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注目すべきはハードよりソフト――自宅兼オフィスのNASを一新した効果は?本田雅一流 NAS導入のススメ(後編)(3/3 ページ)

» 2013年09月03日 00時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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QNAPならではのアプリも豊富

 「何だ、もっとNAS自身の機能については書かないのか?」と言われそうだが、NAS上で動作する各種サーバ、ミドルウェアは、各社の製品間でそうそう違いがあるわけではない。中でもQNAPはNAS専業ベンダーとして老舗なだけに、パッケージ化されたアプリケーションの数では、おそらくこの分野でナンバーワンだ。

 実際にどのようなアプリケーションがあるかは、こちらのページにアクセスし、アジア地区のライブデモを動かし、Appセンターを呼び出すといい。現時点で配布されているパッケージが一覧できるうえ、各種の標準機能がそれぞれどのように動作するかをWeb上から確認できる。

 画面下にはQNAPモバイルアプリ、QNAPユーティリティといったタブが見えるが、それぞれQNAPのNASと連動するアプリやユーリティリティのリンクへとつながっている。機能は常時アップデートされており、アプリも増加している。

 インターネット側からNASにアクセスするためのサービスも、myQNAPcloudとしてまとめられており、Qsyncと組み合わせて使えば、自宅ストレージへのインターネットからのアクセスだけでなく、巨大なファイルを誰かに送付するための一時ストレージとしても活用可能だ。WindowsにはQsyncのためのユーティリティが用意されており、Dropboxと同じ感覚で利用できる(Mac OS X向けは現在、開発中とのこと)。

QTS 4.0用のアプリケーションは、バックアップ/同期をはじめ、ビジネス、コンテンツ管理、コミュニケーション、開発者用ツールなど、さまざまだ

HDMIでテレビと接続し、コンテンツを楽しむためのアプリも用意している

 QNAPの製品紹介を見て、HDMIでテレビと接続し、ストレージ内のメディアファイル再生などが行える機能を楽しみにしている人もいるかもしれない。同様の機能はASUSTORの製品にもある。操作は赤外線リモコンやUSB接続のマウスから行える。

 筆者は推奨したくないが、同じくQNAP上のアプリケーションとして動作するBitTorrentアプリケーションで入手した動画ファイルを、そのままQNAPで再生したいというニーズがあるだろう。対応する動画コーデックは多く、BitTorrentで流通している動画の多くに対応できるうえ、他形式へと変換するトランスコーダーもある。

 必ずしも品行方正なアプリケーションばかりではないが、「基本的なハードウェアはLinux PC」であることを利用して、幅広い使い方ができる柔軟性を備えている点は、どんなユーザーにとっても心強い。

なぜ“Pro”モデルを選択したのか?

Proではない下位モデルの「TS-469L」

 ところで、4台のドライブを内蔵可能なAtom搭載のTS-469シリーズには、Proではない「TS-469L」という型名のモデルがラインアップに存在しており、少しばかり値段も安い。ユニスターに問い合わせたところ、違いは液晶ディスプレイの有無とドライブベイのキーロック、それにSATAの速度とのことだ(が、事実上、SATAの速度はパフォーマンスへの影響がないそうだ。個人ユースならドライブベイのロックは不要だが、液晶ディスプレイは何かと便利)。

 何らかの障害が起きたときに状況が表示されたり、障害復旧の状況表示、あるいはIPアドレスの確認などが行える。管理する人間が1人だけで、自分自身がネットワーク全体の状況を把握しているならば、ディスプレイがなくても問題はなさそうだが、トラブルが起きる頃には内容を忘れていた、などということもありがちだ。全体の予算からすると、さほど大きな違いではないため、万一、転びそうになったときのための杖として、筆者は“Pro”を選択した。

 転ばぬ先の……という意味では、HDDもWD Redを選んでいる。製品紹介ページを見ると、“NASwareテクノロジー”というキーワードとともに、色々と耐障害性の高さをうたう文言が並んでいるが、最も重要な点は平均故障間隔が一般的なデスクトップHDDよりも35%長く、消費電力も低く抑えられていることだ。

 平均故障間隔の長さは当然として、高い密度でHDDを配置するため、特に夏の留守中などは、かなり高温の中で動作させることになり、消費電力の低さは魅力だ。企業向けサーバ用のHDDほどではないものの、我が家のように4台のドライブベイを持つNASにはピッタリである。

 昔のIDEやATA HDD、あるいはかつてのSATA HDDのように、クライアントPCに特化したHDDばかりの頃とは違い、今はSATAでも企業ユースを想定したHDDや、NASなどの動作条件が厳しく信頼性が重視される用途を意識したHDDが出ている。今後は他社も、RAID NASにこれからHDDを導入するならば、これらを使うべきだろう。

満足度が高いRAID NASのリプレース

 というわけで、ずいぶん理屈っぽく進めた「我が家のRAID NAS入れ替え記」もこれで終わりだ。結論から言うと、かなり満足をしている。パフォーマンスについて書いていなかったが、ジャンボフレームのサイズをデフォルト(1500)にしたままでも、RAID 10構成で毎秒75Mバイト程度のシーケンシャル読み出しパフォーマンスは出ており、書き込みも毎秒70Mバイト近かった(AFP経由、SMB経由ともに)。フレームサイズを増やせば、もっと速度が出るかもしれない。

 仕事も格段にやりやすくなった。Qsyncフォルダに放り込んで共有を指定すれば、時限措置付きのファイルダウンロード用URLが生成され、共有先にメールが配信されるし、共同作業を行う相手にはNASの制限ユーザーアカウントを与えて文書を共有している。

 今後もこうしたソフトウェア基盤を引き継ぎ、熟成させていくはず。冒頭で述べたように、NASの価値はソフトウェアにあると考えるなら、QNAPの「Turbo NAS」シリーズは(何年か後の入れ替え時にも)選択肢の最右翼となるだろう。ASUSTORというライバルも登場したことで、さらに競争が進んでくれればユーザーとしてはうれしいが、現状でも使いやすく必要な機能はすべてそろっている。

 小規模なRAID NASの導入で悩みを抱えているなら、いっそのこと思い切ってシステムを入れ替えてはいかがだろう。少なくとも、筆者はそれによって高い満足を得ることができた。

←・前編:そのデータ保存法で本当に問題ない?――自宅兼オフィスのNAS環境を見直す

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