以上、クラムシェルモデルを中心として、新しいVAIO Zを2回に渡ってレビューしてきた。やはりVAIOノートのフラッグシップモデルは伊達(だて)ではない。VAIO Zだからこそと言える、唯一無二の存在感がある製品だ。
実際にテストしてみて、VAIO Zのウリであるパフォーマンスについては期待以上の結果が得られた。TDP 28ワットCPUのアドバンテージをしっかり引き出しながら、放熱性能にも問題はない。さらに、高速化されたSSD、高画質な液晶ディスプレイ、長期間きれいに使えて静かで打ちやすいキーボード、VAIOノート最長のバッテリー駆動時間なども含め、素晴らしく快適な製品に仕上げてきた。
それでも一部には、クアッドコアCPUや外部GPUの搭載など、さらにとがったスペックをVAIO Zに望む声もあるだろうが、それらはボディーサイズの大型化や重量の増加、発熱や騒音の増大、バッテリー駆動時間の短縮というデメリットももたらす。
そう考えると、この新VAIO Zは、13.3型サイズで重量1.17キロ(クラムシェルモデルの場合)というフォームファクターの高性能モバイルノートPCとして、1つの完成形を提示しているのではないだろうか。もちろん、フリップモデルもパフォーマンス、使い勝手ともに進化しており、先代モデル以上の実力を発揮してくれる。
ただし、これらの新モデルはボディー設計の多くの部分を先代から継承するマイナーチェンジであるという点は知っておきたい。先進性という視点では、物足りなさもあるのだ。例えば、Windows Hello対応の3Dカメラ、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3、UHS-II対応SDメモリーカードスロット、SIMロックフリー対応LTEといった装備は見送られている。
そのため、先進のテクノロジーや機能をいち早く試したいという「新しいモノ好き」のPCユーザーにとっては、琴線に触れるモデルチェンジではないかもしれない。
とはいえ、ビジネスや学業のため、あるいはクリエイティブワークのため、モバイルノートPCをリアルに必要としている大部分のユーザーにとっては、大いに魅力的な製品と言える。特に、VAIOが主なターゲットと位置付けているビジネスモバイルPCユーザーであればなおさらだ。
ソニーストアでの直販価格は、クラムシェルモデルが15万6800円から、フリップモデルが19万9800円から(いずれも税別)となっている。高性能寄りにカスタマイズしていけば高価格になるが、品質、使い勝手、上質なボディーといった特徴を考えれば、決して高すぎることはない。
特に2in1が不要ならば、クラムシェルモデルは薄型軽量かつ高性能なクラムシェルノートPCを求めるユーザーにとって、満足度の高い選択肢となるはずだ。
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