第4世代CoreプロセッサーがノートPCの再発明を加速する――Intel基調講演COMPUTEX TAIPEI 2013(1/2 ページ)

» 2013年06月05日 15時54分 公開
[本間文,ITmedia]
タブレットとノートPC両方の性格をあわせ持つ2-in-1が、パーソナルコンピューティング機器市場におけるゲームチェンジャーとなる

 Intelは、台北国際展覧館(Taiwan International Trade Center)などで6月4日〜8日まで開催されるアジア最大のIT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2013」において、オープニングキーノートスピーチを飾った。

 同社チャネルセールス担当副社長のトム・キルロイ氏が登壇し、開発コード名“Haswell”で知られる第4世代Coreプロセッサーを正式発表するとともに、新しいパーソナルコンピューターのカタチとして、ノートPCとしてもタブレットとしても使える2-in-1デバイスへの移行を加速する意向を明らかにした。

2-in-1デバイスへの移行を加速

 キルロイ氏は、Intelは2000年から13年間に渡りCOMPUTEXのオープニングキーノートを担当し、「PC業界においてマイルストーンとなるトピックを、最高のパートナーである台湾とともに迎えてきた」と述べ、2001年のPC誕生20周年、2004年には無線LANをノートPCの標準装備とするCentrinoブランドの立ち上げ、2008年の低価格ノートPCとしてのNetbookの投入、そして直近では2011年のUltrabookのアナウンスと、これまでの歩みを振り返った。

 そして、同氏は「かつてPCの進化は10年ごとのペースだったが、いまでは数カ月で大きな変化が現われるほど、短距離走のようなペースになっている」と指摘。その例として、タブレットのOSは、2012年第2四半期まではiOSが圧倒的な強さを見せていたが、2013年第1四半期にはAndroidが過半数を超えるまでに成長したことを挙げた。

 また、タブレットのタッチスクリーンサイズは、2012年第2四半期まで9型以上の製品が4分の3を閉めていたのに対し、7型などの一回り小さな液晶ディスプレイを搭載したタブレットが過半数を占めるまでに急成長。ところが、このトレンドと真逆のことがスマートフォン市場では起きており、スマホのタッチスクリーンサイズは拡大傾向にあるなど、ユーザーのニーズは日ごとに変化を見せ、それにあわせて端末も大きく様変わりする状態にある。

Intelは、2000年以降PC市場における重要なマイルストーンとなるソリューション発表の場に、COMPUTEX TAIPEIを選んできた(写真=左)。2000年以前は、PCの進化は10年スパンだった(写真=右)

いまやPCを取り囲むパーソナルコンピューティング機器の進化のスピードは、短距離走のようなスピードになっている(写真=左)。タブレットOSのシェアでは2012年前半まで圧倒的だったiOSだが、2013年第1四半期にはAndroidが過半数以上のシェアを獲得。Windowsを搭載したタブレットも増え始めている(写真=中央/右)

タブレットのタッチスクリーンサイズは小型化がトレンドだ(写真=左/中央)。一方、スマートフォンでは、タブレットとは逆にスクリーンの大型化が始まっている(写真=右)

 そこで、IntelはUltrabookに大きな変革をもたらす。それが、同社が2-in-1と呼ぶ、タブレットの優れたユーザー体験や携帯性と、ノートPCの持つ優れたパフォーマンスや生産性を両立させた“ニコイチ”製品への積極的な移行だ。

 キルロイ氏は「ユーザーのインターネットへの関わりは、着実に増え続けており、スマートフォンユーザーの大半は、その操作の90%以上を、SNSやメール、Webブラウジング、コンテンツ視聴などのコンピューティングに費やし、Huluなどのオンラインコンテンツサービスも普及段階に入っている」と指摘。デジタルライフの拡大にあわせ、コンピューティングデバイスも、スマートフォンや、タブレット、パソコンといった従来のカテゴリに収まらず、スマートフォンとタブレットの間を埋める「ファブレット」や、タブレットとノートPCの間を埋める「2-in-1」、さらにノートPCと典型的なデスクトップPCの間を埋める「AIO:All-in-One」と、新しい製品への進化が必要とされている。

