2016年にPCが向かう先は? 高性能な2in1か、原点回帰のノートか本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2016年01月02日 06時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

2015年はSkylakeが登場したが……

 ITmedia PC USERで「その年におけるPC動向を占うコラム」を始め、今回で5回目となる。年刊連載といったところだろうか。

 まずは前回、2015年の年頭コラムを振り返ってから本題に入ることにしよう。2015年の主なテーマとしたのは、Intelの新プラットフォーム「Skylake(第6世代Core)」が、PC業界にとって極めて重要なアップデートとなり、業界トレンドをリードするという内容だった。

 実際、2015年を振り返るとSkylakeの投入によって、とりわけモバイル系のPCは大きな進化を遂げた。電力効率の大幅な向上と、内蔵GPUのパフォーマンスアップは、ノートPCやタブレットに大きな恩恵をもたらすからだ。もちろん電力効率の向上はデスクトップPCでも、サーバでも重要なポイントとなる。

Skylake 2016年後半にはIntelの「第6世代Core(開発コード名:Skylake)」が登場し、これを搭載するPCが増えつつある状況だ

 ただし、同時に立ち上がると予想したワイヤレスデータ通信技術の「WiGig」とワイヤレス給電技術の「Rezence」に関しては、業界全体としての動きが鈍かった。いずれも本格的な動きが見られるのは2016年以降になりそうだ。

 WiGigは60GHzという高い周波数帯を利用し、最大7Gbps(理論値)の高速なワイヤレスデータ通信を可能にする技術。DellやHPが、ディスプレイ出力やUSB 3.0、有線LANをまとめてワイヤレス化できるビジネスPC用のドッキングステーションを製品化しているが、まだ存在感は薄い。WiGigはWi-Fi Allianceが2016年初頭に認定プログラム(WiGig CERTIFIED)を開始する予定だ。

WiGig 「WiGig」は、Wi-Fi Allianceが2016年初頭に認定プログラム(WiGig CERTIFIED)を開始する予定だ(Wi-Fi Allianceの発表資料より)

 RezenceはノートPCの無線充電を実現する磁気共鳴方式のワイヤレス給電技術。同規格を推進する業界団体のAlliance for Wireless Power(A4WP)が、電磁誘導型方式のワイヤレス給電技術(Powermat)を推す業界団体Power Matters Alliance(PMA)と合併し、2015年11月に新しい標準化団体「AirFuel Alliance」を発足した状況だ。ワイヤレス給電技術は、Wireless Power Consortium(WPC)の「Qi」がスマートフォンを中心に普及しつつあるが、A4WPとPMAの合併が少なからず影響を与えるだろう。

A4WPの一員であるIntelは、同団体が推進する「Rezence」の実用化にも積極的だ。写真はIntel Developer Forum 2014で行われたRezenceのデモ。Rezenceの給電システムを組み込んだテーブルに、対応するノートPCやタブレットを載せるだけで充電できる。今後は新しい標準化団体のAirFuel Allianceを通じて、ワイヤレス給電技術の実用化と普及を図ることになる

 もう1つの大きな予測として、スマートフォンやタブレットが一定以上のユーザー層を確保している中で、PCという分野では、より高パフォーマンスな製品が好まれるようになるというものがあった。メーカーも、そうしたニーズを察知してプレミアムプラスのノートPCを増やしてくると考えたのだ。

 確かに、日本ではVAIOによる新しい「VAIO Z」がそのような方向へ進んだものの、グローバルの視点ではプレミアムプラスのノートPCが多数生まれたとは言えない年だった。相変わらず、Appleの「MacBook Pro」がそのニーズを引き受けている。

VAIO Z 日本で発売された「VAIO Z」は、13型クラスでは突出した性能を発揮するプレミアムな2in1ノートPC。より高性能なプロセッサを搭載したタブレット「VAIO Z Canvas」は米国でも販売している

 グローバルではそのMacBook Proに対抗すべく、Microsoftが米国で10月に「Surface Book」を発売したが、サードパーティーがプレミアムクラスのノートPC(2in1)をなかなか出してこないからこそ、自身がリスクテイクして発売した……すなわち、まだその動きは出始めたばかりで、市場では定着していないとも言える。

Surface Book 米国で発売された「Surface Book」は、ディスプレイ側にCPUなど主要パーツを内蔵し、キーボード側に外部GPUを載せたプレミアムな2in1ノートPC。日本では2016年早期に発売する予定だ

 ということで、前回は2015年を占うにしては少々気が早い内容の年始コラムだったのだが、懲りずに2016年も続けていきたい。ただし、Intelのプラットフォーム戦略を元にしたロジックではなく、テクノロジー業界のメガトレンドをウォッチしながらの話として進める。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年12月08日 更新
  1. 触るな危険!――毎分8000回転の超高速120mmファンが登場 (2024年12月07日)
  2. 「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」の既知の不具合まとめ【2024年11月27日現在】 (2024年11月27日)
  3. M4 Maxチップ搭載「16インチMacBook Pro」の実力をチェック 誰に勧めるべきモデルなのか? (2024年12月06日)
  4. 天空がパワフルかつ拡張性の高い小型ノートPC「GPD Pocket 4」を2025年2月に発売 14万6700円から(予約で3000円引きに) (2024年12月06日)
  5. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  6. Intel Foundryが「半導体製造のブレイクスルー」をIEDM 2024で披露 AI半導体の進化に貢献 (2024年12月08日)
  7. 今なら1.5万円から買えるXiaomiの8.7型Androidタブレット「Redmi Pad SE 8.7」が“ごろ寝”にちょうどいい (2024年11月27日)
  8. 新型Macに搭載された「M4チップ」「M4 Proチップ」の実力は? 実機をテストして分かったこと (2024年11月07日)
  9. Amazonが「Fire TV Stick HD」のプレゼントキャンペーンを開催 新製品のサウンドバーとのセットも (2024年12月04日)
  10. EIZOが最薄部約24.4mmでアーム付属の23.8型液晶ディスプレイ「FlexScan FLT」を発表 欧州エネルギーラベル「Class A」取得で環境に配慮 (2024年12月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー