Apple Watchは、ティム・クック氏がCEOになってから初めて発表する新カテゴリーの製品だ。

新体制で初めて新しいカテゴリの製品を投入したアップル。「Apple Watch」はiPhoneの連携コンパニオン製品だ。インターネット接続などはすべてiPhone経由で行なう。電話を受けたり、かけたりする機能があるが、これもApple Watchを、iPhoneを通した電話のやり取りの受話器替わりにしているに過ぎない。なお、通話は腕を口元に近づけて話すこともできれば、Bluetoothヘッドセットを通して行なうことも、iPhone(やそれにつないだヘッドホンマイク)で通話をして、電話機能の操作だけApple Watchから行なう、など分かりやすい操作で柔軟な活用ができる。音楽系の機能も同様だアップルは1998年のiMac発表以来、ほぼ3年に1度のペースで、それまでになかった新カテゴリー製品を発表しては新しい市場を生み出してきた。
例えば、2001年はデジタルミュージックプレーヤー市場を生み出した「iPod」、2003年は世界で最も多くの音楽を販売している「iTunes Music Store」、2007年はスマートフォンのトレンドを生み出した「iPhone」、そして2010年はタブレットというカテゴリーを生み出した「iPad」。
その後、スティーブ・ジョブズが他界し、ティム・クックが後任のCEOとなってから、既存カテゴリー製品の年次更新はあった。その1つ1つが製品としてよく考え抜かれていることに疑いはないが、それまで3年に1度の「革命」のリズムを見てきた業界通や投資家たちは、少しずついらだちを募らせていたかもしれない。
しかし、スターデザイナー、マーク・ニューソンを迎え入れたことで、大きくリフレッシュがかかったデザイン部門や、正式発表まで一切ウワサを外に漏らさず周到に準備してきたパートナーシップ、そして初代Macや初代iMacが発表された意味深い発表会場での気合いの入った製品発表会で、ティム・クック氏はかなり大きな信頼を得たのではないかと思う。
Apple Watchは、なんだかんだいってもiPhoneと連れ添うコンパニオン製品であり、iPhoneなしの単体では、本来の魅力を発揮できない。そのため、iPhoneの台数を上回る大ヒットになることはない。しかしそれでも、今後大勢の人の暮らしぶりやコミュニケーションのあり方を変えていくことだろう。
そしてこれまでLINEを利用したいという理由でスマートフォンに乗り換える人がいたように、これからはApple Watchのコミュニケーションを体験するためにiPhoneに乗り換える人も出てくるはずだ。
今回発表されたApple Watchは、過去アップルが投入したすべての新カテゴリー商品がそうだったように、新しい時代のアイコンになることは間違いない。
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