PC USER Pro

Azure好調で増収増益のMicrosoftが抱える課題鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)

» 2017年05月01日 06時00分 公開
前のページへ 1|2       

ほぼ消滅したMicrosoftの携帯電話事業

 米Microsoftの2017年度第3四半期決算資料は、同社のWebサイトで確認できる。プレスリリースではダイジェストのみだが、より詳細な情報はWebページ内にある「10Q」に記述されており、今回の分析もこれを基にしている。

 前出のMore Personal Computing部門の解説では触れなかったが、この中にひっそりと「Phone revenue decreased $730 million.」という記述がある。他の部分を参照すると分かるが、通常は前年同期比で減少した金額と比率を併記してあるのだが、ここだけは金額のみしか記されていない。そこで比較のために2016年度第3四半期決算の資料を見ると、下記のような記述が確認できる。

Devices revenue decreased $248 million or 11%, driven by the previously announced change in strategy for the phone business, offset in part by higher Surface revenue. Phone revenue decreased $662 million or 47%, as we sold 2.3 million Lumia phones and 15.7 million other phones in the third quarter of fiscal year 2016, compared with 8.6 million and 24.7 million sold, respectively, in the prior year. Surface revenue increased $398 million or 56%, primarily driven by the release of Surface Pro 4 and Surface Book in the second quarter of fiscal year 2016, offset in part by a decline in revenue from Surface Pro 3.

 ここにある「Phone revenue decreased $662 million or 47%」という記述を基に、2016年度第3四半期の減少後の売上を計算すると「$746.5 million」となる。前年比での減少分が「$730 million」なので、2017年度第3四半期時点の売上高は「$16.5 million」、つまり「1650万ドル」となる。それでも20億円近いわけだが、規模を縮小したとはいえ、世界展開を行っている大企業の事業としては心もとない。

 Microsoftは携帯電話事業における新規ハードウェアの開発や生産を既にストップしており、現在は在庫整理が進んでいる段階だ。

 筆者は米カリフォルニア州サンフランシスコ市内にあるMicrosoft Storeを定点観測しているが、2017年3月に訪問した際に同ストアでの携帯電話販売コーナーが消滅していることを確認した。店員に依頼すれば、「HP Elite x3」など在庫がある機種については引き続き購入が可能なようだが、もはやWindows 10 Mobile搭載デバイスを積極的に販売することはなさそうだ。

Microsoft Store 米カリフォルニア州サンフランシスコ市内にあるWestfield Centre内のMicrosoft Store。2017年3月に訪れたところ、Windows 10 Mobileなどの携帯電話を販売するコーナーは消滅していた

 もっとも、これは現在のMicrosoftの戦略において規定路線にある。Windows 10 Mobileはサードパーティーの製品に任せる傾向がある一方、ミドルレンジのデバイスに対するサポートは極力絞る方向だ。ハイエンドとエンタープライズだけでは市場の維持は難しいと思われ、早晩モバイル戦略に関する何らかの公式アナウンスが必要になるのではないだろうか。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー