ここ最近、入手性が向上しているパーツとしてよく挙げられるのはNVMe SSDだ。TSUKUMO eX.は「人気の1TBあたりは2.5インチSATA SSDとわずかしか価格差がないくらい値下がりしていて、全般的に買いやすくなっていますね。ブートドライブにこちらを選ぶ方はかなり増えています」という。
加えて、10月に登場したSamsungの「980 PRO」シリーズや、11月登場のウェスタンデジタル「WD_BLACK SN850」シリーズといったPCIe 4.0タイプの入手性も回復している様子だ。「AMDユーザーはPCIe 4.0タイプですね。特にWD_BLACK SN850はかなり在庫が安定するようになりました」(同店)とのこと。
NVIDIAのGeForce RTX 30シリーズの在庫状況も向上している。長らく枯渇状況が続いていたRTX 3080も「型番指定でなければまぁ買える状況です」(ドスパラ秋葉原本店)と言われるまでに回復。先週は長尾製作所製のカードステイを付属したELSAの「GeForce RTX 3080 ERAZOR X」が登場するなど、ラインアップも充実してきた。価格は11万円前後(税込み、以下同)だ。
その一方で、年内の潤沢化が絶望視されているのがAMD系のハイエンドモデルだ。Radeon RX 6800 XT/6800搭載グラフィックスカードは、メーカーオリジナルデザインのモデルが販売を開始したものの、リファレンス版以上に供給が少ないのは既報の通りだ。今週には最上位の「Radeon RX 6900 XT」搭載カードが売り出されるとうわさされているが、「当然のように数は少ないと思います」(某ショップ)という声も聞こえる。
加えて、11月に登場したCPU「Ryzen 5000」シリーズの入手性も十分には回復していない。パソコンSHOPアークは「いまだにいつ再入荷されるのか読めなくて、5600Xを除くと枯渇に近いです。中でも5900Xは入ってこないですね。初回入荷から姿を見ていないんじゃないかと思います」と話していた。
CPUでアキバのトップシェアを不動のものにしたにもかかわらず、Ryzenの新型ハイエンドモデルが買いにくい状態で年末年始を迎えねばならないPCパーツショップの心境は複雑だ。
パソコン工房 秋葉原BUYMORE店は「AMDさん、本当頼むよ……という感じです。グラフィックスカードもそうですけど、特にCPUは自作PCの屋台骨ですからね。コレが買えないとなると自作プランができなくて『じゃあ今度でいいや』となる。ものすごい機会損失です。逆に、Intelの方はお値段が下がってコスパが良くなり、魅力を再評価する動きもありますよ。もともとモノとしては穴のないデザインですしね」とこぼしていた。
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