「保証期間が切れた直後に壊れるタイマー付き製品」は実在するか?牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2014年06月30日 00時00分 公開
[牧ノブユキ,ITmedia]
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寿命はコントロールできても時期はコントロールできない

 ここまで読まれた方は「じゃあやっぱり、製品をあるタイミングで意図的に故障させることは可能なんじゃないか!」と、本稿冒頭に書かれた結論に疑問を持つかもしれない。しかし、ここには1つの要素が抜け落ちている。それは、部品単位で寿命をコントロールすることはできても、その「時期」を明確に指定することは極めて困難ということだ。

 製品を1日にどれだけ使うかは、ユーザーによってまったく異なる。24時間電源を入れっぱなしにする人もいれば、1週間に数時間程度しか使わない人もいる。製品の寿命はこれによって大きく変動しうるわけだが、こうした「実利用時間」によって保証期間を定めることは実質的に不可能だ。

 そのため、ほとんどの製品は「購入後1年」といった、購入日をベースにした保証期間の設定を行っている。1年365日電源を入れっぱなしでフルに使っているような場合は、1年間まったく使っていない場合に比べて故障する確率が極めて高くなるが、1年以内は等しく保証しますよ、というわけだ。ある意味、太っ腹な考え方である。

 さて、先に述べた部品の寿命は、購入後の日数ではなく、実際に使用している時間に大きく影響される。それゆえ、実利用時間を考慮せずに「購入後2年は故障せずに持たせる」「それを過ぎたら故障しやすくなる」と人為的にコントロールするのは、現実的に不可能だ。先に述べた部品の寿命で「20〜30年相当」「10年相当」と、くどいまでに「相当」と書いているのも、あくまでメーカーが定めた利用頻度、例えば1日に4時間といった基準に基づいた目安であるからにほかならない。

 これに加えて、実際の利用シーンでは気温や湿度など、部品の寿命に影響を及ぼしやすい要因がいくつもあるほか、タバコを吸っていて製品が煙にまみれやすかったり、ペットを飼っていて毛が吸気口をふさぎやすいといった要因も、製品の寿命に大きな差をもたらす。要するに変動値が大きすぎるのだ。こうした条件を無視して、決まったタイミングで故障するギミックを実装するよう指示を出されたら、エンジニアは頭を抱えてしまう。

 あり得る方法としては、初回の電源投入時に起動するようなタイマーをチップレベルで仕込んでおくことだが、これだと証拠が残ってしまううえ、冒頭にも書いたようにオンリーワンのメーカーでもなければ、逆効果になるリスクのほうが高い。

 また、部材レベルで何らかの仕込みを行ったとしても、保証期間が切れる前に故障することが相次いだりしようものなら、それこそ会社が傾きかねない。「関係者」が存在しないがゆえに誰もコメントできないこのウワサ、こうした部材レベルの事情から見ても、やはり都市伝説の域を出ないというのが正しい見方だ。

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