それでは、G-Master Vengeanceのパフォーマンスを見ていこう。比較対象は、適当なものがなかったため、過去に計測したCore i7-4960X搭載自作PCとした。上位のCPUになるが、過去に計測したぶん、特にグラフィックス機能回りではドライバが古く、その点で若干ベンチマークスコアが低く出る傾向がある。
比較対象 | G-Master Vengeance | 自作機 |
---|---|---|
CPU | Core i7-4930K(3.4GHz/最大3.9GHz) | Core i7-4960X Extreme Edition(3.6GHz/4GHz) |
メモリ | 16GB DDR3-1866 | 32GB DDR3-1600 |
チップセット | Intel X79 | Intel X79 |
GPU | GeForce GTX 780 | GeForce GTX 780(OC) |
ストレージ | SSD | SSD |
OS | 64ビット版Windows 8 Pro | 64ビット版Windows 8 Pro |
まず、PCMark 7および8では、G-Master Vengeanceが思いのほか健闘を見せている。Core i7-4960X自作PCとの差はわずかで、ストレージ性能では上回った。PCMarkがCPUやメモリ、HDDなど個別のテストから、統合的なシステムベンチマークへと変わったため、CPU性能だけでなくGPU性能も、メモリやSSDなどストレージの転送速度までスコアに反映されるようになったためという要因もあるだろう。
先に述べた通り、比較対象のグラフィックスドライバが古いという影響もあるだろう。ただし、システムとしてはかなりしっかりとまとまっており、DDR3-1866で低レイテンシのメモリに高速SSDを搭載しているというG-Master Vengeanceならではの構成も効いているように見える。
CINEBENCH R11.5では、シングルCPU時こそ4GHzに達するCore i7-4960X(Core i7-4930Kは最大3.9GHz)にかなわなかったが、マルチCPU時はこれを上回った。CINEBENCH R11.5自体にはアップデートはない。考えられる要因としては、G-Master Vengeanceに搭載されているCPUクーラーのHydro Series H100iが効果的に冷却を行うことで、Turbo Boostが効いたということ(Core i7-4960X自作PCも水冷クーラーを採用しているが、ラジエータは12センチサイズ)、そしてもう1つ考えられるのは低レイテンシのメモリだろうか。なんにせよ、マルチスレッド時のパフォーマンスで上位クラスのCPUを超えたという点はインパクトがある。PCはチューニング次第、という点を示した格好の例だろう。
Media Espressoでは、ハードウェアエンコード時で259秒、ソフトウェアエンコード時で285秒となった。比較対象がCore i7-4960X自作PCのソフトウェアエンコード時となるが、その際の計測値よりも短縮している。エンコード処理では、メモリの速さが所要時間に影響すると言われる。検証データから読み取れないが、高クロックで低レイテンシのメモリによる帯域幅の広さも影響し、こうした高速なエンコード処理が可能になっていると考えられる。
3DMarkのOverallでは、Ice StormのExtremeまではG-Master Vengeanceが、以降はCore i7-4960X自作PC側が高スコアとなった。Core i7-4960X自作PCでは、同じGeForce GTX 780でもOCモデルを使用しているというのが効いていると考えられる。ただ、CPUの違いに関しては、Physics Scoreを見るとより高いのは全テストを通じてG-Master Vengeanceという結果だ。また、CPUとGPU双方に負荷の高いCombined Scoreでは、さすがにCore i7-4960X自作PCのほうが優位となった。
トゥームレイダーでは、このクラスのCPUとなると、数100MHzの差はそこまでフレームレートに影響しないわけだが、GPUがOCモデルかそうでないかの差が出ているようで、総じてCore i7-4960X自作PCのほうが優位だった。ただし、このクラスのPCを楽しむ方にとって重要な1920×1080ドットで比較すると両者の差は5fps程度であり、G-Master Vengeanceも十分快適にゲームが楽しめるフレームレートを満たしている。
バトルフィールド3は、低解像度ならCore i7-4960X自作PCを上回るフレームレートをたたき出したが、これはドライバのバージョンによる差が出たと思われる。1600×900ドット以上ではCore i7-4960X自作PCが優位になった。ただしこちらもプレイする際のフレームレートでは十分である。
バトルフィールド4は、まだベンチマーク手法を確定させていないので、実際にマルチプレーヤーモードでプレイしつつ、フレームレートを計測した。1920×1080ドットの最高画質時は70〜80fps程度で60fpsは超え、十分に快適と言える。およそ、バトルフィールド3の1つ上の解像度時のフレームレートに相当するといったところが目安となるのではないだろうか。ただし、キャンペーンモードでは、シーンによって負荷がかかり、平均フレームレートこそ80fps前後となったが、一時的に50fps前後まで落ち込むことはあった。
G-Master Vengeanceのよさは、「まとまり」にある。エンスージアストに人気のCorsair製品を中心に構成をまとめ、各パーツの性能の高さはもとより、万全の安定性も製品選びのポイントになるだろう。標準構成で19万5910円からという価格は、サイコムがラインアップするゲーミングPCの中ではフラッグシップと呼べるもの。高価ではあるが、高性能なパーツが並ぶ、スッキリとまとまったゆとりのある内部スペースを、サイドのクリアパネルから眺められるPCとなるとそうはない。「ラグジュアリー」という、およそPCとは縁遠い言葉も似合うように思う。
ゲーミングPCとしてのパフォーマンスは、ベンチマークテストが示した文句なし。もちろん、BTOによってさらにパフォーマンスを引き上げることもできる。性能とデザインに妥協のないゲーミングPCを探しているのなら、選択肢の1つに加えたいモデルだ。
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