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» 2020年07月06日 11時00分 公開

Windowsフロントライン:スローペースな「May 2020 Update」の裏にちらつく次期アップデートの影 (1/2)

5月に配信がスタートしたWindows 10の大型アップデート「May 2020 Update」(バージョン2004)だが、シェアは伸び悩んでいるという。直近のMicrosoftを巡る動きをまとめた。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 前回のレポートからだいぶ間が空いてしまったが、Windows 10の最新更新状況をまとめよう。当初5月2週目に一般提供が開始されるといわれていたWindows 10の大型アップデート(機能アップデート)「May 2020 Update」(バージョン2004)だが、最終的に5月28日(米国時間で27日)に正式に配信がスタートした。

May 2020 Updateの一般配信はOctober 2018 Update以来のスローペース

 だが、May 2020 Updateは配信開始時点で既に多数の既知の問題が報告されており、本稿執筆の6月末時点でもなお未解決の問題が多数残っている。

 6月1日(米国時間)の時点でThe Vergeのトム・ウォーレン氏が報告したところによれば、一般提供が開始されたにもかかわらず、かなりの台数のWindows 10デバイスで自動配信がストップしたままの状態にあった。この問題は6月中旬に入ってもまだ報告例があり、同時点でもMay 2020 Updateを自動更新で受け取れないユーザーは多数いたと思われる。

 過去の一連の経緯から、Windows Updateのマニュアル操作での適用は推奨されず、あくまで自動配信を待つのがベストな選択となっている。ゆえに、同アップデートはファイル消失問題が騒動となった「October 2018 Update」以来のスローペースでの拡大となることが見込まれる。

 実際、この影響は如実に表れている。恒例となっているAdDuplexが毎月末に公開しているWindows 10のバージョン別シェアにおける6月末時点の最新データによれば、May 2020 Updateの全体に対するシェアは7%にとどまっている。

 さすがに、1カ月以上配信がストップしていたOctober 2018 Updateに比べれば緩やかながらもシェアは増加しているが、それでもなお、過去の他のアップデートと比較してスローペースであることは間違いない。

May 2020 Update 2020年6月末時点のWindows 10のバージョン別シェア(出典:AdDuplex)
May 2020 Update 2020年6月末までのWindows 10バージョン別シェアの推移(出典:AdDuplex)

 このような状況のMay 2020 Updateだが、Windows 10にとっては次につなぐための重要なステップとなる。例えば、Microsoftは2020年末に提供開始が見込まれる次期大型アップデート(機能アップデート)の「20H2(開発コード名)」について、ChromiumをベースとしたMicrosoft Edgeブラウザ(通称:Chromium Edge)を標準装備すると表明している。

 20H2の特徴として、既にMay 2020 Updateを導入しているユーザーであれば、毎月第2火曜日に配信が行われるセキュリティアップデートを受けるのと同じ感覚で、大型アップデートのインストールが完了するようになるという。従来であれば、追加機能に合わせて再セットアップが行われたかのような挙動を見せていた大型アップデートだが、おそらくは少ないファイルサイズでかつ再起動のみで適用される状態にまで、シンプル化することになると考えられるため、“Microsoftの弁を信じる”のであれば、アップデート適用に際して以前ほど神経を使う必要はないかもしれない。

 当該のChromium Edgeだが、正式版のリリースは2020年1月に提供が行われており、“マニュアル形式”でのインストールが可能になっていた。Windows Update経由での一般ユーザーへの配信(従来のEdgeブラウザを置き換える)は6月3日よりスタートしており、6月30日の発表で教育分野ならびに企業向けのライセンスを持つユーザーへの自動配信が、7月30日以降にスタートすると予告されている。

 つまり、自動更新を適用するのであれば、2020年後半、遅くとも2021年内には企業向けを含めた全てのWindows 10標準ブラウザをChromium Edgeへと切り替える計画だと考えられる。影響を受ける可能性のあるユーザーは注意しておくといいだろう。

 もう1つ注意しておくのが、May 2020 Update以降ではWindows 10 Pro、Education、Enterpriseの各エディションで許容されていた「アップデート適用を最大1年延期」が不可能になっている点だ。

 従来まで、これらエディションでは機能アップデートの適用に関して「企業ユーザーや特定組織のユーザーが利用している」という前提で、特例としてアップデートの適用延期が許容されていた。だがMicrosoftが6月に公開したITプロフェッショナル向けの文書によれば、このオプションを行使した結果、多くのデバイスでアップデートの適用回数が1年1回にまで減少するケースが多数みられたという。

 こうした事態を避けるため、今後はアップデートの延期期間をWindows 10 Homeと同等の35日間まで短縮し、自動配信とともにほぼ強制的にアップデートを適用していく方針にするようだ。なお、企業のIT管理者がアップデートを制御しているケースでは、グループポリシーの適用により従来の延期オプションが利用できる。企業ユーザー限定の話題ではあるが、自動アップデート推奨の流れはこういった部分にもみられる。

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