのパッケージには、もう一つポップスなどの再現性に優れるオペアンプとされるTiの「LM4562」(旧National Semiconductor製品)と、オペアンプ交換に利用するツールを同梱する。

G1.Sniper 5シリーズに標準搭載されるOP2134

 このオペアンプからの出力は、マザーボード背面のI/Oパネルのヘッドフォン端子からのみで、フロントのヘッドフォン端子には、ゲームサウンドなどの再現性に優れるとされるTiのオーディオラインドライバDRV632が採用されている。これは、「G1-Killerシリーズのゲーミングマザーボードとしての特徴をスポイルすることなく、さらにより高音質な音楽やビデオの視聴を楽しめるようにしたいからだ」と、同社でテクニカルマーケティングを統括するColin Brix氏(Marketing Director、Technical Marketing Department、Services & Marketing Center、Motherboard Business Unit)は説明する。

 さらに同氏は、G1.Sniper 5/M5の発売にあわせて、3種類のオペアンプを同梱したアップグレードキットを発売する計画であることや、G1-Killerシリーズ以外にも、同機能を採用した製品を3製品投入する計画があることを明らかにした。

同社はOP2134は、数多くのオーディオ機器で採用されている高品質オペアンプだとアピール(画面=左)。G1.Sniper 5シリーズには、オンボードに搭載されるOPA2134に加え、LM4562とオペアンプIC引き抜き用のツールが同梱される予定だ(画面=右)

フロントヘッドフォン用にはゲーマーにも定評が高いオーディオラインドライバDRV632を採用する(画面=左)。G1.Sniper 5シリーズのオーディオ出力(画面=右)

G1.Sniper 5シリーズの発売にあわせて、3種類のオペアンプを同梱した「OP AMPアップグレードキット」も投入予定(画面=左)。オペアンプ機能を採用する製品を、さらに3モデル投入する計画も明らかにされた(画面=右)

 これまで、PCでオーディオ性能を追究しようと思えば、高価なサウンドカードを購入するしか手がなかったが、オーディオオペアンプは種類も多く、安いものは数百円と価格も安い。国内では入手性も悪くないので、IC交換で好みの音色を探すという楽しみをDIY市場にもたらす製品としても期待は高まる。

市場には、さまざまなオーディオ用オペアンプが存在し、その価格も数百円〜数千円と手ごろだ(写真=左)。省電力のCPUと組み合わせればファンレスのシステム構築も可能だとアピールしていた(写真=右)

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