今回ネーミングの妙から注目を集めるに至ったペヨングだが、実はPC周辺機器やアクセサリー、サプライの業界でも、マウスやマウスパッド、クリーナーなどの製品群において、同様の特売用ブランドが展開されている。
食品のように量を調整して原価を下げるわけにはいかないので、例えばパッケージを無地にしてわざとノーブランドを装ったり、海外メーカーのパッケージそのままでバーコードだけをシールで貼ったり、あるいはハードウェアであれば添付ケーブルやソフトウェアといったオプション品を省いたりするなど、定番品とは差別化しつつ、原価を下げる方法がよく取られる。
もともと特売品は価格ありきでラインアップが決められることが多く、例えば「1000円ポッキリで20%の利益が確保できる製品を」という具合に、量販店の側から上がってくる要望に合わせて製品が用意される。このようにして価格から逆算して製品の仕様を決めるようになると、どうしても「原価をいかに下げるか」という、引き算の発想で製品が作られるようになる。
その際、前述のようにパッケージを簡素化するレベルであれば何ら問題はないが、格安な製品を海外から購入するケースでは、品質面に若干の不安があっても無理に採用したり、あるいは自社で製造を行っている場合は、信頼性がやや劣る部材に切り替えたりといった形で原価が下げられる。特売品は短期間に何千個、何万個という数量を用意しなくてはいけないため、原価の低減とともに数をそろえなくてはいけないとなると、品質面が犠牲になりやすいのだ。
食品業界の場合、品質はそのままに量を減らすなどの方法で原価をコントロールできるうえ、1つの味がリピーターを生み出す可能性があることから、特売品の投入はむしろファン層の拡大につながる可能性がある。
しかしリピート需要がほとんどなく、1つの品を年単位で使ってもらうことになるPC周辺機器・アクセサリー業界では、へんに満足度の高い製品を特売でばらまくと、薄利なうえに定番品が売れないという共倒れのケースに陥る。あくまでも量販店との付き合いのために特売品を用意しているだけで、特売品の使い勝手に満足されてしまっては困るわけである。
その結果、「PC周辺機器やアクセサリーの業界」において「特売専用に作られたと思しき製品」は、手を出さないほうが賢明な製品が、高い確率で生まれることになる。同じ売場でもクリーナーなどリピート需要が見込める製品は例外なこともあるので一概には言えないのだが、同じ特売用の製品であっても、食品業界などとは全く違うコンセプトで作られているのは、消費者として知っておいて損はないだろう。
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