インテルは、9月26日に最新の「Atom Z3700」シリーズの特徴を紹介する説明会を行った。インテル クライアント事業開発部事業開発マネージャーの山中徹氏は、開発コード名「BayTrail Refresh」として開発してきたAtom Z3700シリーズの特徴として、「Cステップ化に伴うグラフィックスパフォーマンスの向上」「タブレット普及価格帯を想定したエントリーラインアップの登場」「64ビットOSへの対応」を挙げる。
グラフィックス性能の向上では、C0ステップを採用したAtom Z3785で統合するグラフィックスコアの動作クロックが833MHzと、B2/B3ステップの680MHzから向上したことを紹介。エントリーラインアップでは、Atom Z3735D、Atom Z3735E、Atom Z3735F、Atom Z3735G、Atom Z3736F、Atom Z3736Gを投入。64ビット OSの対応では、Atom Z3795が64ビット版 Windows 8.1をサポートしたほか、そのほかのBayTaril Refreshでは、64ビット版 Android “Ready”となっている。
Atom Z3700シリーズは、2014年9月時点で12モデルが登場している。インテルでは価格帯(250ドル以上のパフォーマンス/ミドルレンジ、150〜250ドルのバリュークラス、75〜150ドルのエントリークラス)と、仕様(サポートするメモリ、最大容量、表示できる最大解像度)で分類しているが、そのほかにも、エントリークラスのAtom Z3735F、Atom Z3735G、Atom Z3736F、Atom Z3736Gでは、6層基板に対応する「Type3」パッケージを採用する。
説明会では、Atom Z3700シリーズを採用するタブレットとして、マウスコンピューターの「WN801」、ジェネシスホールティングスの10型ディスプレイ搭載タブレットと「WDP-71」、プラスワン・マーケティングの「freetel Gaia」を展示していた。
インテル モバイル&コミュニケーションズ事業部カスタマー・テクノロジー・ソリューションプラットフォーム・ハードウェア・エンジニアの平井友和氏は、省電力技術、特に「S0ix」ステートについて説明した。
S0ixステートでは、スタンバイ状態における消費電力を従来の「S3」ステートの20〜40ミリワットからわずかに増やした30〜100ミリワットにすることで、スタンバイからの復帰時間を500ミリ秒と大幅に短縮することを可能にしている。S0ixステートには、S0i1、S0i2、S0i3と3つの異なる状態があり、それらをまとめてS0ixと称している。平井氏は、S0ixまでに移行するフローとS0ixそれぞれの定義を説明している。
S0ixに移行するまでのフローでは、まず、すべてのCPUコアが“cc7”状態になると、次いでグラフィックスコアがRTD3(Runtime D3 State)に移行する。OSでは、ここまでステートを管理しており、この先のステート移行はOSから見ると同じ状態になる。
その後、すべてのデバイスがRTD3に移行するが、オーディオ再生関連デバイスだけが電力を消費する状態をS0i1ステートと定義している。さらに、オーディオ関連もRTD3に移行した状態がS0i2、S0i3となる。この状態でも、ネットワーク関連デバイスは、30秒に1回ネットワークにアクセスして、メールチェックなどで電力を消費する。
平井氏は、WindowsとAndroidの電力管理における考えかたの違いとして、Winsdowsデバイスはビジネスで利用することを重視しているため、作業の継続性を優先しているのに対し、スマートフォンやタブレットの利用を重視しているAndroidは、電力供給をより積極的に止める傾向にあると説明する。
S0ixは、作業の継続性を重視するがゆえに、スタンバイ状態でわずかながらも電力供給を続けているが、この状態でもユーザーができる省電力対策として、平井氏は、S0i3状態で消費電力の18%をしめる無線LANの停止を勧めている。また、システムのS0ixステートを確認する方法として、コマンドプロンプトで使えるコマンド「powercfg.exe /batteryreport」や「powercfg.exe /sleepstudy」を紹介した。
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