 そして、これらのインターネットに接続されるデバイスの市場規模は、今年1年で15億ユニットの出荷が見込まれており、2014年には20億ユニット市場へと成長する(IDC調べ)と言われている。

エンドユーザーのインターネット利用は日に日に増大しており、オンラインサービスも充実してきた(写真=左)。デバイスも、最新のオンライン環境にあわせて進化が必要。そして、Intelがその中核に位置づけるのがタブレットとノートPCの間を埋める「2-in-1」だ(写真=右)

 こうした状況下において、キルロイ氏は「スマートフォン市場では32カ国でAtom搭載製品の出荷が開始されており、タブレットにおけるIntelプロセッサの採用例も着実に増えている」と現状を紹介。

 そして、次期省電力プロセッサコアであるSilvermont(シルバーモント:開発コード名)を採用する22ナノメートルプロセスのSoCでは、その影響力をさらに拡大するとして、年末にはSilvermontを採用する22ナノメートルプロセスのタブレット向けSoCとなる「Bay Trail-T」を、また2014年第1四半期にはスマートフォン向けSoCの「Merrifield」を投入することで、現行製品に比べて3倍のピーク性能、または同等の性能であれば5分の1の消費電力を実現し、これらの新市場における影響力をさらに拡大する考えを示した。

Atom搭載スマートフォンは、すでに32カ国で出荷が開始されている(写真=左)、Atomプロセッサを搭載したスマートフォン(写真=右)

タブレット市場においても、AtomプロセッサやCoreプロセッサーの採用が増え続けている(写真=左)。Intelプロセッサを搭載したタブレットと2-in-1デバイス(写真=右)

22ナノメートルプロセスを採用する次期Atom SoCの「Merrifield」と「Bay Trail-T」で、スマートフォンやタブレット市場における影響力を拡大する計画だ(写真=左)。Merrifield搭載スマートフォンのリファレンスデザインを披露するキルロイ氏(写真=右)

Bay Trail-T搭載タブレット(写真=左)。Bay Trail-T搭載2-in-1のリファレンスデザイン(写真=右)

今年末には搭載製品が登場する見通しのBay Trail SoCには、タブレット向けのみならず、低価格ノートPC向けのBay Trail-Mや、AIOやデスクトップ向けのBay Trail-Dもラインアップされる(写真=左)。Bay Trail-Mを搭載したノートPCや、Bay Trail-Dを搭載したデスクトップとAIO(写真=右)

 同氏は、これらの次世代製品の開発が順調に進んでいることもアピールし、Merrifield搭載のスマートフォン(リファレンスデザイン)や、Bay Trail-Tを搭載した2-in-1デバイスも公開した。

 Bay Trail-Tタブレットでは、グラフィックス機能も大幅に強化され、最新アクションRPGゲームの「Torchlight II」がスムーズにプレイできる様子や、同社が開発を進めているLTEマルチバンドプロセッサ「XMM7160」との組み合わせで、携帯回線で4Kビデオのストリーミング再生を行なって見せた。

 なお、同氏はXMM7160 LTEマルチバンドプロセッサは、すでに大手キャリアや主要スマートフォンベンダーの検証が行なわれており、同製品を採用することを決定したベンダーもあることも明らかにしている。

Bay Trail-T搭載タブレットによるTrochlight IIのゲームデモ(写真=左)。Bay Trail-T搭載タブレットによる4Kビデオのストリーミング再生デモでは、IntelのLTEマルチバンドプロセッサも利用されている(写真=右)

4Kビデオストリーミング再生に協力したのは、台湾の携帯キャリア、Far Eas Toneだが、同社はまだ4Gサービスを開始しておらず、同デモが既存の3.5G回線を利用したのか、開発中の4G回線(TD-LTE)を利用したのかは明かされなかった

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