それではU2413の発色を測色器で調べてみよう。測色器を持たない人も多いと思われるので、i1 Profilerを用いてsRGBモードとAdobe RGBモードそれぞれのガンマと色域をi1 display Proで測定し、プリセットモードの有用性を調べた。
まずはガンマ補正の測定結果だが、なかなか優秀だ。このチャートは入力と出力が1:1になっていること、そしてRGBの各線がそろっていることが望ましい。sRGBモードは暗部でやや乱れが生じているが、明部に移行するに従ってきれいなラインとなる。Adobe RGBはsRGBと傾向が逆で明部でわずかな乱れがあるものの、許容できるレベルといえる。
色域はMac OS XのColorSyncユーティリティを使用し、測定時に作成したプロファイルと代表的な色域を比較した。色の付いている部分がU2413の色域、薄いグレーの部分がsRGB規格およびAdobe RGB規格の色域だ。こちらも結果は優秀でsRGB、Adobe RGBともほぼ完ぺきに色域をカバーできている。高い色再現性を備えていると言ってよいだろう。
キャリブレーション結果以外の部分については、目視でもチェックした。色ムラについては目立ったところはなく、全体に落ち着いている印象だ。輝度ムラはそれなりに散見されるが、輝度差はさほど大きくない。設定する輝度によっては目立たなくなるはずだ。
なお、本機を含め新タイプのデジタルハイエンドシリーズは統一性補正という色ムラと輝度ムラの補正機能を搭載している。この機能を使えば表示ムラを改善できるが、プリセットモードの標準、色温度、ユーザーモードでしか使用できないところは惜しい。
先に述べたとおり、U2413のsRGB/Adobe RGBモードはしっかりと調整できているので、sRGB/Adobe RGBモードで使用できないのでは本機能の魅力が半減してしまう。しかも、機能を有効にすると自動的に輝度が最適値に固定される(標準モードで使ったところ198カンデラ/平方メートルだった)。固定される輝度も高めであるため、あまり実用的ではないように思う。
以上のように、U2413は性能と使い勝手がどちらも高いレベルに仕上がっている。工業出荷前の調整によってsRGBモードとAdobe RGBモードにおける高い色再現性を確保しつつ、使いやすいハードウェアキャリブレーション機能を搭載し、長期に渡る運用も可能としている。プロやハイアマチュアユースの用途にも耐え得るはずだ。
一般的にAdobe RGB色域に対応できるようなディスプレイは価格が高いが、本機の直販価格は4万9980円と抑えられているので、ライトユーザーでも導入しやすい。この価格ならば複数購入してマルチディスプレイ環境を作るのもありだろう。
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