ノートPCとしても魅力的なチョイス 「11インチiPad Pro(第2世代)」を使ってみた(3/3 ページ)

» 2020年04月21日 12時00分 公開
[松野将太ITmedia]
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純正オプションの併用でノートPC代わりにもなる

 今回、実際に最新のiPad Proを試用してみて強く感じたことが1つある。それは「単にタブレット端末として使うのは非常にもったいない」ということだ。

 今回のiPad Proの発売と同時に提供開始された「iPadOS 13.4」の利便性の高さもあって、モバイルノートPCとしても非常に使い勝手がいいのである。今回はSmart Keyboard Folioに加えて「Magic Trackpad 2」と「Apple Pencil(第2世代)」も試用できたため、環境を構築して使ってみた。

iPad Pro 「Smart Keyboard Folio」を装着したiPad Pro(撮影:矢野渉)

 Smart Keyboard Folioは、iPad Pro本体の背面にある端子を介して接続されるため、ペアリングや充電の必要はない。本体カバーにもなるため、真っ先に購入しておきたいアクセサリーの1つではないだろうか。薄型ながらしっかり打った感じを得られる構造となっており、多少キーの硬さは気になるが、これは慣れの問題だろう。

 11型モデル向けのものは、サイズの都合でリターンキー付近のキーが圧縮されている。この点さえ許容できれば、作業効率は間違いなく向上する。本体と合わせても1kgを切る重量(775g程度)なので、頻繁にモバイルノートPCを持ち運ぶようなユーザーなら、持ち運びも苦にならないはずだ。

新しいSmart Keyboard Folio Smart Keyboard Folio。新しいiPadに合わせ、カメラ部分のデザインが変わっている。先述の通り、先代のSmart Keyboard Folioは新しいiPad Proでは使えないが、新しいiPad Pro用のものは先代でも利用できる
アイソレーション キーボード部分はアイソレーションタイプで、キー入力時に若干の固さを覚える。11型モデル向けのものは、Returnキー付近にある一部のキーが左右に圧縮されたレイアウトになっている

 iPadOS 13.4の目玉機能の1つとして、マウスやトラックパッドによる操作のサポートが挙げられる。これにより、Apple純正のMagic Trackpad 2を始めとする各種ポインティングデバイスをUSBまたはBluetoothで接続して使えるようになった。

 Magic TrackPad 2は、MacBookシリーズのトラックパッド(タッチパッド)のように使えるBluetooth接続のアクセサリーだ。バッテリー充電式で、充電は付属のLightningケーブルで行う。

Magic Trackpad 2 Magic Trackpad 2

 ペアリングは「設定」の「Bluetooth」項目から可能で、Bluetoothをオンにして、認識された「Magic Trackpad」をタップするだけで完了する。Bluetoothマウス(トラックパッド)やBluetoothキーボードのペアリングが簡単に行えるのも、実はiPadOS 13.4の特徴だったりする。

 Magic TrackPad 2はトラックパッドとしてはかなり大型で、ノートPCのキーボード部に内蔵されるものよりも操作しやすい。ペアリングが完了するとスクロールの速さやタップによる挙動の設定も可能だ。何より、Macのようにマルチタッチジェスチャーに対応するのが大きな利点といえる。

 元々Mac派である、もしくはマルチタッチジェスチャーを使いこなしたいというユーザーには、Magic Trackpad 2の導入をお勧めしたい。もちろん、サードパーティー製のBluetoothマウスやキーボードをペアリングして使用してもいい。Magic Trackpad 2は若干重たいため、小型/軽量なBluetoothマウスなどを用意しておけば、持ち運びに便利だろう。

 なお、マウスやトラックパッドのサポートと、Bluetooth接続のキーボードやマウスのペアリング簡素化は、OSバージョンアップによって以前のiPadシリーズにも適用される。必ずしも新しいiPad Proだけの機能ではないことに注意しよう。

ペアリングが簡単 iPadOS 13.4により、BluetoothキーボードやBluetoothマウスのペアリング操作が簡単になった
iPad Proと組み合わせた図 Magic Trackpad 2は、キーボードの手前に置くか、マウスのようにキーボード横に置くか自由に決められる。充電式なので、使用中にケーブルを接続する必要はない
マウスもOK Bluetoothマウスがあれば、ペアリングして使うのもいい。使用中はマウスカーソルが画面に出てくるため、PCライクな操作感を得られる

 Apple Pencil(第2世代)は、本体横の磁気コネクターに装着するだけでペアリングできる。充電するときも、この磁気コネクターに付けるだけ。気軽に使える。

 何といっても、Apple Pencilはメモ書きやイラストの制作に便利だ。PDFファイルへの注釈入れなどにも使えるため、ビジネス用途でも持っていると便利ではある。

Apple Pencil Apple Pencilは、本体の磁気コネクターに接続するだけでペアリングできる。メモ書きやイラスト制作では効果を発揮しやすい

 さて、こうした環境を構築して使ってみると、体感的に「ほとんどノートPC」であることに驚く。従来の「Smart Keyboard Folio+ディスプレイのタッチ操作」もしっかり使えはするのだが、Split Viewで調べものをしながらのデータ入力など、ビジネス用途での作業性は、トラックパッドやマウスの方が高い。マウスは多ボタン入力にも対応できるため、サイドボタンのあるマウスを用意すれば、作業性をより高められる。

 今後発売予定のアクセサリー「Magic Keyboard」も気になるところだが、現時点でもノートPCとしての使用感は十分及第点と言えるだろう。(編集注:このレビューはMagic Keyboardの出荷前に行われた)

Split View Split Viewで画面を分割しての作業でも、処理がもたつくことはなかった

拡張次第であらゆる用途が見えてくる最新iPad

 これまでのiPad Proは、タブレット端末としての完成度は頭一つ抜けている反面、ノートPCと同じような感覚で使おうとした場合に細かな制限があり、「かゆいところに手が届かない」といった印象が大きかった。新しいiPad ProやMagic Keyboard、iPadOS 13.4の登場によって、そうした課題の多くが解決されたのは素直に喜ばしいことだ。

 アクセサリーを幾つか購入すると、本体と合わせて10万円超の出費となるが、ノートPCのように使うのであれば、決して高くないと感じる。優れたタブレット端末として、あるいは最近耳にする機会も多い「テレワーク(遠隔勤務)」におけるモバイルノートPC代わりの端末として、最新のiPad Proは購入を検討する価値があるだろう。

仕事がはかどる やはり、マウスやトラックパッドがあるとビジネス系の作業がはかどる。iPadOS 13.4は、ノートPC代わりにiPad Proを使いたいユーザーには待望のアップデートだ
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