プロナビ

Appleが“地球の未来を変える2030年までのロードマップ”を公開、ゼロを掲げる理由21世紀企業に啓示を与える100ページ超の報告書(2/4 ページ)

» 2020年07月22日 13時40分 公開
[林信行ITmedia]

低炭素化に5つのアングルから取り組む

 Appleによる気候変動に対抗する10年計画。特に重視しているのは、次の5つのポイントだ:

  1. 低炭素な製品設計
  2. エネルギー効率向上に向けた投資
  3. 再生エネルギー
  4. 製造プロセスやマテリアルでのイノベーション
  5. 二酸化炭素削減

 これら5つの項目のそれぞれには、非常に多様な視点が盛り込まれている。

 例えば1の「低炭素な製品設計」には、この11年間でApple製品の使用時に使われる平均エネルギーが73%も低くなっている、という話題も含まれれば、製品のデザイン上の工夫やリサイクルのイノベーションを通して、2019年度の製品ではカーボンフットプリント(製造による二酸化炭素の排出量)を430万メトリックトンも減ったという話題も含まれる。

 2019年のiPhone、iPad、MacそしてApple Watchは、リサイクル部品を多用しており、特にiPhoneのTaptic Engineでは使われているレアアース(希土類)を100%リサイクルで賄った。これはAppleにとっても、他の全てのスマートフォンにおいても初めての試みだという。

 またAppleはテキサス州オースチン市にMaterial Recovery Labという素材再生研究所を開設し、カーネギーメロン大学との産学連携で電子製品のリサイクル技術の開発に取り組んでいるともいう。

 だが、何といっても注目の的は、Apple製の新型ロボット「Dave」かもしれない。これはリサイクル回収したiPhoneを分解するロボットで、2016年に登場したLiam、2018年に登場したDaisyに続く第3弾にあたる。

 新たな特徴は、最新のiPhoneに搭載されているTaptic Engineを分解して希土類磁石とタングステンを取り出せることだ。

iPhone内部にあるTaptic Engineを分解するロボット「Dave」

 ちなみに、iPhoneの分解機能を持つDaisyはAppleに2台ある。年間120万台のiPhoneを分解した実績を持つが、これは回収できたiPhoneの量がそれに留まっているからで、Appleでは同社の「Trade In プログラム」を利用した製品リサイクルへの参加を呼びかけている。

 2の「エネルギー効率向上に向けた投資」では、US-China Green Fundという環境系ファンドがAppleの元、Appleサプライヤーによるエネルギー効率向上の取り組みに1億ドルの投資を行う。

 こうした投資なども使って、既に70社が100%再生エネルギーに向けた取り組みを発表していることは既に述べたが、実はAppleはそれに加えて100%再生エネルギーまでは宣言できないまでも、エネルギー効率を向上させたいサプライヤー向けにSupplier Energy Efficiency Programを展開中だ。このプログラムに参加している企業は2019年段階で92社にまでのぼる(ここには先の70社の一部も含まれる)。これらの施設による二酸化炭素排出量削減は、77.9万メトリックトンにおよぶ。

 またAppleは2019年、自社の古い施設640万平方フィート(60ヘクタール/18万坪)をエネルギー効率の良い物にアップグレード。これにより、必要エネルギー量を5分の1に抑え、2700万ドルを削減したという。

 3の「再生エネルギー」については、記事の冒頭で触れたサプライチェーン70社による100%再生エネルギーへの転換で、2030年までに8GWを作り出す目標がその1つだ。2019年までに既に2.7GWが生み出されている。

 これとは別に、Appleが自社で作り出している再生エネルギーもある。こちらは新たにアリゾナ州、オレゴン州、イリノイ州に発電施設が完成したところで、Appleとして1社で1GWのエネルギー生産ができることになった。これは15万軒の家庭に1年間給電できる量だ。

 Appleはこうした発電施設を新たに作ることで、雇用創出などの形で地域コミュニティーにも貢献している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年05月12日 更新
  1. 高騰続くパーツ市場、値札に衝撃を受ける人からDDR4使い回しでしのぐ自作erまで――連休中のアキバ動向 (2026年05月11日)
  2. 「MacBook Neo」は「イラスト制作」に使えるか? Appleが仕掛ける“価格の暴力”を考える (2026年05月12日)
  3. 画面を持たない約12gの超軽量ウェルネストラッカー「Google Fitbit Air」 1万6800円で5月26日に発売 (2026年05月07日)
  4. USB Type-Cの映像出力をワイヤレスでHDMI入力できる「エレコム ワイヤレス HDMI 送受信機セット DH-CW4K110EBK」がセールで1万2580円に (2026年05月08日)
  5. 過去最高の受注急増と苦渋の全モデル受注停止――マウスコンピューター 軣社長が挑む“脱・メーカーのエゴ”と激動の2026年 (2026年05月11日)
  6. NAS向け低容量HDD枯渇に「Core Ultra 200S Plus」品薄も――大型連休明けのストレージとメモリ最新動向 (2026年05月09日)
  7. サンワ、サイドホイールを備えた多機能ワイヤレスマウス (2026年05月11日)
  8. オンプレミスAIを高速化する「AMD Instinct MI350P PCIe GPU」登場 グラボ形態で既存システムに容易に組み込める (2026年05月11日)
  9. Microsoftが4月度のWindows非セキュリティプレビューパッチを公開/PCI-SIGが次世代規格「PCI Express 8.0」のドラフト版を公開 (2026年05月10日)
  10. VAIO事業が絶好調のノジマ、第4四半期の出荷台数は過去最高に 「AI PC」需要で次期も成長を見込む (2026年05月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年