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テレワーク全盛の中で見るVR会議「桜花広場」の今――仮想空間を使うがHMD必須としない理由そろそろ会議やめませんか(2/2 ページ)

» 2020年03月31日 11時30分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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VR版でなくてもリッチな意思疎通は可能。Android版で現場の共有も

 PC版を使う場合、特別にハードウェアスペックが高いPCを用意する必要はない。一般的なノートPC程度の能力でも十分だ。そういう意味でも、機器を用意するハードルは非常に低くなる。

 やはりWASDキー+マウスや平面のディスプレイでは、VRに比べて動きが制限されるのは間違いない。だが、それでも、桜花広場自体が仮想空間の中ではあるので、ビデオよりも、ある部分でリッチな表現が可能だ。

 「例えば、首を上下に振る時はカーソルキーの上下を順番に打てばいいし、マウスのクリックで各自レーザーポインターが出せるのも大きいかもしれません。そうすることで、話しながら意思が示せます。また、話している人の位置に合わせて音を定位させているので、ステレオ環境なら『どちらにいる人が話しているのか』が分かるのも大きいです」(桜花氏)

桜花広場 参加者全員がレーザーポインターで、資料やWebサイトの好きな場所を指し示すことができる

 桜花広場にはVR機器向け/PC向けの他にも、Android向けの各バージョンを用意しているのだが、これにも理由がある。

 Android版の場合、スマホを持って移動することができる。そして、カメラも使える。

 「工事現場などでのニーズを考えてのものです。現場の写真を見ながらやりたい打ち合わせもあると思うんです。その場合、Android版だと必要な人がその場から写真を撮ってアップすれば、会議をしている全員で検討できます」

桜花広場 Android版からスマホで写真を撮り、現場の様子を会議内にシェアできる

 PC版はAndroid版をベースに作られており、その関係でPC版の桜花広場は高性能なPCを必要としないという事情もある。

登壇者はHMD、参加者はPCでという「使い分け」

 もう1つ、PC版の良さとして桜花氏が推すのが「ながら利用」だ。HMDをかぶってしまうと、現状は他のことを平行でやるのが難しい。しかし、PC版ならウィンドウの1つに過ぎないので、別の作業をしながら会議に参加できる。

 これは個人的に感じたことだが、ビデオ会議と違って「自分の姿そのものが常に見えているわけではない」ため、会議に意識を100%集中していなくていいのは、ある意味メリットではないかと思う。もちろん、会議には真剣に参加すべきなのだが、「今回、自分はほぼ聞き役」ということもある。急ぎのメールなどが来ることもあるだろう。実際の会議で「内職」をしたことは誰にだってあるはずだ。

 とはいえ、参加者全員がPC版でいいと判断しているわけでもない。説明者とそれを聴く人では環境が違ってもいいのではないか、と桜花氏は言う。

 「やはり、登壇者や説明者は、自由に首の方向を変えたり、自分がいる位置を変えたりできた方がいいとは思うんです。それゆえ登壇者だけはHMDで、それ以外はPCでという形でもいいかと思っています。例えば今、企業向け案件の中で『3D CADのデータを出して操作したい』という話があります。その場合には、3D CADのデータを操作する人はHMDをかぶり、他の人はPCで、という形もあり得ると思うんです」(桜花氏)

 桜花氏は友人や知人などと、PC版を使って何度かミーティングや宴会、カンファレンスに近いことなどを行っている。その過程で、「必要に応じてVR版とPC版を使い分けることによって、ハードルを下げることがプラス」と判断された。だからこそのPC版という見方だ。

桜花広場 知りあい同士で集まって単なる宴会もできる。そうやって実際に使った上で知見を蓄積し、開発が進められている

 すなわち、「空間を共有する」「データ/情報を一緒に見る」「ビデオのように自分が占有されない」などが、「仮想空間を使うがHMD必須とはしない」メリットということになるのだ。

 現状で桜花氏が狙うのは、どの規模のミーティングなのだろうか?

 「カンファレンス的に、1人が数百人に話すというパターンは他のサービスに任せておこうと思っています。むしろ、4〜5人の会議をパパッとすることに特化します」

 現状、桜花広場はβ版であり、「新しもの好きの人が試している」(桜花氏)段階だ。だが、ビデオ会議だけでなく、こうしたパターンの可能性も検討すべきではないかと思う。おそらく今後、カンファレンス的なものから順に、「仮想空間でのコミュニケーション」をウリにするサービスも増えているのではないだろうか。

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