続いて行なわれた技術セッション(Next Generation SSD)では、近い将来のSSDの展望などが語られた。
スピーチを行なったKeunSoo Jo氏(メモリプロダクトプラニング&アプリケーションエンジニアリングチームのシニアエンジニア)は、ストレージとしてのSSDのメリットを改めて強調。SSDの性能が進化したことから、Serial ATA 6Gbpsが速度的にボトルネックになっていると指摘し、今後はPCI Express(以下、PCIe)が使われると述べた。
同氏は、PCIeのメリットとして、広帯域、スケーラビリティ、低レイテンシ、高エネルギー効率の4点を挙げる。PCIeのデータ帯域はPCIe 3.0 x4で約4Gバイト/秒(片道)と、Serial ATA 6Gbps(600Mバイト/秒)の6倍以上にものぼる。さらに、レーンの増減で帯域を調整でき、必要ならば最大16レーン(PCIe 3.0ならば片道約16Gバイト/秒)まで拡張できるスケーラビリティを備えているため、さまざまな用途へ展開できるという。
また、これまではCPUとの通信の際にSerial ATAとPCIeのプロトコル変換がオーバーヘッドになっていたため、PCI ExpressでCPUと直結することで、レイテンシを削減できると説明した。また、高速な転送ができるぶんデータあたりの電力が低く、エネルギー効率もよいという。
Samsungでは既に業界に先駆け、PCIeインタフェースのM.2(旧NGFF)フォームファクタ採用SSD「Samsung XP941」を出荷しており、コンシューマーPCでの採用実績があることをアピールした。M.2とは、mSATAより小型化、薄型化を実現した新しい小型SSD用フォームファクタ。SATAとPCIe接続をサポートするほか、従来はPCI Express Mini Cardで提供されていた無線LANモジュールなどにも利用できる。XP941のサイズは80×22ミリだ。
実際、第4世代Coreプロセッサーを搭載したアップルの新型「MacBook Air」やソニーの「VAIO Pro 13」(VAIOオーナーメードモデル)において、Samsung製PCIe M.2 SSDの採用が確認されている。

Serial ATAインタフェースがSSDにおける速度向上のボトルネックになっており、PCIeに移行することでデータ帯域は6倍以上にものぼる(写真=左)。次の10年はPCIeがストレージインタフェースの主力になる。PCIeは、広帯域、スケーラビリティの高さ、レイテンシ削減、エネルギー効率改善の点でメリットがある(写真=右)
HDDとの互換性のために使われていた2.5インチ/1.8インチのレガシーなフォームファクタから解放される(写真=左)。PCIe SSDのために新しいM.2(旧NGFF)フォームファクタを策定しており、薄型ノートPCなどへの実装が容易になった。エンタープライズ向けにも新たなフォームファクタを用意した(写真=右)。ホットスワップを前提に、メンテナンスしやすいモジュラー形式のフォームファクタとなっている
Ultrabook/薄型ノートPC向けにM.2フォームファクタ採用のPCIe SSD「Samsung XP941」が出荷済みであることを紹介し、業界におけるイニシアティブを強調した(写真=左)。しかし、その後には「Have we done enough?」と、意味深なメッセージが……(写真=右)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.