ここからは各種ベンチマークテストの結果を見ていく。Mac側の環境はOS X Mavericks(10.9)、Windows側はWindows 8.1と、それぞれ最新のOSにアップデートした状態で行っている。一部のテストは旧機種と比較しているが、以前行ったベンチマーク結果を流用しているため環境は同一ではなく、参考程度に見てほしい。
まずは、Macで実行したCINEBENCH R11.5の結果から見ていこう。CPUはMD093J/A(Late 2012)の4.47ptに対して、4.91ptと10%ほどアップ。Open GLのスコアも35.53fpsに対して49.63fpsと大きく伸ばしている。
一方、ストレージ性能を計るXbenchのDisk Testと、Blackmagic Disk Speed Testは、MD093J/Aに比べてやや劣る結果だ。回転数が5400rpmの2.5インチHDD(評価機はAPPLE HDD HTS541010A9E662/HGST製)を採用しているため、大きなファイルを頻繁に扱う用途を考えているのならオプションのFusion DriveやSSDを検討したほうがいい。また、ストレージの最大容量が1Tバイトになるため、サブノートPCなどのデータを集約する“母艦”としてiMacを利用するにはやや心許ない。将来的には別途、外付けストレージやNASといった追加投資が必要になりそうだ。
次にWindows 8.1環境下でのベンチマークテスト結果を見ていこう。ここでは21.5型液晶ディスプレイ(1920×1080ドット)を搭載するソニーのオールインワンPC「VAIO Tap 21」(同社はテーブルトップPCと呼んでいる)の最上位モデルである「SVT21219DJB」を比較として並べた。比較機種は、第4世代Core UシリーズのCore i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)、8Gバイトメモリ、1TバイトハイブリッドHDDという構成の同シリーズ最上位モデル(SVT21219DJB)だ。
まずはWinSAT(Windows 8.1で省かれたWindowsエクスペリエンスインデックスと同等のスコアが得られるWindows標準機能。VAIO Tap 21はWindowsエクスペリエンスインデックスの結果を流用している)の結果から。これを見ると、プライマリハードディスクを除くすべてのスコアでiMacがVAIO Tap 21を上回った。iMacはCPUがクアッドコアかつクロックも高く、メモリもデュアルチャンネルアクセス、さらにグラフィックスがIris Pro 5200と、すべての基本スペックで上回るため順当な結果だ。液晶一体型PCというカテゴリにおいてiMacが非常に高いポテンシャルを持っていることが分かる。
ただし、PCMark 7では総合スコアが3372と、VAIO Tap 21に比べてややふるわない結果となった。スコアを個別に見れば分かるように、System storageのスコアが大きく足を引っ張り、1Tバイトの2.5インチハイブリッドHDD(5400rpm Serial ATA HDD+NANDフラッシュメモリ/TOSHIBA MQ01ABD100H)を採用するVAIO Tap 21に差をつけられている。繰り返しになるが、より快適なレスポンスを望むなら、CTOで1TバイトFusion Driveか256GバイトSSD(ともに+2万2000円)を選択したい。
一方、CINEBENCHのレンダリングテストでは、VAIO Tap 21に対して、R11.5で約1.74倍、R15で約1.65倍と、Core i5-4570Rの性能を見せつけた。そもそもバッテリー駆動を前提に低消費電力CPUのCore i7-4500Uを採用したVAIO Tap 21とは設計思想がまったく異なるものの(VAIO Tap 21はタッチ入力に対応する、いわば“大型タブレット”である)、大画面液晶を搭載するオールインワンPCとして見るならば、iMacの処理性能は圧倒的だ。
3D描画性能のテスト結果も、HD Graphics 4400のVAIO Tap 21に対して、Iris Pro 5200の21.5インチiMacが圧倒的な性能差を見せつけた。FINAL FANTASY XIV新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編では、VAIO Tap 21にそろえた低負荷設定であれば、標準品質(ノートPC)で「非常に快適」、高品質(ノートPC)でも「とても快適」と快適にプレイできるレベルであり、1920×1080ドット/フルスクリーン設定でも標準品質(ノートPC)で4841と、十分遊べるスコアを出している。
