シザーキーボードが復活した「MacBook Air(2020)」 打ち心地は?短期連載「Airと私(2020)」第3回

» 2020年04月08日 12時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 3月27日に発売した「MacBook Air(2020)」。店頭販売される2モデルのうち、上位構成(Core i5モデル)を数回に分けてレビューしている。

 今回は、新しいMacBook Airのセールスポイントの1つとなっている「新しいMagic Keyboard」をチェックしていく。

MacBook Air 今回レビューするMacBook Air(2020)はスペースグレイ

パッと見で分かる変化点は“1箇所”

 先代の「MacBook Air(2019)」や、そのベースとなった「MacBook Air(2018)」では「バタフライキーボード」が採用されていた。

 バタフライキーボードの利点は、キーボードモジュールを薄型化できることと、キーをどの位置から押し込んでもしっかりと打ち込めることにある。一方、欠点としては、タイプ音が大きいこと、キーを強く押し込む癖のある人との相性が悪いことと、ホコリや異物が入り込んだ場合に不具合が発生しやすいことが挙げられる。

 とりわけ、ホコリや異物が入り込んだ場合の不具合は深刻で、初期〜中期のバタフライキーボードを採用したMacBookシリーズでは、無料修理プログラムが用意されている。

 不具合を受けてか、「16インチMacBook Pro(2019)」では、バタフライキーボード以前に搭載していた「シザーキーボード」が、改良された上で“復活”している。MacBook Air(2019)にも、改良シザーキーボードが搭載されている。

改良シザーキーボード MacBook Air(2019)では、シザーキーボードが改良された上で“復活”している

 では、改良されたシザーキーボードは、バタフライキーボードと何が違うのか。パッと見で分かるのは1箇所しかない。方向(矢印)キー周辺部だけだ。

 バタフライキーボードを採用するMacBook Air(2019)では、左右の方向キーのサイズがメインの文字キーのサイズとそろえられている。上下の方向キーの2倍のサイズということだ。方向キーがこのようになっているキーボードは、WindowsノートPCでも珍しくはないが、方向キーの押し間違えが増えてしまうというデメリットを抱えている。

 一方、シザーキーボードに戻ったMacBook Air(2020)では、方向キー回りも以前のデザインに戻された。左右の方向キーのサイズが上下の方向キーと同じサイズとなり、下の方向キー側に寄せられたことで、方向キーを押し間違えるリスクが軽減された。

キーボード比較(その1) MacBook Air(2020)とMacBook Air(2019)を並べる。パッと見で分かるのは、方向キー回りの形状変更ぐらいだ
キーボード比較(その2) 方向キー回りを拡大。左右の方向キーのデザイン変更により、押し間違えリスクが軽減した

見た目では分からない「うち心地」の変化

 先述の通り、バタフライキーボードはキーを強く押し込む癖のある人との相性が悪い。キーストローク(キーの押し込める深さ)が非常に浅いからだ。

 キーストロークが浅いと、キーがすぐ底を打ってしまい、キーを押し込む強さを吸収しきれない。結果として、打てば打つほど疲れがたまってしまう。正直に告白すると、筆者個人としては、バタフライキーボードのキーストロークの浅さには全く慣れることができなかった。

 それに対し、MacBook Air(2020)のシザーキーボードでは、約1mmのキーストロークを確保している。人によっては「え、たった1mmなの?」と思うかもしれないが、筆者としてはわずか1mmのストロークが、打ちやすさに大きく貢献したと感じる。従来のシザーキーボードよりもとても心地よく文字を打ち込める。キーを打つ音も、わずかではあるが静かになった。

 個人的な欲をいえば、キーストロークは2mm近く(普段使っているノートPCとほぼ同じだけ)確保してほしいと思わなくもないが、従来モデルのサイズ感を保ちつつ改善するとなると、現時点ではこれが限界とも考える。

 とはいえ、繰り返しになるがバタフライキーボードよりも打ちやすくなっているはず。特に、キーボードのストロークの浅さでMacBook Airを敬遠していた人は、量販店などに展示されている実機でぜひ「打ち試し」をしてみてほしい。

1mmストローク 約1mmのストロークを確保したキーボード。横からのぞき込むと、バタフライキーボードよりも「厚み」を感じられる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月31日 更新
  1. 現役情シスの2025年ベストバイ 外付けGPUボックスで脱・デスクトップ、そして“ZUNDAルーター” (2025年12月30日)
  2. トラックボールの大定番がモデルチェンジ! 新「Expert Mouse TB800 EQ」(レッドボール)を試す (2025年12月29日)
  3. 75万円のGeForce RTX 5090が瞬殺! 26万円マザーや4画面付き水冷ヘッドなど年末の「超」ハイエンド製品まとめ (2025年12月29日)
  4. “光らない”がプロ現場でうれしい “Ryzen 7 7800X3D×GeForce RTX 5070”の「HP OMEN 35L Stealth Edition」を情シス目線で試す (2025年12月30日)
  5. 家族4人で「XREAL One Pro」を使ってみた “推し活”からガチの格ゲーまで、視野角57度の魅力 (2025年12月30日)
  6. 購入制限はグラフィックスカードにも――年末のアキバ、厳しさが増す一方で「9800X3D」特価セットが登場 (2025年12月27日)
  7. 最大25Gbps! NTT東日本が国内最速インターネットサービス「フレッツ 光25G」を2026年春から提供 (2025年12月23日)
  8. 2025年のPC業界を振り返る キーワードは「EOS特需」「メモリ逼迫(ひっぱく)」「Snapdragon」 (2025年12月28日)
  9. PCユーザー必見の2025年ベストバイ ポータブル電源「EcoFlow DELTA 3」を“最強のUPS”として導入した理由 (2025年12月27日)
  10. デスクトップPCの前に座る時間が減った筆者、モバイルワークステーション「ThinkPad P14s Gen 6 AMD」を購入する (2025年10月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー