連続したCPUへの負荷がかかるシーンでは、Ice Lake搭載の13インチMacBook Pro上位モデルが、健やかにこのプラットフォームの実力を引き出していることが分かる。
13インチMacBook Pro上位モデルが搭載する第10世代Core i5は4コア・8スレッドの仕様だが、CPUのレンダリング能力を計測するベンチマークテストのCinebench R20では、シングルコアでの処理に比べて4.5倍ものスコアを出した。ロングランで継続的にパフォーマンスが発揮できる証左といえる。
CPUへの大きな負荷をGPUでアシストする、すなわちCPUもGPUも同時に回る必要がある熱的には厳しい条件となるRAW現像アプリケーション「Luminar 4」でのテストでは、この差はさらに広がり、MacBook Airの2倍以上の処理スループットとなり、13インチMacBook Pro下位モデルと比較しても1.5倍近い性能を示した。
主にGPUへの負荷が大きくなる動画編集アプリケーション「DaVinci Resolve」の書き出しテストでは、Coffee Lake採用の13インチMacBook Proとの差が縮まる(GPU能力差を考えれば、むしろ広がるはずだが、なぜ縮まるのかは理由が分からない)が、実アプリケーションでの処理スループットを見ても内蔵GPUながら、バッテリー駆動時間を維持しつつパフォーマンスを引き出せていることが分かる。
あるいはここで大きく設計を刷新し、外部GPU搭載を可能にする筐体サイズの拡大が行われるのではないか、MacBook Airがクアッドコアになったことで、13インチMacBook Proの位置付けが引き上げられるのではないか、と予想していたのだが、Appleはキープコンセプトを選択した。
薄くコンパクトな筐体と品質の高いディスプレイを備えつつ、10時間のバッテリーライフとパフォーマンスのバランスを取ろうとした。その中で他社が採用してこなかったTDP 28W版のIce Lakeを搭載し、そのパフォーマンスを引き出したということだろう。
コラムの途中でも述べたように、Intelの内蔵GPUを用いたMetalのテストスコアが急伸しており、何らかの最適化が進められたのではないかと想像できる。
Intelはグラフィックス性能を大きく向上させた「Xe」と名付けられた新世代のGPUコアを開発。Ice Lakeの次、年内にはプロセッサ単体としての出荷が見込まれているTiger Lake(開発コード名)に搭載すると発表済みだ。
こうしたロードマップと照らし合わせて考えるならば、このクラスのMacBook Proは今後も統合型GPUと組み合わせていく方針なのだろう。と同時に、IntelとAppleの蜜月も感じられる。それはさまざまなウワサ(ARM版のMacなど)に対する回答といえるかもしれない。
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