圧倒的魅力の12 mini、圧倒的スペックの12 Pro Maxが加わり悩ましくなった2020年のiPhone選び(2/3 ページ)

» 2020年11月09日 23時00分 公開
[林信行ITmedia]

Proはどんな人のためのiPhoneか?

iPhone 12 Pro Max iPhone 12 Pro Max。こちらはハッキリと大きいことが分かる。ちなみに、小瀬田さんは普段もこのサイズのiPhoneを鞄に入れて持ち歩いているそうだ(iPhone 12 Proで撮影)
iPhone 12 Pro Max 参考までにiPhone 12 Proも持ってもらった(iPhone 12 Pro Maxで撮影)

 さて今回、最新iPhoneの中で最も小さいiPhone 12 miniと、大きさは最大でスペックも最高のiPhone 12 Pro Maxという両極端なモデルを同時に試すことになった。もちろん、手元には前回のレビューで試したiPhone 12と12 Proもまだある。

 どんな違いがあるのか。5G、頭脳のA14 Bionicプロセッサ、割れにくいセラミックシールドコーティング、MagSafeなどは共通なのでいったん忘れることにする(MagSafeは前回レビューの動画で詳しく触れたので、そちらをみてほしい)。

iPhone 12 ProiPhone 12 ProiPhone 12 Pro 超広角で撮った夕方の神社。同じ仕様のレンズで光の条件も良いとmini(左)もPro(中央)もMax(右)も関係なく良い発色で撮れている

 最初に問うべきは、あなたはProのユーザーになるべきか否かだ。

 Proシリーズだけの特徴はいくつかある。

 1つは画面の最大輝度が明るいことだ。明暗さの大きい写真などを表示すると写真を表示し終わった後、ゼロコンマ数秒待つと写真の中の明るい部分がさらに明るく輝き、白飛びしているように見えていた部分も白の階調を見せてくれる(これは皆さんの画面で再現できない可能性が大きいので店頭などで確認してほしい)。

 続いてはカメラで、Proシリーズはご存知の通り3つのレンズがあって望遠レンズが付いている。この望遠レンズの性能はProとPro Maxで違うが、そこは後述するとして、沈む夕日、遠景に見える街、運動会の子供など遠くの景色を撮るのがずっと楽しくなる。

iPhone 12 Pro Max iPhone 12 mini(12と同性能)、12 Pro、12 Pro Maxの3モデルで山口県きららビーチ焼野の海に落ちる夕日を撮ってみた。注目はProとPro Maxで同じ望遠でもズームの倍率が違うことだ。クリックして見比べてほしい

 標準モデルでもデジタルズームで5倍まで寄ることはできるが、これは解像度が荒くなってしまう撮影方法だ。それにデジタルズームを使ってOKならProなら10倍、Pro Maxなら12倍までズームできてしまい、全く勝負にならない。望遠に少しでも魅力を感じる人は、それだけでもProシリーズを選ぶ理由になる。

 もう1つは先進機能の搭載だ。特にレーザー測量技術、LiDARを内蔵していることだろう。標準状態でこの機能が生かされるのは暗いところでの撮影で瞬時にフォーカスが合うということ。確かにminiで暗いところを撮影していると、フォーカスが合わずに2度、3度と画面をタップすることがあったが、Pro Maxはそれがあまりなかった。

 しかし、LiDARの魅力をより強く実感できるのは、これから増えてくるLiDAR技術を活用したアプリが出てきた後だろう。まだ種類は少ないが、今「PolyCam」というアプリが注目を集めている。

LiDARを使った3Dスキャンアプリ「PolyCam」の動作。LiDARを搭載していないiPhoneでは、起動はできてもメッセージが表示されて利用できない

 これを使えば、例えば部屋などをスキャンして3Dデータにして人に送信できる。受け取った側は、スキャンされた3DデータをARとして自分の部屋に置くことが可能だ。

 まだまだ精度が甘い部分はあるが、これはアプリの側の問題なのか、iPhoneのLiDARの性能かは分からない。ただ今後、この技術を使ったゲームやAR教材など面白い活用方法がたくさん出てきそうだ。そう考えると、実際にこうした測量系の技術が仕事に役立ちそうな人や、単に新技術が好きな人はProを選んだ方がいいと言えるだろう。

 最後にもう1つ、Proっぽい理由を挙げよう。前回のレビューでも触れたApple ProRAWという機能の有無だ。これは2020年内に行われるOSのアップデートで利用可能になる。今はiPhone内のアルゴリズムが、撮っている人はこんな写真を撮りたいんだろうということを勝手に解釈して写真をそのように味付けをしてしまっているが、この加工が一切ない素材だけの状態からスタートして、自分で1から思った通りに調理できるようにする機能だ。写真加工の知識や技術が必要で手間はかかるが、その代わりに解像度などを落とすことなく自分の狙い通りの写真に仕上げることができる。

 写真は加工せず、撮ったらそのまま人に送ったり、ブログに掲載したりしているという人には不要だろう。

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