ヘリウム充てんの8テラ「WD Red」は“本家”と何が違うのか「そっくり」な2モデルを比較(3/3 ページ)

» 2016年06月08日 14時19分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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回転数の違いが性能の決定的差ではない

 今回、同一(と見られる)ハードウェアを比較することによって、回転数とファームウェアが性能に及ぼす影響を見ることができた。やはり単体としては回転数が高いUltrastar He8のポテンシャルが生きていると言ったところだが、その差は歴然としたものではなく、NASのようにオーバヘッドが発生する環境では用途とファームウェアがはまれば逆転するものだった。

 現在、8TBモデルはウエスタンデジタルとHGSTのヘリウム充てん、それにシーゲイトの空気充てんの二つの勢力に分れている状態だ。シーゲイトはSMR技術を用いた安価なアーカイブ用HDDを出したあと、垂直磁気記録方式(PMR)でプラッタあたり1.333TBを実現し、プラッタ6枚で8TBに達した。

 一方で、HelioSeal技術を採用したウエスタンデジタルとHGSTはヘリウム充てんによって搭載プラッタ枚数を7に伸ばして8TBを実現。プラッタあたりの記録密度ではシーゲイトに一歩譲るものの、HelioSeal採用モデルを積極的に展開することで、多岐に渡る恩恵をもたらすヘリウム充てん技術で先行しようとしているように思える(ただし、HGST自身は2.5インチ以下の小型モデルにヘリウム充てんモデルを投入する気はないと語っている)。

 現時点ではデスクトップ用モデル(WD Blueシリーズ)の8TBモデルは登場していないものの、WD Redをデスクトップ用として転用しても問題はない。むしろ、高耐久性・高信頼性を備えたモデルとして、従来からデスクトップ用にWD Redを選択するユーザーは多かった。

 競合となる他社のデスクトップ用モデルと比べても価格差はほとんどなく、さらに実売価格で6万9000円前後のUltrastar He8から回転数を落としたモデルが3万9000円程度で手に入る、しかも性能差が出るのは限定的、となると、WD80EFZXはかなりお買い得なモデルだと言えるだろう。NASで利用することを考えている人、デスクトップ用に8TBモデルがほしい人は検討してみてほしい。

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