以下、標準的な解像度とプリセットされた負荷設定で一通り試した結果も掲載しておく。
FINAL FANTASY XIV新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編 | ||
---|---|---|
1280×720ドット | ||
標準品質(ノートPC) | 8754 | 非常に快適 |
標準品質(デスクトップPC) | 8735 | 非常に快適 |
高品質(ノートPC) | 6065 | とても快適 |
高品質(デスクトップPC) | 4211 | とても快適 |
最高品質 | 4080 | 快適 |
1600×900ドット | ||
標準品質(ノートPC) | 6562 | とても快適 |
標準品質(デスクトップPC) | 6540 | とても快適 |
高品質(ノートPC) | 4354 | 快適 |
高品質(デスクトップPC) | 2772 | やや快適 |
1920×1080ドット | ||
標準品質(ノートPC) | 4841 | 快適 |
標準品質(デスクトップPC) | 4839 | 快適 |
高品質(ノートPC) | 3008 | やや快適 |
高品質(デスクトップPC) | 1944 | 設定変更を推奨 |
なお、実際にFINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアをプレイした感覚では、フルHDでも標準品質なら問題なく“動く”印象だが(ベンチマーク結果では「快適」/ゲーム内のシステムコンフィグ画面では30fps程度)、プレイヤーが多い場所ではカメラ(視点)を動かす際に処理が遅れることもあった。一方、高品質設定では30fpsを大きく割ってしまい、プレイは困難なレベル。「とても快適」の指標が出ている1600×900ドット/標準品質(システムコンフィグ画面では45fps前後)がちょうどいいと感じた。
なお、ベンチマークソフトなどを連続で実行してもファンの回転音はほとんど聞こえず、静音性が非常に高いのもiMacのポイント。旧モデルも驚くほど静かだったが、内部システムの変更による差はないようだ。
以上、最新世代のiMacは、最も安価な21.5インチiMac(ME086J/A)でも、内部システムの刷新によって大きくパフォーマンスを向上させ、最新ゲームタイトルも新生FF14程度の負荷であればなんなくこなせてしまうグラフィックス性能まで備えている。
もちろん、美しい液晶ディスプレイや洗練されたボディデザイン、省スペース性を引き継いでいるうえに、マルチメディアからビジネスまで、豊富なアプリケーションをすぐに利用できるのもポイントだ。PCを持ち歩く必要がないのであれば、とりあえず何でもこなせる入門機としてうってつけの1台といえる。
21.5インチ iMac(ME086J/A)の主な仕様 | |
---|---|
製品名 | ME086J/A |
メーカー | アップル |
画面サイズ(液晶方式) | 21.5型(IPS) |
アスペクト比 | 16:9 |
ディスプレイ解像度 | 1920×1080ドット |
CPU(コア数/スレッド数) | Core i5-4570R(4/4) |
動作周波数 | 2.7GHz/最大3.2GHz |
チップセット | CPU内蔵 |
vPro | − |
GPU | CPU統合(Iris Pro Graphics 5200) |
メモリ | 8GB(PC3-12800)、最大16GB |
メモリスロット(空きスロット) | 2(0) |
ストレージ(評価機実装) | 1TB HDD |
ストレージフォームファクタ | 2.5インチ |
ストレージ接続インタフェース | Serial ATA 6Gbps |
光学ドライブ | − |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Bluetooth 4.0 |
有線LAN | ギガビットLAN |
キーボード | Apple Wireless Keyboard |
マウス/ポインティングデバイス | Magic Mouse/Magic Trackpad |
主なインタフェース | USB 3.0×4、Thunderbolt×2、ヘッドフォン |
メモリカードスロット | SDメモリーカードスロット(SDXC対応) |
Webカメラ | FaceTime HDカメラ |
マイク | デュアルマイク |
本体サイズ | 528(幅)×175(スタンドの奥行き)×450(高さ)ミリ |
重量 | 約5.68キロ |
オフィススイート | iWork |
価格 | 13万8800円 |
発売日 | 2013年9月24日 |
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