それでは実際に使ってみた細かい違いをリポートしていこう。
まず、MX1500に触ってすぐに気づくのがM905tとの重さの違いだ。実測値では132グラムから105グラムと27グラムほどの差しかないが、ボディがコンパクトな分、マウスを滑らせるときの重量感ははっきりと異なる。
また、素早くマウスを動かしたときに、M905tは乾電池の揺れる感覚が手に残る一方、MX1500は手にぴったりとフィットして慣性のような“異物感”がない。個人的にバッテリー方式の違いはメンテナンス性の部分よりもこの差で恩恵を感じた。
クリックホイールは従来同様、押し込みによって高速スクロール(フリースピン)に切り替わるデュアルモードスクロールホイールだ。M905tとの違いはホイールに刻まれた溝の形で、人差し指の指先にホイールの引っかかりを感じやすくなった。これは特にフリースピンモード時に分かりやすい。
左右クリックボタンにも手が加えられた。具体的には、ゲーミングマウスである「G」シリーズと同様に、ボタンプレートの下に金属バネを入れてテンションを確保し、クリックしたときの反発をより強めに設定したという。スイッチはオムロン製で耐久性も従来の300万回から1000万回に向上した。実際のクリック感は、M905tのほうが押下する距離が深く、MX1500のほうが浅く感じる。とはいえ、チャタリングはなく、M905tに比べてボタンを高速で連打しやすい。短時間の試用で断定はできないが、軽量化も含めて長時間使用してもより疲れにくいマウスに仕上がっている印象だ。
ソフトウェアを見ていこう。MX Anywhere 2の機能をフルで活用するには、同社のサイトからダウンロードできる専用ソフトウェア「Logicool Options」が必要になる。左右クリックやホイール/左右チルト、左サイドボタンはデフォルトで機能が割り当てられているが、Logicool Optionsを使うことで柔軟にカスタマイズが可能だ(現時点での最新バージョン2.20.276で評価)。
割り当てが可能なのは、ホイールの左右チルトとジェスチャーボタンおよび左側面の進む/戻るボタンの5つ。アプリケーションの起動や特定フォルダの展開、メディアコントロール、拡大/縮小、検索、キーストロークの割り当てなどカスタマイズ項目は多岐に渡り、OS X版ではMission ControlなどMac特有の操作もサポートする。Windows 10やYosemiteなど次期OSにも対応予定という。
特徴的なのはホイール下のジェスチャーボタンで、デフォルトで用意されているウィンドウ操作やメディアコントロール、パン、ズーム/回転といったプリセットだけでなく、ボタンを押しながらマウスを上下左右に動かしたときの操作1つ1つをカスタマイズできる。ちなみにジェスチャーは4方向指定のみで、「マウスを左右に振る」といったジェスチャーには対応していない。
以上、MX Anywhere 2の簡単な使用感を述べてきた。マウスの使いやすさは個人によるところが大きいので万人に当てはまる評価ではないが、実際に使ってみてAnywhere Mouseからの変更を素直に“改良”と受け止めた。ホールド感はほぼ同じですんなりと移行でき、さらに左右ボタンのクリック感や、充電式バッテリーによる重量バランスの変更、MX Masterライクなサラサラとした手触りの外装など、細かいブラッシュアップが施されている。
もちろん、細かく見ていくとコストとの兼ね合いからか退化した部分もある。例えば、底面のセンサーカバーは省かれているし、従来は金属感のあったホイール回りのパーツとジェスチャーボタンは樹脂で統一され少し安っぽく見える。底面の電池カバーがなくなったことでレシーバーを収納できなくなった点も惜しい。とはいえ、使用感には直結する部分は少なく、レシーバーはわずか3ミリなのでノートPCのポートに挿しっぱなしでも気にならないはずだ。
クリエイター向けの趣があるフラッグシップモデルのMX Masterとは異なり、モバイルユースも視野に入れたコンパクトなMX Anywhere 2は、“ちょっといいマウス”を探している幅広いユーザーにオススメできそうだ。もっといえば、個人的には「すごく気に入った」。普段使いのマウスとして自分の中の新定番になりそうな予感がある。
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