AirPods Proに学ぶ魔法とテクノロジーの境界線(4/4 ページ)

» 2019年11月08日 07時30分 公開
[林信行ITmedia]
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AirPods Proに漂う新しい何かが始まる「予感」

 AirPods Proは、何か予感を感じさせる。

 既にその前身であるAirPodsの時点で、多くの人がこの「予感」を共有していたのかもしれない。AirPodsは2016年に最初の製品が発売されるや世界でもっと売れている「Bluetoothイヤフォン」になったかと思うと、その後、すぐにBluetooth以外も含めた「全イヤフォン」の中でも、世界一人気の商品に大化けをした。

 だが、筆者が感じる「予感」は、ただのヒット製品の予感といったレベルのものではない。

 2001年10月、発表直後の初代iPodが「予感」を感じさせながらも、その時点ではただの音楽プレーヤーでしかなかった時のような、あるいは2007年1月、発表直後の初代iPhoneが「予感」は感じさせるものの、その時点ではただのスマートフォンでしかなかった、あの時に感じたのに近い「予感」だ。

 最近、米AppleのYouTube公式チャンネルを見ると、ひっそりとASMR(Autonomous Sensory Meridian Response:自律感覚絶頂反応)のコンテンツがアップロードされ、スマートフォン画面を眺めている時間が長過ぎる現象を引き起こしたことで責められることも多いAppleが、聴覚回りでできることがないか模索しているのを感じる。

AppleがYouTubeにアップロードしているASMR動画。これ以外にも複数ある

 私たちはウェアラブルというと、すぐにスマートウォッチやスマートグラス(メガネ)を想像してしまうが、実はイヤフォンも立派なウェアラブルの1つだ。

 初代AirPodsが出てきた当時、初代Mac開発チームのプログラマー、ビル・アトキンソン氏は「耳の中こそがSiriにとって最適なすみか」と語ったが、AirPodsとはまさに耳に装着するSiriだ。

 これだけ付け心地よ良ければ、音楽を聴いていない時でも、例えば騒音をシャットアウトして仕事に集中するため、あるいは瞑想(めいそう)や深い眠りにつくために、AirPods Proをずっと耳に入れたままで過ごして、そのままiPhoneを持たずにジョギングに出かけた時も、Apple Watchから景色にBGMを添えることもできれば、オーディオブックで本を聴いたり、最新のニュースや調べ物を声で調べたりもできる。

 この既に大好評の新しいウェアラブルデバイスをAppleが出したことで、ここからどんな新しいウェアラブルの未来が広がるのだろう。発売直後のiPodやiPhoneがそうだったように、今の私たちはまだその未来の広がりを十分に想像することができない。

 だが、何か大きな広がりを見せそうな「予感」を感じているのは、おそらく筆者だけではないはずだ。

一部の表記を改めました(2019年11月10日14時20分)。

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