ノートPCとしても魅力的なチョイス 「11インチiPad Pro(第2世代)」を使ってみた(1/3 ページ)

» 2020年04月21日 12時00分 公開
[松野将太ITmedia]

 3月25日にAppleから新型の「iPad Pro」が発売された。旧製品は2018年11月発売ということで、実に1年4カ月ぶりのアップデートだ。ディスプレイのサイズは11型と12.9型を用意し、それぞれに「Wi-Fiモデル」「Wi-Fi+Celluar(LTE通信対応)モデル」があり、ストレージの容量は128GB、256GB、512GB、1TBの4つから選択できる。最新モデルを心待ちにしていた人も多いだろう。

 発売直後、ITmedia PC USER編集部から11型モデルのサンプル機材が届いた。早速、いくつかのシーンで実際に利用してみた。購入を検討しているユーザーの参考になれば幸いだ。

iPad Proのイメージカット

先代からの大きな変更は「カメラ」と「Wi-Fi 6」

 先述の通り、新型iPad Proには11型と12.9型の2製品が用意されており、今回レビューする11型モデルは「第2世代」となる。画面が比較的小さい分、本体重量も471g(Wi-Fi+Celluarモデルは473g)と比較的軽く、12.9型モデルよりも可搬性の面で優れている。

 画面の大きさが直接のメリットになりやすい画像編集やイラスト制作では、利便性の面で12.9型モデルに分がある。一方、普段使いやビジネスシーンで利用するのであれば、手軽な11型モデルは魅力的な選択肢となる。手に抱えて利用することが多ければ、画面の大きさはそれほど気にならないだろう。

サンプル機材 サンプル機材。ディスプレイの最大輝度は600ニトで、非常に明るく見やすい
背面 背面はカメラ部分以外は先代とほぼ変わりない。ただし、カメラ回りが大きく変わったことで先代の「Smart Keyboard Folio」は流用できなくなった(撮影:矢野渉)

 2018年発売の先代モデルとはスペック面で違いがある。

 プロセッサは「A12Z Bionic」となった。先代の「A12X Bionic」と比較すると、内蔵GPUのコアが1つ増えて8コアとなり、グラフィックス関係の処理については若干の性能向上が見込まれる。ただし、CPU部分の性能は劇的に向上しているわけではないため、一般的な用途では先代と新モデルで体感できるほどの性能差はない。

 もっとも、処理性能は十分に高い。インターネットの閲覧、「Split View」や「Slide Over」を活用した作業は全く問題なく、快適だ。メインメモリは、全モデル6GBとなる。

上部 本体上部にはスピーカー×2と「トップボタン」がある(撮影:矢野渉)
下部 本体下部にはスピーカー×2とUSB Type-C端子がある(撮影:矢野渉)
左側面 左側面には「音量ボタン」、磁気コネクター、nanoSIMカードトレイがある(撮影:矢野渉)
右側面 右側面にはマイクロフォンがある(撮影:矢野渉)

 より分かりやすい変更点は、「アウトカメラ」と「通信」だ。

 新しいiPad Proのアウトカメラは、約1200万画素/F1.8の広角カメラと、約1000万画素/F2.4の超広角カメラのデュアル構成となり、これらに加えて、光で被写体までの距離を計測する「LiDARスキャナー」を搭載している。

 デュアルカメラは、iPad Proとしては初めてで、広い画角の写真を撮影する際の利便性は確実に高まった。実際の使い勝手については、後ほど触れたいと思う。LiDARスキャナーについては、AR(拡張現実)アプリを中心に今後の活用が見込まれる。

アウトカメラ回り アウトカメラ回り。左側が広角/超広角カメラのレンズで、右側にあるのがLiDARスキャナーとなる。LiDARスキャナーの出番は、現時点では計測アプリ程度だが、今後はARアプリで出番が増えるかもしれない

 通信機能では、より高速な通信を実現する「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」をサポート。対応ルーターが必要になるものの、従来のWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)よりも高速に通信できるため、あずかれる恩恵は大きい。

 Wi-Fi+Celluarモデルは、NTTドコモ、au(KDDIと沖縄セルラー電話)、ソフトバンクの3キャリアで利用しているLTE(4G)サービスの主要な周波数帯(Band)をカバーしている。3月に国内でサービスを開始した5G(第5世代移動通信システム)には対応していないが、現時点では使える場所が非常に限られているため、それほど大きな影響はないだろう。SIMを挿しておけば使い勝手が大きく向上し、ビジネスシーンで便利に使えるはずだ。

 なお、Wi-Fi+Celluarモデルはには「eSIM」も内蔵されている。物理的なSIMカードがなくても、eSIMに対応している通信サービスカードなら、その情報を書き込めばすぐに通信できる他、Appleと提携している各地の通信事業者のプリペイド通信サービスをその場で契約することもできる。日本ではauやソフトバンクが対応している。

SIMピン Wi-Fi+Celluarモデルには、SIMトレイを引き出すためのピンが付属する
SIMトレイ SIMカードはnanoサイズに対応。別途eSIMも利用できる
プリペイド契約 プリペイド通信サービスをその場で契約することも可能。国内の大手キャリアではauとソフトバンクが対応している

 総じて、旧モデルをベースに機能の完成度を高めたモデルといった印象を受ける。初めてiPad Proを購入するユーザーには(元々の完成度の高さもあって)お勧めできる反面、既に旧モデルを所持しているユーザーにとっては、性能が大きく向上するわけではないことから、積極的に買い替えるほどのメリットは感じにくいかもしれない。後述するiPadOS 13.4のアップデートは旧モデルにも適用できるため、細かい進化点をどのようにとらえるかが購入を決めるポイントになるだろう。

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