2018年末、スマートリモコンにトラブルが相次いだ。「Nature Remo」(ネイチャーリモ)は12月20日から約3日にわたり障害が発生し、機器の操作ができない状況になった。またLiveSmartの「LS Mini」も、同じ時期にアプリ更新の不具合があり、アプリを一旦アンインストールしなければ起動すらできない状況に陥った。
Nature Remoを1年以上愛用している筆者としては、これまでトラブルらしいトラブルがなかった同製品で初めてかもしれない大規模障害に驚いたのだが、その原因は「ユーザー数増加によるサーバ側の負荷増」とのことだ。売れ筋ゆえユーザーが増えすぎたことが、今回の障害につながったようだ。
元々スマートリモコンは、サーバに起因するとみられる障害が発生しても公表されず、うやむやになることも少なくない。今回Nature Remoがきちんとリリースを出せたのは、通常時は安定している証明でもあり、今回の対応はむしろ肯定的に評価すべきなのかなとも思う。もちろん、今後同様の問題が再発しなければ、という前提での話ではある。
ところでこの障害なのだが、実は筆者はある“特殊な設定”をしていたおかげで、全く影響を受けなかった。正確に言うと、普段と何ら変わらず使えていたせいで、筆者宅が障害の対象範囲に含まれていたのかどうかも、いまだに分かっていないくらいだ。
その「特殊な設定」は、決して障害対策として行っていたわけではなかったが、Tipsとしては有用かもしれないので皆さんにお伝えしたい。
特殊な設定とはいったい何か。
それは筆者が、通常使っているスマートリモコンとは別に、もう一台別のスマートリモコンを用意し、同時に動かしていたというものだ。
筆者はスマートリモコンのレビューを頻繁に行っている関係で、自宅では複数のスマートリモコンが同時に稼働していることが珍しくない。今回たまたま複数のスマートリモコンを同じ設定で動かしていたために、「二重化」されている状態となり、結果的にトラブルを回避できた(ようだ)。
ポイントは、Alexaの「定型アクション」を使うことだ。例えば天井の照明をコントロールする場合、スマートリモコンAとスマートリモコンBで別々の名前、例えば一方を「電気」、もう一方を「照明」として登録しておく。これをまとめて「定型アクション」に登録し、実行する際は両者が同時に実行されるようにする。
こうしておけば、たとえトラブルでスマートリモコンAからの命令が届かなかった場合でも、スマートリモコンBからの命令で電源がオンになる。もちろん逆もまた然りだ。両方とも生きていた場合も、信号が二度届いたからといって、両方共「機器をオンにする」という内容なので、電源のオンとオフを繰り返すような問題は起こらない。これが「特殊な設定」の詳細だ。
これについては、当然ツッコミはあるだろう。「そんなところにコストを掛けなくとも、普通に機器付属のリモコンを使えばいいじゃん」と言う人もいるだろうし、スマートスピーカーによい印象がない人は「2台を併用しなくてはいけない時点で製品としてダメなのでは」という感想を持つかもしれない。
また、この方法ではスマートリモコンの障害には対応できても、その先、つまりスマートスピーカー側で障害が発生したり、ネット回線そのものがダウンしてしまったりした場合には、全くの無力だ。このあたりを言い始めるとキリがない。
ただ、今後スマートホームがさらに普及していった時に、重要な機器だけを対象に、スマートリモコンでの操作ルートを二重化しておくというのは、お手軽にできて効果の高い方法かもしれない。これがスマートスピーカーの二重化や、インターネット回線の二重化だとコストが掛かりすぎるが、スマートリモコンの二重化だとせいぜい数千円レベルで、月額費用もかからない。
また、この方法は突発的なトラブルとは異なる、定期メンテナンスへの対策としても効果的な他、冒頭で述べたサーバのレスポンスが常時不安定な場合の対策にもなる。実際、スマートリモコンを使っていると、何度やっても反応せず、しばらく経つと何事もなかったかのようにケロッと動作していることがまれにある。そうした場合にイライラせずに済む方法としても有効だ。
障害対策のためだけにもう1台を買い増すかどうかは別にして、スマートリモコンを買い替える機会があったならば、それまで使っていた1台を処分するのではなく、照明器具のように操作ができないと次のアクションに支障を来す重要な家電製品のみ、二重化して動かせるようにしておくのは、悪くない方法だと思う。
1つ気をつけるべきなのは、こうした「二重化」を行う場合、同じメーカーの製品を並べても意味がないということだ。いわばセカンドオピニオンということで、1台目とは異なるメーカーの製品を同時に動かして、初めて効果が出る方法ということになる。
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