シナリオ4、イメージバックアップ(Windows)
自作派のE氏は定期的にパーツ単位でPCをリニューアルしている。鰻屋の秘伝のタレよろしく、ハードウェアの絶えまない更新と同様にOSもアップグレードを重ね、すっかりE氏専用にカスタマイズされている。今さらまっさらな状態からこの環境を構築する手間を考えるといざというときのためにシステムを含めたディスク全体のバックアップを定期的に取りたいと考えているが、バックアップのためだけの出費はなるべく抑えたい。
→解決)Acronis True Imageを使用したイメージバックアップ
今回、E氏はファイルサーバとして導入したQNAP TurboNASをPC丸ごとのバックアップ用としても利用することにした。QNAP TurboNASを正式にサポートしているバックアップソフトはいくつかある。なかでもAcronis True Imageシリーズは個人ユースでも実績の多いバックアップソフトだ。
Acronis True Imageは有償製品だけあって、機能も非常に充実している。OSを含むディスクのバックアップ、NetBak Replicatorオートバックアップ同様のノンストップバックアップ、増分・差分バックアップ、バージョンチェーン、一定間隔ごとの完全バックアップなど、きめ細かな設定が可能だ。
シナリオ5、データ/イメージバックアップ(Mac)
MacBook AirユーザーのF氏は外付けHDDを接続してTime Machine機能を使ったバックアップを行っていた。しかし、外付けHDDをいちいち接続するのは面倒だとも感じている。
→解決)Time Machineサービスの利用
Mac OS XのバックアップにはOS標準機能のTime Machine機能を利用できる。バックアップ先には外付けHDDを指定することが多いと思われるが、これをTurboNASにすることで無線LAN経由でバックアップすることが可能になり、いちいち外付けHDDを接続したりする手間が不要になる。
設定はTurboNASのバックアップマネージャからTime Machineを有効化し、Macのシステム環境設定にある「Time Machine」を有効にし、バックアップディスクとしてTurboNASを選択するだけだ。あとは自動的に一定時間ごとにバックアップを取得してくれる。
Time Machineは過去の指定時刻のデータをファイル単位で復元できるだけでなく、システムを丸ごとリカバリすることもできる。その場合はCommand+Rを押しながら電源を投入し、OS Xユーティリティを起動する。
OS Xユーティリティのメニューには「Time Machine バックアップから復元」がある。それを選択すると「システムの復元」「バックアップ済データの選択」ではネットワークが検索される。TurboNASを選択し、接続情報を入力。ユーザー名はTime Machineだ。
接続できるとバックアップ済みデータとして「ディスク“TMBackup”上の“ユーザー名のMacBook Air”」と表示されるので選択し、「続ける」をクリック。復元したいタイムポイントのバックアップを選択、「インストール先の選択」画面でMacintosh HDを選択、復元をクリックすればOKだ。
バックアップ用途に外付けHDDを使用している人も多いだろう。だが、外付けHDDをバックアップのためだけに購入するのはもったいないと考えてしまうのではないだろうか。そしてせっかくあるのだから、と別の用途にも使いはじめると、そのうちに外付けHDD自体が「失われたは困る唯一のデータ」を持ち始める。
しかも安価に購入できる外付けHDDはRAID構成にはなっておらず、故障の危険性もある。PCがノート型の場合はいちいち接続するのが面倒ということもあるし、その際に外付けHDDを移動させると落下などの危険性もある。
そこでRAID構成をとって信頼性を高めたTurboNASを活用するのがおすすめだ。システムを含んだイメージバックアップをネットワーク上に置くことに不安を感じるかもしれないが、TurboNASにはAcronis True ImageやTime Machineを使ったリカバリの時点で接続ができるので心配はいらない。
また、複数ユーザーがバックアップを行う場合にもTurboNASは効率的だ。例えば、10人のユーザーが各自のPCのバックアップを取ろうとした場合、外付けHDDは10台必要となる。外付けHDDの容量が1Tバイトだとすると全容量は10Tバイトだ。だが、通常運用においてそこまでの容量が必要でないことは明らかだろう。TurboNASにバックアップを集約すればこの数分の1で運用することができる。
TurboNASはサービスを継続したままディスクを交換・増設できるため、闇雲にやたらと大容量で運用を始める必要はない。現時点で見えている必要容量で導入し、利用状況を見ながら計画的に運用していくとよいだろう。
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